研究課題/領域番号 |
21K00964
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分03050:考古学関連
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研究機関 | 奈良県立橿原考古学研究所 |
研究代表者 |
絹畠 歩 奈良県立橿原考古学研究所, 調査部調査課, 主任研究員 (50638103)
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研究分担者 |
奥山 誠義 奈良県立橿原考古学研究所, 企画学芸部資料課, 総括研究員 (90421916)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
3,900千円 (直接経費: 3,000千円、間接経費: 900千円)
2023年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2022年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2021年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
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キーワード | 古墳時代 / 古墳 / 棺 / 陶棺 / 彩色 / 生産・消費システム / 日本考古学 / 彩色顔料 / 採用過程 / 製作技術 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、古墳時代後期から終末期に製作・採用された陶棺を対象資料とする。陶棺の供給側視点に立った分析と、需要側視点に立った分析を通して、陶棺の生産・消費システムを復元することを目的とする。また、従来の考古学的検討とともに、三次元情報に基づく形態・製作技術の検討や、陶棺の彩色顔料の分析などを行う。以上の分析を統合することで、陶棺の社会的意義を明らかにし、当時の社会に迫る。
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研究実績の概要 |
3年目となる令和5年度は、陶棺の生産・消費システムに迫るため、さらなる調査・検討を行った。 陶棺の生産側の検討としては、陶棺生産窯の整理を行ったほか、これまで入手した画像をもとにSfMを利用した製作技術の検討を行った。前年度までに調査を行ってきた東国地域、四国地域の陶棺に加えて、新たに山陰地域の陶棺を対象として、検討を行った。東国地域では、畿内地域の土師系亀甲形陶棺の系譜関係の中で製作されるものの、独自の要素を加えて製作していることが浮き彫りとなった。東国地域・四国地域・山陰地域の陶棺の系譜関係とその背景については、学会発表を行ったほか、東国地域のうち福島県いわき市後田1号墳出土陶棺の系譜については、論文として成果を公表した。 さらに新たに行ったものとしてサイズの検討がある。近畿地域の陶棺は6世紀代から7世紀中葉にかけて、土師系・須恵系ともに全体的に小型化していく一方で、吉備地域の陶棺は7世紀代まで、大型のサイズが維持される傾向があることが明らかとなった。これらは、消費システムの検討とも関連し、背景として改葬を含む二次葬との関係を考察した。 消費システムの検討としては、これまで検討を行ってきた、陶棺の古墳への採用過程の検討を進めた。古墳データベースを更新したほか、特に群集墳の中で陶棺採用古墳の副葬品の帰属関係の検討を行った。 彩色顔料の検討として、借用していた山梨県出土の陶棺の分析を進めたほか、新たに大阪府和泉市出土の陶棺片を借用し、分析を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
本来であれば3ヵ年で研究課題を終了する予定であったが、新型コロナウイルスによる移動制限などはなくなったものの、これまでの2ヵ年で直面した事態により、全体的に遅延が生じている。また、他の業務の多忙からも研究課題の遅延が生じた。
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今後の研究の推進方策 |
1年間の延長申請を行い、研究成果を総括する作業を中心に行う。総括するにあたって、必要な陶棺の調査のための出張を必要最低限行う。また、これまで資料化した陶棺の製作技術の共通性の検討を行い、中心地域である近畿地域・吉備地域との比較を行うことで、他地域の陶棺の製作技術の共有性、独自性の発現頻度などを明らかにする。 消費システムの検討では、これまでに作成したデータベースから検討を行い、製作技術との関係を明らかにする。 彩色顔料の分析では、和泉市出土陶棺の検討を進め、これまで検討してきた資料の総合化を図る。 以上の検討を行うことで、研究課題の総括を行い、当初の目的である陶棺の社会的意義を明らかにし、陶棺が生産・消費される古墳時代後期から終末期の社会像に迫る。
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