研究課題/領域番号 |
21K00946
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分03040:ヨーロッパ史およびアメリカ史関連
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研究機関 | 東京都市大学 |
研究代表者 |
新保 良明 東京都市大学, 共通教育部, 教授 (60206331)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
3,640千円 (直接経費: 2,800千円、間接経費: 840千円)
2023年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2021年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
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キーワード | 皇帝権力 / 皇帝裁判 / 判決 / ローマ法 / 元老院議員 / 勅答 / ローマ皇帝 / 皇帝裁判権 / 大逆罪 / 自治 / ディゲスタ / 元老院裁判 / 元首政 / 判決の不当性 / 被告 / 判決の妥当性 |
研究開始時の研究の概要 |
ローマ元首政の到来と共に、実は皇帝裁判権も現出した。皇帝権力の本質を考察する上で、この司法権の発生と運用は注視されるべきと言わねばならない。というのも、「市民の中の第一人者」を自称したアウグストゥスが同朋市民に対し法的権限なきまま随意に裁判を行い、死刑すら科しえたのであり、ここに共和政の継続を看取することには無理があるからである。とはいえ、従来の研究は皇帝裁判権の法源がどこにあるのかという法学的アプローチに終始した感がある。そこで、本申請は皇帝裁判事例を諸史料から抽出することを最優先課題としたい。当該事例を史料から丹念に集積した基礎的研究は欧米学界にすら存在しないからである。
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研究成果の概要 |
本研究は第一に前27~後235年の皇帝裁判で被告となった元老院議員を諸史料から確認し、その全体像分析の裁判事例収集を目指した。そして第二には当該期における皇帝による裁定という意味で広義の皇帝裁判と言える「勅答subscriptio」の事例をディゲスタなど法文史料から洗い出すことを目指した。 その結果、第一の課題については、約260年間に延べ132名の被告が確認された。この数値は一見、少ないように見えるかもしれないが、五賢帝期には皇帝裁判は行われていない点を想起しておきたい。一方、第二の課題については、82の勅答が抽出された。かくて、裁判事例に関する基礎データの収集という課題はクリアできた。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
ローマ帝政前期を通しての皇帝裁判に関して実例を丹念に収集する研究は我が国のみならず、欧米学界でも見られない。というのも、これまでは皇帝裁判権の法的根拠がどこにあるのかという法学的視野からの研究に収斂してきたからである。これに対して、本研究は司法権の根拠を問うことを最初から放棄して、実態面に注目し、皇帝裁判の判決の妥当性に着目した。しかし、そのためには、どの程度の被告がいたのか、罪状は何か、判決に不当性はないのかを先ずは確認する必要を感じた。 被告とその判決を列挙することはできたが、これらは基礎データであるため、詳細な分析はこれからの新たな課題となる。
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