研究課題/領域番号 |
21K00890
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分03030:アジア史およびアフリカ史関連
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研究機関 | 摂南大学 (2022) 神戸大学 (2021) |
研究代表者 |
萩原 守 摂南大学, 法学部, 教授 (20208424)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
2,990千円 (直接経費: 2,300千円、間接経費: 690千円)
2024年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2023年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2022年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2021年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
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キーワード | モンゴル法制史 / 清朝 / 監獄 / フレー / 蒙古例 |
研究開始時の研究の概要 |
清代のモンゴルに暮らしていた一般のモンゴル遊牧民や仏教僧侶(ラマ)たちの日常生活を法制史面から解明するため、裁判で判決が下されるまでの間に被疑者が収容されていた19世紀末の都市フレーの庫倫弁事大臣衙門監獄の実態を解明していく。具体的には、まずこの監獄のあった場所を確定し、そこからの脱獄の事例を2、3件検討する。次に、収容されている被疑者たちを管理していた看守たちの日常業務を詳しく解明していき、最後にこの監獄の運営費用の分担実態を明らかにする。
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研究実績の概要 |
本研究では当初、2021年度にフレー(現ウランバートル市)における監獄(未決監)の位置と管理実態とを解明する論文を準備・完成させて、2022年度初め頃にはいずれかの雑誌に投稿する予定であったが、私自身が2022年4月に神戸大学から摂南大学に異動するという想定外の事態が発生したことから、結果的に研究計画がほぼ一年遅れてしまった。ただし、時間的にやや遅れた点を除けば、方向性としてはほぼ当初の予定通りに進んでおり、2023年の3月には、上記の論文をほぼ完成させることができた。 過去の科研費で購入した大量の書籍も、一部の重複物を除いて摂南大学に持ってくることはできず、再購入する必要も出てきてしまった。また、研究と教育の両面で新たに必要となったノートパソコンや周辺機器類など想定外の必需品も出てきたが、幸か不幸か、コロナ問題の長期化に伴って延期やリモート開催になった学会が多かったため、出張費は想定よりもはるかに少なくてすんだ。予算が少し余って2023年度に持ち越しとなったのは、出張費の出費が少なかったためである。 2022年度に解明できた上記論文の中身は以下の通り。探検記、ロシア帝国による実測地図、古い写真、都市の絵図、という計4系統の資料から、フレー市街地の南側にモンゴル大臣衙門と軽犯罪者向けの拘置所、やや南東側のセルベ川東岸に満洲大臣衙門と重罪犯向けの監獄があったことが解明できた。続いて1879年と1882年時点でのこの監獄の管理状況を明らかにできた。3名の看守たちが毎日、手枷、足枷、監獄の門の施錠を確認していた。ところが1879年に1名、1885年には3名の収監者が脱獄したことも確認でき、再捕獲された脱獄者の供述から、錠前を壊すという脱獄方法や逃走の経路も確認できた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
主たる要因は、私自身が2022年4月に神戸大学から摂南大学に異動するという想定外の事態が発生したためである。異動に際しての事務的な手続きや新しく担当することになった授業科目の準備等々の激務に追われて、2022年度はほとんど研究時間が取れなかった。ただし、春休みには充分な時間を確保することができたため、当初計画していた1本目の論文は、上記のように何とか完成させることができている。
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今後の研究の推進方策 |
幸い、今の所、2023年8月にモンゴル国で国際モンゴル学者会議が開かれる予定なので、久しぶりにウランバートルへ出張し、監獄の位置と管理実態の研究を発表するつもりである。発表時に日本やモンゴル国の専門家諸氏から意見を聞き、夏中にはどこかの学術雑誌に投稿したい。その後は、引き続いて、監獄を管理していた看守たちの勤務実態や監獄運営の経済的な実態を解明する論文を準備していきたい。本科研の最終年にはこの論文もどこかの学術雑誌に投稿したいと考えている。
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