研究課題/領域番号 |
21K00971
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分03050:考古学関連
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研究機関 | 金沢大学 |
研究代表者 |
小柳 美樹 金沢大学, 古代文明・文化資源学研究所, 客員教授 (40436671)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2023年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2021年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
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キーワード | 考古学 / 中国史 / 農業史 / 青銅製農具 / 伝統農具 / 農耕史 / 青銅製農耕具 / 呉越 |
研究開始時の研究の概要 |
中国殷周時代にあたる呉越地域の農耕具における経済活動の実像について、および農耕技術の到達点について実証的に解明する。また、前代の新石器文化の各種石製農耕具(石庖丁、石鎌、石犁、破土器など)との系譜関係、農耕技術の継承と展開について考察を進め、長江下流域における農耕経済システムについて重層的な解明を行う。こうした江南地域における農耕技術の到達点、農業経済システムの解明は、中国農業史研究における重要な位置付けとなり、また、日本列島の弥生時代以降の農耕技術にどのように影響したのかを紐解くための糸口となることが期待できる。
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研究実績の概要 |
中間年度となる平成4年度での研究活動は、1)該当資料の集成および分類、 2)湿地・干拓地・深田における伝統農具の調査・比較研究を中心に進めることができた。 1)該当資料集成および分類では、前年度に引き続き、呉越地域の発掘報告書・青銅器研究文献などを基に行った。対象資料は青銅製農具として鎌、穂摘具、犂、鋤・耜が挙げられる。また具体的な対象地域は上海市、浙江省、江蘇省を中心としているが、浙江省内での紹興地区、長興地区などを重点に資料集成を行った。また『呉越春秋』などの歴史書を紐解きながら、農耕技術の画期と歴史的事件との関連なども注意深く考察を進めている。 2)前年度に引き続き湿地・干拓地に係わる伝統農耕具を、さらに今年度では新たに深田・高畦をキーワードに加え、中国~朝鮮半島~日本列島を中心に集成作業および実見調査を実施した。該当する資料の公開されている文献(史誌等)が少なく、またインターネット情報等からも資料の存在が不明な事例が多く、実際に現地の資料館・博物館に赴いて「発見」する資料も少なくなかった。今年度での調査先は青森・岩手・秋田・山形・新潟・富山・愛知・三重・奈良・和歌山・岡山・兵庫・広島・山口・島根であり、該当資料約80点については、実測・写真撮影を行った。同時に学芸員・解説員・参観者への聞き取り調査も行った。大半の資料が、文献や映像による記録が無いため、今回の調査結果を公表化するだけでも有益な研究成果となり得ると確信している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成4年度においても前年度に引き続き新型コロナウイルスの感染流行は収まらず、中国での現地調査の実施については甚だしい制限が発生することが予想できたため、やむなく渡航を自粛せざるを得なかった。そのため、資料調査を日本国内において実施することにして、呉越関係の史料は引き続き発掘報告書などからの抽出作業を行った。またその資料対象を呉越地域の農耕環境と同じような湿地・干拓地・深田・高畦に係わる伝統農耕具と定め、その資料集成と図化による記録を精力的に進めた。資料が集積されるにつれ、本件の農耕具の存在の重要性、さらにはその公開の必要性を強く感じるに至った。そのため有意義な研究活動が進められたと自己評価するところである。 なお、中国の研究者たち(特に浙江省考古研究所、上海博物館、北京大学所属)とはメールやチャット(メッセージ通信)などで適時、ほぼリアルタイムに意見交換ができており、多くの有益な教示を受けながら研究が進められている。
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今後の研究の推進方策 |
最終年度に当たる平成5年度では、中国での現地調査の実施できることを望み、安全かつ合理的な実施時期を判断したいところである。現地調査では、浙江省文物考古研究所、上海博物館の研究員による支援・共同研究がすでに確約されている。特に、これまでに集成した青銅製農耕具の実見による実測図類の点検、および同范資料の抽出作業を重点的に行いたい。これらを通じて、呉越地域における青銅製農耕具の生産、消費、廃棄・埋納についての実態を解明できることを目標とする。 また、日本国内で集成した伝統農具と中国での伝統農具資料との比較研究も続けて行いたい。 これらの研究成果の公表化を積極的に進めたい。
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