研究課題/領域番号 |
21K00969
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分03050:考古学関連
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研究機関 | 山形大学 |
研究代表者 |
荒木 志伸 山形大学, 学士課程基盤教育機構, 教授 (10326754)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2021年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | 石造文化財 / 磨崖供養碑 / 立石寺 / 松島 / 屋号 / 形式 / 施主 / 雄島 / 霊場 / 東北地方 / 庶民信仰 / 山寺 / 建立者 / 墓標 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、立石寺の石造文化財の考古学的検討から建立者の具体像と造立背景を分析し、近世期における復興過程と庶民信仰の起源解明を目的とする。従来から進めてきた山内の石造文化財の調査を完了し、様々な視点から考察に着手する。特定の家が専有的に石造文化財を造立する事例の抽出や、山麓域の墓標戒名との照合作業から‘庶民’とされる建立者の実像に迫る。他霊場の石造文化財の在り方とも比較し、物質資料からみた地域密着型霊場としての立石寺の独自性を明瞭にしたい。また、地域及び日光社寺の文献分析を導入し、立石寺の復興を支援した宗教勢力等にもアプローチを試みる。研究成果は学会・誌上での発表と共にHPで広く公開を目指す。
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研究実績の概要 |
立石寺山内の未調査の石造文化財について、新型コロナウイルス感染症に関する学内ルールを考慮の上、年度内の実施を検討した。しかし、関係者との複数回にわたる協議の上、今年度も先送りすることにした。引き続き、個人で実施可能な調査、比較対象霊場の現地踏査・分析、研究に関わる文献収集などを中心に進めることとした。 石造文化財の建立者の解明のため、数回にわたり立石寺参道で磨崖供養碑の分布と刻まれ方について検討した。その結果、同時期に刻まれた可能性が高いものを複数抽出することができた。同時建立は、2基単位で刻まれる場合が多いようである。また、弥陀洞地区の調査では、銘文内容と磨崖供養碑の位置関係から、長期にわたり優先的に磨崖供養碑を建立していた家が2~3存在する可能性が浮かび上がってきた。今後、形式学的な検討と地名等の銘文内容を絡めて分析し、山内の近世前期における石造文化財の担い手となった人々の実相について明らかにしていきたい。 他霊場との比較検討に関しては、石造文化財の特徴において類似点の多い松島(瑞巌寺・雄島)と立石寺について、形式および銘文内容等に関する分析をおこなった。その結果、磨崖供養碑の形式について立石寺は板碑形が圧倒的と単一的であるのに対し、松島は様々な形式が存在し、それらは石塔の変遷課程とほぼ同じであることが判明した。施主についても、立石寺では屋号は1例のみしか確認できない一方、松島では雄島をはじめ屋号・氏族名が多数刻まれるといった差異が判明した。この成果に関しては論文誌上で公開している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
新型コロナウイルス感染症の影響により、学生アルバイトを雇用した立石寺での悉皆調査ができなかった。また、感染が拡大している地域への文献収集調査も控えた時期があった。しかし、それ以外の調査や他霊場との比較検討作業は順調に進んでおり、誌上報告や学会等での発表もおこなっている。
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今後の研究の推進方策 |
新型コロナウイルス感染症が5類へ移行するにあたり、悉皆調査の実施について改めて検討したい。立石寺はじめとする関係者と十分な協議の上、可能性を探っていく。ただし、山形県では感染者への影響等は他地域と一律に論じられない部分もあり、フィールドの関係者の意向を十分に考慮したい。他霊場への現地踏査や文献収集作業に関わる出張も、感染症の状況をみながら再開していきたい。
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