研究課題/領域番号 |
21K00913
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分03030:アジア史およびアフリカ史関連
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研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
柿沼 陽平 早稲田大学, 文学学術院, 教授 (70633311)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2022年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2021年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | 商人 / 仏僧 / 貨幣 / 物価 / 郷里 / 秦漢時代 / 家計 / 経済史 / 貨幣史 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、中国古代の民間家計関連史料を収集・整理し、数量的に分析するものである。近年、簡牘資料が急増し、そこに戸籍類や財産に関する記載が相当数含まれており、また農業史研究の進展に伴い、各地の田畑平均面積や、農作物の種類、農業生産力に関しても判明しつつある。だが個々の民の家計規模は依然不明なままである。そこで本研究では、民間家計規模関連史料を悉皆調査してデータベース化し、家計の実態を数量的に明らかにする。そして物価推移・民間家計収支・課税額の三つに焦点を絞って検討し、最終的に、中国古代の人びとの経済生活状況を把握することを目的とする。
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研究実績の概要 |
本研究は、中国古代の家計経済に関して、国家の収支や諸物価とからめながら、数量史的に議論をするものである。本年度は後漢三国時代の長沙地区における個々の戸の具体的検討をおこない、その成果として論文「三国時代における孫呉の郷里社会――荊州長沙郡臨湘侯国の小武陵郷吉陽里と南郷宜陽里を例に――」(『三国志研究』第17号、2022年9月,37-61頁)を執筆した。これらの諸成果によって、個々の戸がおおむねどれほどの家族構成になっており、どの程度の田畑を保有し、毎年どれほどの収支を営んでいたのかが判明した。 また上記研究成果の付随的な成果として、論文「魏晋南北朝時代の仏僧と商人」(『東方学』第144輯、2022年7月,38-56頁)を刊行した。これは、後漢以後の経済に関して、商人と仏僧の両者が影響を与えていたことを闡明したものである。そのさらに付随的な研究成果として、論文「魏晋南北朝時代における仏教と剃髪」(『東洋学報』第104巻第2号、2022年9月,101-130頁)を刊行した。これは、中国への仏教伝来にともない、髪型をめぐっていかなる文化衝突が生じたのかを論じたものである。 それはともかく、以上によって、本研究課題最大の論点となる、個々の戸の家計収支のケーススタディをすることができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究は、個々の戸の家計収支を理解するだけでなく、中国古代の物価を把握することをゴールとしている。目下そのために史料を収集中で、これにはなお時間を要する。さらに研究の基礎史料たる『史記』平準書の訳注作成もすすめているが、これもなお一定の時間を要する。しかしそのほかの点はおおむね問題なく進行している。ただし当初の予定とは異なり、コロナ禍の長期化のため、なお中国への現地調査が叶っていない。そのため(2)が妥当と判断した。
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今後の研究の推進方策 |
今年度は、中国古代の家計経済に関わるふたつの史料の訳注書、すなわち『『史記』平準書訳注』(平凡社)と『嶽麓書院蔵秦簡「為獄等状四種」訳注』(汲古書院)を刊行する。さらに物価史調査の成果をまとめ、年度内に学術雑誌に投稿したい。
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