研究課題/領域番号 |
21K00888
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分03030:アジア史およびアフリカ史関連
|
研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
林 謙一郎 名古屋大学, 人文学研究科, 准教授 (20294358)
|
研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
|
配分額 *注記 |
4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2024年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2023年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2022年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2021年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
|
キーワード | 明代雲南史志 / 南詔野史 / 地方志 / 明代雲南史書 / 雲南の「中国化」 / 中国西南 / 中国化 / 辺境化 / 雲南地方史 |
研究開始時の研究の概要 |
かつて非漢民族が主体であった雲南地方が14~15世紀に実質的に中国王朝の版図に組み込まれていく過程を明らかにする。具体的には、外来者でありながら在地領主化し、明代を通じて雲南で権勢をふるった沐氏一族の動向や、非漢民族出身ながら高い中国的教養を備え、すぐれた地方志の編纂者として知られる李元陽の著作などに着目し、文献史料、家譜史料、金石文等の分析を通じて、雲南の居民が中国の「辺境」の民としてのアイデンティティを形成していくプロセスの諸相を描き出すことを目的とする。
|
研究実績の概要 |
昨年度に引き続き明代から清初に作成された雲南に関する文献史料の収集整理をおこなった。昨年度手掛けたものに加え,『炎徼紀聞』(『行辺紀聞』),『ジ(ジはさんずいに耳)海叢談』などの電子テキスト化を行った。昨年度から手掛けている『テン(テンはさんずいに真,以下同じ)略』に関しては,現在中国学界で利用されているのが『四庫全書』の文淵閣本あるいは文瀾閣本であるのに対し,日本の静嘉堂文庫には明版が所蔵されているらしいことが判明した。しかしながら時間的制約により,年度内に実物の調査を果たすことはできなかった。現在通行している文淵閣本/文瀾閣本にもとづくテキストには,固有名詞の表記をはじめとしてかなりの文字の異同があることが知られており,より原本に近い形のテキストを公開することができれば,内外のこの分野の研究者に資するところがあると考えるため,次年度の課題としたい。 上に上げた文献史料(昨年度整理したものを含む)の多くは雲南地方に伝わる歴史伝承を私的な立場でまとめたものといえるが,これ対して,よりオフィシャルな立場から整理された雲南地方の歴史記述も比較の対象として検討する必要がある。この方面について,以前の研究プロジェクトで整理し,WEBに公開している『雲南志略』雲南総叙に加え,今年度は嘉靖『大理府志』沿革史証,万暦『雲南通志』雲南總部沿革(沿革大事考),正徳『雲南志』事要などの整理をほぼ完了した。現在は天啓『テン志』沿革大事考の整理を始めている段階であり,今後は康煕『雲南通志』沿革大事考をも加えて,明代から清初の雲南における歴史記述に,『南詔野史』をはじめとする雲南民間の史伝がどのような影響を与えているかを検討したい。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
本研究の遂行に不可欠な中国雲南省(昆明・大理)における現地調査,および現地の研究者との交流が困難な状況が継続していたため,十分な文献資料,情報の収集が実現しなかった。また昨年度の報告にも述べたように,これまで整理を行った史料のテキストについては筆者の運営するWEBサイトで公開する予定であるが,同サイトに掲載した史料が他サイトに無断引用される例が近年見られており,掲載法について再検討の必要があり,現状では公開に至っていない。
|
今後の研究の推進方策 |
本研究には雲南地方各地に残された明代の碑文(その一部は出版されつつあるが,未出版のものも少なくない)を実地調査することが本来必要不可欠である。第1-2年度(令和3-4年度)においては事実上実地調査を実現できない状況にあったが,ようやく自体が改善しつつあるため,次年度は夏季に2・3週間程度の調査を雲南省昆明市・大理市などで実施する予定にしている。実地調査にあたっては雲南在住の研究者(研究代表者の知人,および元指導学生を含む)に協力を依頼して情報収集を試みる。また,今年度まで行ってきた史書の校訂・テキスト化の作業をさらに推進する。
|