研究課題/領域番号 |
21K00983
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分03050:考古学関連
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研究機関 | 公益財団法人元興寺文化財研究所 |
研究代表者 |
塚本 敏夫 公益財団法人元興寺文化財研究所, 研究部, 研究員 (30241269)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2021年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | 武器祭祀 / 武具祭祀 / 小札 / 鉄鉾 / 鉄斧 / 王の舞 / 剣鉾の祭 / 鉄てい / 鍬形 / 祇園祭 / 剣鉾祭 / 武器・武具 / 祭祀具 / 鎮物 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、武器・武具を研究対象にして、今まで見落とされてきた資料を新たな視点で再調査を行い、戦闘用の武器・武具としての機能だけでなく、祭祀具として利用されている実態を明らかにすることを目的とする。 対象地域は日本列島を主とし、系譜調査で東アジア(韓国・中国)まで調査範囲を広げる。対象時代は金属製の武器・武具が登場する弥生時代から中世・近世までとする。 その作法の系譜、律令的祭祀や他の祭祀との関係性を探ること。さらに、日本列島での武器・武具の持つ存在意義の変遷や古人がどのような思いを込めて使用したのか、その精神世界にまで迫ることを最終的な目標とする。
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研究実績の概要 |
研究内容 本研究では以下の5項目の解明を行う。①武器・武具祭祀が日本列島にいつから受容されたかを解明するため、弥生時代の実態、特に鉾の祭祀利用を解明する。②韓半島や中国大陸との比較検討を行うことで、その系譜や祭祀の実態解明に迫る。③人形祭祀等の律令的祭祀や他の祭祀との関係性を探る。④古代の関東地方や東国地方での武器・武具祭祀の盛行の実態解明を行う。⑤神社奉納品の再整理と祇園祭の関係性を探る。 研究成果 ①弥生時代後期の瀬戸内海沿岸地域でも岡山市の百間川原尾島遺跡の焼失住居の竪穴住居6でわら状の植物製品で巻かれた鉄剣が出土しており、兵庫県の大中遺跡15次1号住居出土の鉄剣も有機質で巻かれており、ともに住居の片付け祭祀として利用されたことが判明した。この作法は後期後半には関西や中部、関東地方でも住居の片付け祭祀の作法として確認できる。また、鋳造鉄斧や板状鉄斧も同様な祭祀目的で使われていた可能性が出てきており、継続して調査予定である。③延喜式の祭器の一つとして記載されている鍬先の祭祀利用の実態を掴むための資料収集を開始した。また、新たに弥生時代中期の広形銅戈の鋳型一対が福岡市高畑遺跡23次から新たに出土しており、滋賀県高島市の上御殿遺跡出土の双環柄頭短剣鋳型一対と同様に、武器用鋳型も祭祀に利用されてきた可能性が出てきた。④新たな展開として三浦市間口洞窟遺跡から円頭篠札を含む2型式以上の鉄札片が出土しており、時期は確定できないが注目される。⑤剣鉾の祭りは祇園祭の地方拡散と伴に広がっており、長浜曳山祭りの長刀山は大刀渡りの太刀を飾る山で最初に渡り、水口祭りでも練物の最初は剣鉾で、垂井曳山祭りでも一番鉾は草薙の剣を飾ってあり、祇園祭の長刀鉾と同じ役割をしている。また、祇園祭りとは関係ないが、諏訪大社御柱祭りでも薙鎌をもって練り歩くことが調査で判明した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
理由 新型コロナ禍で特に海外での調査ができず、研究項目②の韓半島や中国大陸との比較検討を行うことで、その系譜や祭祀の実態解明の進展がなく、コロナ禍が収まり海外出張が可能な次年度に研究費を繰り越した。その他は順調に研究が進展している。
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今後の研究の推進方策 |
今年度はコロナ禍が収まり海外出張が可能となるため、韓半島や中国大陸との比較検討を行うことで、その系譜や祭祀の実態解明を進める。
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