研究課題/領域番号 |
21K00903
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分03030:アジア史およびアフリカ史関連
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
河原 弥生 東京大学, 附属図書館, 准教授 (90533951)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2024年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2023年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2022年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2021年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
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キーワード | 中央アジア / 旅行記 / 巡礼 / ペルシア語 / ロシア帝国 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、ロシア帝国への併合という大きな歴史的転換を経て、おおきく変容して今日にいたる中央アジアのムスリム社会の特質について理解を深めるために、それ以前の中央アジア社会のありようを明らかにすることを目的とする。具体的手段として、19世紀初頭のイスラーム知識人であるムハンマド・ハキーム・ハーンが独自の視点で編纂した普遍史『選史』における歴史叙述と旅行記を分析対象とし、そこに表出する自己認識や歴史観から、当時の中央アジア社会を後の時代や周辺世界と相対化して描き出す。それにより、長期的な中央アジアの社会・文化変容を明らかにし、新たな中央アジア史像の提示を目指す。
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研究実績の概要 |
本研究は、19世紀初頭のイスラーム知識人であるムハンマド・ハキーム・ハーンが独自の視点で編纂した普遍史『選史Muntakhabal-tawarikh』における歴史叙述と旅行記を分析し、そこに表出する自己認識や歴史観から、当時の中央アジア社会を後の時代や周辺世界と相対化して描き出すことを目的としている。
2023年度は、史料分析に関して本作品の執筆の背景を理解するために読者層について考察すべく、ペルシア語で書かれた本作品が19世紀にチャガタイ語に翻訳された写本が複数流布した点に着目し、翻訳の経緯と翻訳写本の系統を分析を進めた。その成果の一部は、5月に開催されたペルシア語文化圏に関する国際学会において報告した。また、著者のムハンマド・ハキーム・ハーンの一族が活動した時期のコーカンド・ハーン国やその周辺の中央アジアにおけるイスラームの聖裔の多様性に関して民間所蔵の系譜書史料の分析を行った。とりわけ、預言者ムハンマドの子孫「サイイド」に次ぐ地位を持つとみなされた「ホジャ」と呼ばれた聖裔家系に関する系譜書を検討し、英語論集に投稿した。
現地調査に関しては、ロシアとウズベキスタンでの史料調査を予定していたが、国際情勢や業務の都合上、予定通りに調査を行うことがかなわなかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2023年度には、アルメニアのイェレヴァンで行われたペルシア語文化圏に関する国際学会の大会において、『選書』のテュルク語翻訳写本の系統に関する口頭発表を行った。また、当時のコーカンド・ハーン国やその周辺において存在が確認されるイスラームの聖裔の多様性について、英語の論集に投稿した。
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今後の研究の推進方策 |
来年度以降も、写本の分析を予定通り続ける。現地調査に関しては、当初予定していた写本調査を実施するよう努める。しかし、調査すべき写本が数点所蔵されるロシアについては渡航不可能な状況が続いているため、ウズベキスタンでの調査範囲を広めるなど、柔軟に軌道修正しながら進める。
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