研究課題/領域番号 |
21K00902
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分03030:アジア史およびアフリカ史関連
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研究機関 | 山形大学 |
研究代表者 |
中村 篤志 山形大学, 人文社会科学部, 教授 (60372330)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
2,600千円 (直接経費: 2,000千円、間接経費: 600千円)
2023年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2022年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2021年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
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キーワード | モンゴル / 清朝 / 駅站 / 交通 / 行政文書 / モンゴル史 / 交通路 / 交易 |
研究開始時の研究の概要 |
清朝治下の漠北モンゴルには、文書行政を支える駅站路や、漢人商人らが往来した隊商路が縦横に走っていた。特に19世紀中葉以後ロシアの中国茶輸入量が飛躍的に増えると、経由地であるモンゴルの交通も大きな影響を受け、清朝崩壊後もこの往来・物流システムが地域社会を支えたと考えられるが、先行研究は乏しい。 そこで本研究では、第一に、駅站路と隊商路の地理情報を整理しルートを考察する。第二に、往来した人や物の総量などを可能な限り数的に把握する。そして第三に、モンゴル国ドンドゴビ県を事例に、広域的な往来や物流が地域の社会・経済・政治に与えた影響を、近現代までを視野に考察する。
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研究実績の概要 |
三年目となる今年度は、新型コロナウイルス感染症の影響などで延期していた現地調査をようやく再開することができた。現地調査は8月と9月に2回行った。8月には、モンゴル国で開催された国際会議で成果を報告し、年度末には、これまでの成果をモンゴル語の単著として刊行することができた。その成果の概要は以下の通りである。 清朝が漠北モンゴルに設置した駅站の幹線「アルタイ軍台」のうち、北京・内モンゴルとの接続部分には、内モンゴルの主にハラチン部の官兵を移住させたことから、通称「ハラチン駅站」と呼ばれる。モンゴル国ドンドゴビ県には、この「駅站の守人」であったハラチン集団の末裔が今も暮らしており、清代に造営された駅站寺院を今も大切に守り伝えている。 単著では、このハラチン駅站の故地で、聞き取り調査や、ドローンを用いた寺院跡の調査を行い、その調査結果を、清代の地図や日記史料、公文書などと照らし合わせ、多角的分析を試みた。清代の駅站と駅站寺院の実像、そしてハラチン集団がつないできた約300年の歴史を明らかにすることができた。 他方で、本書の執筆過程で、また寺院間の交流、他地域との比較、隊商・隊商路と駅站の関係、現代との連続性など多くの論点が浮上してきた。また、ドローンを用いた清代寺院跡の調査が有効であることがわかったが、対象となる寺院の数が多く、寺院間の比較をするにはさらに多くのデータが必要となる。モンゴル国での調査が可能になったこともあり、次年度に再調査を行うことで、研究成果をより精緻にできる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
新型コロナウイルス感染症の影響で実施を見送っていたモンゴル国の現地調査を行うことができた。また、これまでの成果を、モンゴル国で開催された国際会議で報告し、モンゴル語の単著として刊行することができた。ただ、現地調査により想定以上のデータが集まったため、その精査に時間を要している。
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今後の研究の推進方策 |
引き続き研究成果の公開を進めつつ、海外調査を行いたい。引き続き、現地研究者や現地協力者ともよく連携しながら、研究の効率化を進めたい。
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