研究課題/領域番号 |
21K00949
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分03040:ヨーロッパ史およびアメリカ史関連
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研究機関 | 津田塾大学 |
研究代表者 |
星乃 治彦 津田塾大学, 言語文化研究所, 研究員 (00219172)
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研究分担者 |
今井 宏昌 九州大学, 人文科学研究院, 准教授 (00790669)
福元 健之 福岡大学, 人文学部, 講師 (70802255)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
3,900千円 (直接経費: 3,000千円、間接経費: 900千円)
2025年度: 130千円 (直接経費: 100千円、間接経費: 30千円)
2024年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2023年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2022年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2021年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
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キーワード | ドイツ / ヴァイマル期 / 性科学 / 労働運動 / ジェンダー / 地域 / 日独比較 / 西洋史 |
研究開始時の研究の概要 |
1)①労働運動史、②ジェンダー史、③地域史の3つの方向性を駆使し、イエナという地域における活動家として脚光を浴びるホルバインという人物を中心にした分析は独自性と創造性の担保と考えられる。 2)性科学から地域的特性の抽出という手法 テューリンゲンという地域分析に性科学的知見を結合させながら、ホモソーシャル実態解明とそれをナチ台頭と関連付けようとする試みは、男性史やクィア史の研究成果の歴史学的実証という意味からユニークである。 3)研究拠点の創設 テューリンゲンの中心都市イエナを研究拠点とし、その活用を前提とする点は他にない独創的な点である。
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研究実績の概要 |
星乃は、ドイツの性科学研究所が及ぼしたグローバルな影響として、ほぼ同時代の日本に注目し、日独比較へと展開し、映画監督小津への関心を強め、一連の論考としてまとめ上げた。学会報告としては、2023年12月10日に奈良女子大学で開催されたジェンダー史学会第20回大会の自由論題報告で「明治期『男の契り』の諸相」を発表した。 福元は、昨年度『王のいない共和国の誕生』と『医師の「献身」』という単著を刊行した。前者は、中世以来から君主のいる政体の続いてきたポーランドにおいて、いかに近代的な共和国が成立したのかを主題にしながら、1918年10月から11月にかけて起こった各地の労働運動の果たした役割に注目した。また、『医師の「献身」』では、ポーランドの知識人としての医師専門職集団に焦点を当て、育児をめぐるジェンダーについても論じた。従来この問題は、民族問題やナショナリズムとの関連で論じて来られたが、当該研究では、人々の生活にまで踏み込んだ社会史的考察ができた。 今井は2023年度は、国内では明治学院大学図書館(東京)でのマイクロ史料「NSDAP Hauptarchiv」の調査をおこなったほか、ドイツでは、フライブルクの連邦・軍事文書館、ミュンヘンのバイエルン州立中央文書館、アウクスブルク州立文書館で、パラミリタリ(準軍隊)組織に関する未公刊史料を、それぞれ閲覧・収集できた。その成果は、左右双方のパラミリタリ組織経験者の間に芽生えた「友情」を扱った論文「ヴァイマル末期における『赤い伯爵』と労働者世界」(『ドイツ国民の境界』所収)や、パラミリタリ組織の政治化問題を扱った論文「ドイツ義勇軍運動の残照と『第三の国』」へと結実した。また衣笠太朗『ドイツ帝国の解体と「未完」の中東欧』の書評を通じ、ドイツ・ポーランド境界地域におけるパラミリタリズムの問題を論じた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
過去におけるコロナ禍の影響を乗り越え、各自一方では国内外の必要資料の収集を進める作業を行いながら、各自着実に論文の公表につなげていっている。方向性として星乃は、設定されたテーマのうちとくに、ジェンダーや地域の問題を意識しながら、新たな方向性として日独比較・交流、日本の小津安二郎への関心を強めている。 福元はポーランドにおいて、いかに近代的な共和国が成立したのかを主題としており、1918年10月から11月にかけて、社会主義者とそれに呼応した各地の労働運動の果たした役割を論じるとともに、ポーランド知識人としての医師専門職集団に焦点を当てて、育児をめぐるジェンダーについても論じている。従来の東欧史研究では民族問題やナショナリズムが取り上げられてきたが、当該研究では、人々の生活にまで踏み込んだ社会史的考察ができた。 今井は2023年度は、国内では明治学院大学図書館(東京)でのマイクロ史料「NSDAP Hauptarchiv」の調査をおこなったほか、ドイツでは、フライブルクの連邦・軍事文書館、ミュンヘンのバイエルン州立中央文書館、アウクスブルク州立文書館で、パラミリタリ(準軍隊)組織に関する未公刊史料を、それぞれ閲覧・収集できた。その成果は、左右双方のパラミリタリ組織経験者の間に芽生えた「友情」を扱った論文「ヴァイマル末期における「赤い伯爵」と労働者世界」(『ドイツ国民の境界』所収)や、パラミリタリ組織の政治化問題を扱った論文「ドイツ義勇軍運動の残照と「第三の国」へと結実した。また衣笠太朗『ドイツ帝国の解体と「未完」の中東欧』の書評を通じ、ドイツ・ポーランド境界地域におけるパラミリタリズムの問題を論じている。
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今後の研究の推進方策 |
全体としては、当初立てた柱に沿って各自研究を積み重ねていくと同時に、研究成果を積み重ねていく。さらには、広く社会に発信する意味から、シンポジウムを企画したいと思う。 星乃に関しては、研究方向が日本史の分野にまで入り込んでいるが、当初の問題関心の延長として、日独比較という観点から、引き続き日本の小津安二郎を中心とした業績を積み重ねていくこととする。 福元は2024年度は文献収集を継続するとともに、海外への渡航調査に従事する。ポーランドおよびドイツの文書館を訪問し、現地の研究者と意見交換を行う。その成果を踏まえて、研究報告を行い、論文を執筆する。 今井は、2024年度引き続きドイツでの調査をおこなう。主な目的は、ヴァイマル期の中部ドイツ、とりわけテューリンゲン州で活動した左右のパラミリタリ組織に関する史料の閲覧・収集であり、ヴァイマルのテューリンゲン州立中央文書館を中心に訪問する。またその成果を学会・研究会で報告し、学術誌にも投稿する。
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