研究課題/領域番号 |
21K00924
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分03040:ヨーロッパ史およびアメリカ史関連
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研究機関 | 山口大学 |
研究代表者 |
南雲 泰輔 山口大学, 人文学部, 准教授 (70735901)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2025年度: 130千円 (直接経費: 100千円、間接経費: 30千円)
2024年度: 130千円 (直接経費: 100千円、間接経費: 30千円)
2023年度: 130千円 (直接経費: 100千円、間接経費: 30千円)
2022年度: 130千円 (直接経費: 100千円、間接経費: 30千円)
2021年度: 130千円 (直接経費: 100千円、間接経費: 30千円)
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キーワード | ローマ帝国 / ローマ地理学 / 西洋古代地理学史 / ポンポニウス・メラ |
研究開始時の研究の概要 |
本研究課題は,古代ギリシアおよびヘレニズム時代の地理学的・地誌学的成果が,①ローマ人の地理学者によってどのように継承され,②どのように変容したか,という2つのプロセスに焦点を当てて考察したうえで,最終的には,③そのような継承と変容の結果,ラテン語地理書は,ギリシア語地理書に対していかなる固有性・独自性を持つものとなったか,という問題について,5年間をかけて考究を試みる研究計画である。
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研究実績の概要 |
本研究課題は、ローマ帝国時代における世界認識の形成過程とその特質を明らかにすることを目的とするものであり、全体で5年間の研究期間のうち第2年度目から第4年度目は、ポンポニウス・メラ著『地誌学(De chorographia)』の原典テキストを1年に1巻づつ読解し、内容の検討を行なう期間として計画している。それゆえ、本年度は、昨年度に実施した、本研究課題に関連する研究資料の調査・収集、および、それらに基づく研究動向の摂取を通じて確認した、本研究課題の今後の基本的な方向性を踏まえつつ、ポンポニウス・メラ著『地誌学』第1巻の翻訳・注解を作成することを目標として設定し、既存の諸近代語訳および関連する先行研究を比較検討しながら、年度末の時点で約5分の3ほどまで(第1巻全117節のうち第69節まで)訳読を進めたが、テキストにおいて解釈の困難な箇所やより詳しい注解を必要とすると考えられる箇所が残っており、また訳稿としての完成度をもさらに高めるべく、今後も継続して作業を進める。このほか、本年度は、ローマ帝国の衰亡と「古代末期」における気候変動について、ローマ世界を襲った3つの疫病流行を軸に考察した論文(『はじめて学ぶ西洋古代史』(ミネルヴァ書房、2022年10月刊行)所収)、および、ローマ帝国の崩壊とゲルマン人の移動について、最近の研究動向を踏まえ新しい視座の提示を試みた解説文(『つなぐ世界史1古代・中世』(清水書院、2023年3月刊行)所収)の二篇を発表することができたほか、ヨーロッパ古代史について独自の構想を提示することを試みた故・角田文衛の諸論攷を一書として再構成した図書について、批判的に検討した新刊紹介を、学術雑誌『古代文化』第74巻4号(2023年3月刊行)に発表することができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初の計画では、本年度はポンポニウス・メラ著『地誌学』第1巻の翻訳・注解を作成することを目標としていたが、既存の諸近代語訳および関連する先行研究を比較検討する作業や、テキストにおいて解釈の困難な箇所やより詳しい注解を必要とすると考えられる箇所の存在から、当初計画での想定よりも作業にやや時間がかかっており、年度内に第1巻全体の訳読を果たすことができなかった。そのため、進捗状況としては「やや遅れている」と判断する。
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今後の研究の推進方策 |
現時点での進捗状況はやや遅れており、今後の推進方策としては、可能な限り当初計画に沿って着実に翻訳・注解の作業を進めるべく努めることを考えている。また次年度は、翻訳・注解の作業を進めることと併せ、現時点までの研究成果の一部について、古代ローマ帝国時代における世界認識のあり方という観点から、試論的な中間報告を行なうことを計画している。なお、過去数年間にわたって心配されてきた新型コロナウィルス感染症の流行状況の変化に伴う影響については、政府方針の転換により、さしあたり解消の方向へ向かうことが想定されるが、見通しは定かではないため、引き続き状況を注視しつつ最善の方策を検討していきたい。
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