研究課題/領域番号 |
21K00926
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分03040:ヨーロッパ史およびアメリカ史関連
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
松井 康浩 九州大学, 比較社会文化研究院, 教授 (70219377)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
2024年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2023年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2022年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2021年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
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キーワード | CSCE / ヘルシンキ最終議定書 / ソ連異論派 / 西欧市民社会 / Karel van het Reve / Peter Reddaway / Stephen Spender / 人権レジーム / 市民社会 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、全欧安保協力会議(CSCE)の成果文書=ヘルシンキ最終議定書(1975年8月)に盛り込まれたいわゆる人権条項の挿入に尽力した西欧諸国政府代表の粘り強い交渉の背後に、ソ連の異論派の活動を支えた西欧市民社会の各種の実践や世論が存在していたという仮説をもとに、それを実証的に明らかにすることを目的としている。具体的には、英国とオランダを本拠地として活動した西側の異論派支援者(S・スペンダー、P・レッダウェイ、K・レーヴ)の活動や事業が、両国の世論や政府の首脳や外交当局にどのような影響を与えたのかを先行研究の検討、英国やオランダの新聞・雑誌の分析、アーカイヴ資料の渉猟と分析を通じて解明する。
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研究実績の概要 |
本研究は、全欧安保協力会議(CSCE)の成果文書=ヘルシンキ最終議定書(1975年8月)に盛り込まれたいわゆる人権条項の挿入に尽力した西欧諸国政府代表の粘り強い交渉の背後に、ソ連の異論派の活動と、それを支えた西欧市民社会の各種の実践や世論が存在していたという仮説をもとに、それを実証的に明らかにすることを目的としている。具体的には、英国とオランダを本拠地として活動した西側の異論派支援者3人(スティーヴン・スペンダー、ピーター・レッダウェイ、カレル・ヴァン・ヘト・レーヴ)の活動や事業が、両国の世論、政府の首脳や外交当局にどのような影響を与えたのかを、(1)先行研究の検討、(2)英国やオランダの新聞・雑誌の分析、(3)アーカイヴ資料の渉猟と分析を通じて解明する。 2023年度は、本研究を著しく進捗させることができた。長く見送ってきた海外調査を実施し、ジョージワシントン大学が所蔵するレッダウェイ・サミズダート・コレクション、ロンドンのビショップスゲイト研究所が所蔵するスペンダー関連の豊富な資料を閲覧・複写することが可能となったからである。前者では、CSCE交渉に影響を与えようとするレッダウェイの活動、及びそのロビー活動によってNATO加盟諸国議員会議が人権条項の挿入に向けて各国政府に圧力をかける決議を採択した情報を、後者では、スペンダーが設立した「作家学者インターナショナル」の議事録や関係者の間で交わされた書簡を数多く閲読し、活動の実態を把握することができた。 また、英国外務省がCSCE交渉団にあてた指針に、迫害を受けるソ連異論派を支援する西側世論の動きを注視し、その批判を招かないようにソ連と交渉を進めることが記されていることを発見し、英国外交当局が市民社会の圧力を感じている状況を資料によって確認できた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
2023年度は、国内外における資料調査を著しく前進させることができ、その資料の分析に基づき、出版に向けて執筆作業を進めている書籍の第6章「ソ連異論派と支援者の協働の歴史的意義:CSCE人権レジーム形成へのインパクト」を書き上げることができた。その他の章の執筆も予想以上に順調に進んだため、海外の出版者に出版プロポーザルを提出し、出版に向けた取り組みを始めた。企画書が受理された後も、査読のプロセスが始まるため、その結果を待たなければならないが、海外出版社からの研究成果の刊行に向けての作業が進捗した。
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今後の研究の推進方策 |
出版を予定している書籍原稿の完成に向けて、それに不可欠な資料的強化を図るとともに、英文原稿の校閲も進める。海外の出版者との協議を進め、年度内の出版を目指す。
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