研究課題/領域番号 |
21K00904
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分03030:アジア史およびアフリカ史関連
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研究機関 | 公益財団法人東洋文庫 |
研究代表者 |
関尾 史郎 公益財団法人東洋文庫, 研究部, 研究員 (70179331)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
2,600千円 (直接経費: 2,000千円、間接経費: 600千円)
2023年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2022年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2021年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
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キーワード | 柩銘 / 墓券 / 鎮墓瓶銘 / 河西地域 / 磚画墓・壁画墓 / 魏晋・〈五胡〉時代 / 中江塔梁子三号崖墓 / 三国志 / 磚画・壁画 / 文字磚 / 中国古代 / トゥルファン地域 / 出土史料 / 死生観 / 冥界観 |
研究開始時の研究の概要 |
3世紀から5世紀にかけて,中国では,有力なイデオロギーであった儒教,紀元前後に西方から伝来した仏教,そしてその影響を受けて古来の土俗的な信仰が体系化された道教の三教が対立しつつ融合していく時代でした.とくに現在の甘粛省や新疆ウイグル自治区など西北地方には,仏教やゾロアスター教などを中国に伝えた西方系の諸種族や,この地域が中国世界に編入される以前から遊牧に従事していた先住系の諸種族なども居住していたため,死生観や冥界観は多様だったことが予測されます.本研究は,墓から出土した各種の史料を駆使することにより,多様な死生観や冥界観と,その思想的・宗教的な背景を明らかにすることを目的としています.
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研究実績の概要 |
本研究計画で主たるフィールドとして設定した中国西北地方における代表的な喪葬用文物の一つ,柩銘について出土事例を収集・整理して,「西北地方における柩銘とその展開――帛書」にまとめた.また2021年度に刊行した『2015年度敦煌仏爺廟湾―新店台墓群出土鎮墓瓶銘(鎮墓文)集成』の解説文を補訂し,「三国時代敦煌型鎮墓瓶銘――陶銘」を作成した.西北地方では出土していないが,柩銘や鎮墓瓶銘と同時代に中国内地で作成された喪葬用文物である墓券についても出土事例や伝世事例を収集・整理して,「三国時代の墓券とその位置」にまとめた.これらの成果は,西北地方の喪葬用文物の代表格と言うべき画像磚の図像を読み解いた「女と男」,「胡と漢」などの文章とともに,電子版の『三国志拾遺 続――文献と文物の間』(Nakazato Labo,2022年4月)に収録して公表した.またやはり同時代の壁画墓である中江塔梁子崖墓(四川省中江県)の壁画題記を読み解いた結果を「中江塔梁子三号崖墓壁画題銘試釈」にまとめ,電子版の『三国志拾遺 補――東アジア・石刻ほか』(Nakazato Labo,2023年3月)に収録して公表した.両書のURLは以下の通りである. 『三国志拾遺 続』:https://note.com/nakazato211/n/n81806e6228d4 『三国志拾遺 補』:https://note.com/nakazato211/n/n97b89caeb34c また西北地方なかんづく河西地域の画像磚については,地域内の多様性にも注目しながら,その画題や墓内位置などの分析を通じて冥界観を解明する作業を継続中であり,その成果は『磚画墓・壁画墓と河西地域社会』にまとめた上で,2023年度内に刊行すべく準備中である.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
随葬衣物疏の出土事例の収集・整理作業はまだ途中だが,河西地域のそれ以外の喪葬用文物については,柩銘・鎮墓瓶銘・画像磚などについては,収集・整理作業をほぼ完了し,とくに画像磚については,その出現から消滅に至る過程をあとづけた上で,そこに込められた冥界観について,地域差も視野に入れながら明らかにすることができたためである.
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今後の研究の推進方策 |
画像磚について,考察を『磚画墓・壁画墓と河西地域社会』にまとめ,2023年度内に刊行予定である.また随葬衣物疏についても,データベースの構築を進め,2023年度内に公表予定である.公表は,自分のサイト(https://note.com/nakazato211/)上を予定している.
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