研究課題/領域番号 |
21K00962
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分03050:考古学関連
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研究機関 | 関西大学 |
研究代表者 |
井上 主税 関西大学, 文学部, 教授 (80470285)
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研究分担者 |
吉田 東明 九州歴史資料館, 埋蔵文化財調査室, 研究員(移行) (90826447)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
3,510千円 (直接経費: 2,700千円、間接経費: 810千円)
2024年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2023年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2022年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2021年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
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キーワード | 渡来系玉類 / 日韓・日朝関係 / 金製空玉 / 金層ガラス玉 / 斑点文トンボ玉 / メノウ製丸玉 / 雁木玉 / 埋木製玉類 / 新羅 / 加耶 / 日朝関係 / 金属製玉類 / 天河石製玉類 |
研究開始時の研究の概要 |
古墳時代中期の日朝関係を捉える考古資料としては、鉄ていや須恵器、馬具、装身具等が挙げられるが、このなかで装身具を構成する渡来系玉類の存在はこれまで等閑視され、研究も着手されたばかりである。 渡来系玉類の多くは朝鮮半島を起源とする、もしくは経由してもたらされたとみられるが、そもそも朝鮮半島三国時代の新羅や加耶、百済(馬韓も含む)における玉類の実態が不明であり、これらが明らかになれば、古墳時代中期に渡来した玉類との比較検討も可能になる。 本研究は、このような見通しにもとづき、三国時代の玉類の分析を行ない、国内の渡来系玉類との比較検討を通じ、5世紀における日朝関係の特質を明らかにする研究である。
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研究実績の概要 |
本研究は、朝鮮半島三国時代の古墳から出土した玉類を対象に、考古学の最新の視点・方法によりその全体像がわかるよう体系化し、朝鮮半島三国時代の玉類の実態解明、さらに日本国内の渡来系玉類との比較検討を通じて、5世紀における日朝関係の変化やその実態とはどのようなものかといった学術的課題に取り組み、5世紀における日朝関係の特質の一端を明らかにすることを目的とする。 本年度は、コロナ禍で実施できていなかった、韓国での資料調査を実施した。近年の新出資料を把握するために、複数の国立博物館の見学をおこない、最近刊行された発掘調査報告書の中から、関連する玉類が出土した古墳の存在を確認した。 研究成果の報告として、関西大学文学部創設100周年・博物館開設30周年記念連携企画展「花開く大阪の文化」(会期:令和6年4月7日~5月31日)の準備作業を行った。展示資料には、大阪府珠金塚古墳から出土した金製空玉、金層ガラス玉等を予定しており、これらの資料の特徴などについて、図録(令和6年4月刊行)や展示解説において所見を披瀝した。また、『季刊考古学』167号(古墳時代日韓交渉の基礎資料)(令和6年4月刊行)では、「玉類」と題して、奈良県から出土した渡来系玉類を中心に取り上げ、朝鮮半島南部から出土した関連玉類との比較もおこない、当時の交流関係について考察した。 このほか、国内の渡来系玉類についても、福岡県、熊本県、大分県を中心に、玉類の実見をおこなった。とくに、天河石製玉類や埋木製玉類について検討をおこない、これらの渡来系玉類を通じて5・6世紀の日朝関係について考察した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
今年度は、新型コロナウイルス感染症がほぼ収束したことに伴い、国外出張をようやく実施できた。予定していた出張回数には至らなかったが、近年の新出資料を把握するために、複数の国立博物館の見学をおこない、最近刊行された発掘調査報告書の中から、関連する玉類が出土した古墳の存在を確認した。 これまで、年度計画のうち、朝鮮半島三国時代の古墳出土玉類のデータベース化は進めており、国内の渡来系玉類についても整理・分析を実施することができているが、国外出張が難しい状況であったため、朝鮮半島三国時代の玉類に関して、新規資料の抽出および韓国における資料調査が実施できず、当初予定からの変更を余儀なくされてきた。 昨年度までの進捗の遅れを取り戻しつつあるが、過去2か年度の遅れを完全に取り戻すまでにはいたっておらず、全体としては「やや遅れている」と自己評価した。特に、韓国における資料調査が過去2か年度実施できなかったことが大きい。
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今後の研究の推進方策 |
当初の計画通り、朝鮮半島三国時代の玉類のうち既存資料については、報告書や図録などをもとにデータベース化作業を進めていく。 あわせて、国外出張によって、朝鮮半島三国時代の玉類の資料調査を実施し、また出張の回数を増やして対応することにする。国内の渡来系玉類については、研究分担者の協力を得て、近畿地方だけでなく九州地方の渡来系玉類についても抽出作業を進め、渡来系玉類の出土状況や組合せ等の比較検討も進める。そのうえで、5・6世紀における日朝関係の実態解明を進める。 以上の作業を通じて、朝鮮半島三国時代の玉類の実態解明、さらに日本国内の渡来系玉類との比較検討を通じて、5世紀における日朝関係の変化やその実態について明らかにしていきたい。
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