研究課題/領域番号 |
21K00905
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分03030:アジア史およびアフリカ史関連
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
加藤 久美子 名古屋大学, 人文学研究科, 教授 (80252203)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2025年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2024年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2023年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2022年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2021年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
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キーワード | タイ族 / 清 / コンバウン朝 / シプソンパンナー / 車里宣慰使 / 嘉慶 / 中国 / ビルマ / 乾隆帝 / 朝貢 / 両属 / タイ族国家 |
研究開始時の研究の概要 |
現在の中国雲南省南部・西南部からミャンマーのシャン州にかけての地域に存在したタイTai族の諸国家は、16世紀後半から19世紀後半にかけてビルマ王朝と中国王朝の双方に従い、その支配者は両者から認証されることによって権威を保ってきた。 本研究は、雲南省南部のタイ族国家シプソンパンナーが中国だけでなくビルマにも従っていることを中国清朝がどのようにして知るに至り、それに対してどのように対処していったのかを、1766年から1864年までの約百年を対象として考察する。あわせて、この両属関係がシプソンパンナーの統治のあり方や他のタイ族国家との関係にどのような影響を与えたかをも明らかにする。
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研究実績の概要 |
中国とビルマに両属するタイ族国家に対する中国清朝の認識と対応について、引き続きシプソンパンナー(車里)の事例を取り上げ、検討した。前年度(2022年度)は、1770年代に、ビルマへの車里宣慰使逃亡により、清が車里宣慰司を廃止し普安営を設置するという「改土帰流」をおこなったが、数年後に撤回せざるを得なかった状況について検討した。令和5(2023)年度は、それに続く時代、18世紀末~19世紀初めの、シプソンパンナー最高支配者(清側では車里宣慰使)のビルマによる任命に対する清朝の認識について論じた。その具体的な内容は以下のようである。 18世紀終わりには刀太和と刀召庁が、19世紀初めには刀縄武と刀永和が、それぞれ中国清朝とコンバウン朝ビルマによってシプソンパンナーの最高支配者に任命された。『清実録』をはじめとする中国側史料には、ビルマが別の人物を任命したことについては、まったく書かれていない。おそらくシプソンパンナーの支配者たちは、それを敢えて清に報告しなかったのだろうと考えられる。また、清は、この時期に起こっていたシプソンパンナーの最高支配者の地位をめぐる争いを、継承争いではなく単なる殺人事件と認識していたことも読み取れた。 この時期には、シプソンパンナー内で実際に何が起こっていたかや、それにビルマがどう関わっていたかなどについては、正確な情報が十分に清に伝達されていなかったことが明らかになった。あるいは、清はこれらのことにあまり大きな関心を示していなかったという可能性もある。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
最初の計画では、令和5(2023)年度は、1797年(嘉慶2年)から1816年(嘉慶21年)までを対象として検討する予定であった。 史料を読み進めていくうちに、中国清朝とコンバウン朝ビルマによって別々の人物がシプソンパンナーの最高支配者に任命されるという、18世紀終わりと19世紀初めの二つの事例にしぼって分析した方が、中国とビルマに両属するタイ族国家に対する中国清朝の認識についてより緻密な議論ができると考えるに至り、時代を1797年(嘉慶2年)から1807年(嘉慶12年)に限定することにした。 1808年以降については、令和6(2024)年度の計画内容に繰り込んで検討していく予定である。
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今後の研究の推進方策 |
引き続き、1808年以降の関係資料の読解を進めていきたい。
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