研究課題/領域番号 |
21K00945
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分03040:ヨーロッパ史およびアメリカ史関連
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研究機関 | 東洋大学 |
研究代表者 |
畑 奈保美 東洋大学, 人間科学総合研究所, 客員研究員 (60302064)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
3,250千円 (直接経費: 2,500千円、間接経費: 750千円)
2025年度: 260千円 (直接経費: 200千円、間接経費: 60千円)
2024年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2023年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2022年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2021年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
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キーワード | フランドル / ブルゴーニュ宮廷 / 都市財政 / ブルゴーニュ公国 / 中世都市財政 / 宮廷 / ブルッヘ |
研究開始時の研究の概要 |
中世ヨーロッパの都市的地域フランドルに、ブルゴーニュ公の影響力がどのように及び、都市社会がどのように変化していったのかを、フランドルの大都市ブルッヘの都市財政から考察する。15世紀、北西ヨーロッパ有数の国際商業都市ブルッヘにはブルゴーニュ公フィリップ・ル・ボンの宮廷が好んで滞在したが、この時期の都市財政において君主に関わる支出の推移・変化を、都市とブルゴーニュ公の関係に最も影響を及ぼしたと考えられる1436~38年反乱に着目しながら分析する。
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研究実績の概要 |
本研究では、中世ヨーロッパの都市的地域フランドルに、ブルゴーニュ公の宮廷の影響力がどのように及び、都市社会がどのように変化していくのかを、フランドルの主要な宮廷所在都市ブルッヘの都市財政、とりわけ都市によるブルゴーニュ公やその宮廷のための支出から考察する。2022年度は、フランドルを含む南ネーデルラント地域の諸都市の財政・会計について最近年の研究状況の整理をおこなうとともに、フランドル都市ブルッヘのぶどう酒贈与帳簿(1468-69年度)の分析をおこない、口頭発表と論文によって、15世紀半ばブルゴーニュ公シャルル・ル・テメレール治世初期においては都市ブルッヘがブルゴーニュ宮廷への仲介者に定期的なぶどう酒贈与をおこなうようになり、先立つ時代よりも宮廷との関係を強めていたことを明らかにした。また、都市ブルッヘと深く関わったブルゴーニュ宮廷の人物として、二代のブルゴーニュ公に仕えたフランドル貴族ユーグ・ド・ラノワ(1384-1456)およびブルゴーニュ女公マリー(位1477-82)の活動につき、それぞれ前年度にまとめていたが、前者については2023年度中に書物の一章として公刊される予定となり、後者については『ハプスブルク事典』の一項として今年度に発行された。そして、今年度はベルギーに2週間ほど渡航し、ブルッヘ市立文書館・ヘント大学図書館において、本研究において重要な史資料を調査、収集することができた。とりわけブルッヘ市立文書館においてはブルッヘの都市会計帳簿の他、ぶどう酒贈与帳簿、間接税帳簿、都市カルチュラリアなど広範な関連史料の状況を把握でき、今後の研究の進展に有益であった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2022年度についてはいくつかの研究成果を公表し、また、2023年2~3月にベルギーに渡航し、調査をおこなうことができたため、前年度までの研究の遅れをやや取り戻すことができたものの、完全に順調な状態には至っていない。年度前半には新型コロナウイルス流行拡大への懸念が続いており、国内の学会・研究会に参加して近接分野の研究動向などの情報を得たり、関係文献を所蔵する他大学図書館で調査をしたりすることはできなかった。
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今後の研究の推進方策 |
中世フランドル地域諸都市の財政・会計についての研究状況の整理とともに、ブルゴーニュ宮廷とりわけブルゴーニュ公フィリップ・ル・ボンと公妃イザベル・ド・ポルテュガルの活動と都市ブルッヘとの関わりについて検討・分析していく。また、重要史料の一つであるブルッヘ都市会計帳簿のデジタル化が進んだため、インターネットを通じての閲覧が可能になり、ブルゴーニュ宮廷関連の情報の整理・分析を進める。同時に2022年度にベルギーで収集した史資料、とくに都市ブルッヘのぶどう酒贈与帳簿を分析し、都市会計帳簿その他の情報との照合や先の時代の状況との比較をおこなう。当初の計画では、本年度後半の間に再びベルギーに渡航し、文書館での史料調査、ベルギーの研究者からの情報収集、図書館での関係文献収集をおこなおうと考えていたが、本研究全体の進捗状況やロシアの軍事侵攻の影響など注視して、実施可否を慎重に検討する。
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