研究課題/領域番号 |
21K00984
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分03050:考古学関連
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研究機関 | 奈良県立橿原考古学研究所 |
研究代表者 |
齊藤 希 奈良県立橿原考古学研究所, 調査部調査課, 主任研究員 (10808108)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
3,770千円 (直接経費: 2,900千円、間接経費: 870千円)
2023年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2021年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | 中国初期王朝時代 / 長城地帯と中原地域 / 土器編年 / 器種構成 / 土器のサイズバリエーション / 植物利用 / 長城地帯 / 中原地域 / 新石器時代 / 中国初期王朝期 / 植物遺存体 / 中国初期王朝 / 土器 / 動植物遺存体 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、中国先史時代の中でもとりわけ大きな転換期である紀元前2千年紀の中国初期王朝形成期における長城地帯と中原地帯との影響関係を究明する。特に、土器を分析対象として、器種構成、型式、装飾、製作技術など複数のレベルでの分布の状況を重層的に検討し、その時期的変化と地域差を明らかにする。さらに、各器種の拡散・受容のあり方を規定する土器の用途について、当該地域の食料資源や民俗事例をもとに推定する。それらの研究成果を統合することで、中国初期王朝形成期における長城地帯から中原地域の土器の拡散の背景にある、生活様式と集団間交流の実態解明をめざす。
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研究実績の概要 |
本研究では、紀元前2千年紀の中国初期王朝形成期における長城地帯と中原地帯との影響関係を究明することを目的としており、その中で、①土器の類似と差異の検討に基づく人・モノ・情報の動きの解明・②動植物遺存体に基づく食料資源の解明・③土器の用途推定、という3つの小目標を立てている。 本年度は、まず①に関して、引き続き概報や発掘調査報告書からの情報収集に努めた。データ収集の対象地域は陝西・山西・内蒙古自治・北京・河北・河南である。さらに、今年度は陝西省や河南省へ資料調査に赴く機会を得て、現地の博物館や工作站において土器の実見をおこなうことができた。現地において実際の資料の器面調整や口縁部形態を詳細に観察して得られた所見をもとに、これまでの土器の型式学的枠組みの検証と修正をおこなった。さらに中国では、近年刊行された発掘調査報告書をはじめとした関連書籍からの情報収集もおこない、本研究の基礎となる土器情報のデータベースの更新を進めた。②に関しては、前年度に情報収集をおこなった植物遺存体のデータをもとに遺跡・地域別での組成を通時的かつ広域に分析し、新石器時代から二里頭文化期における黄土高原と中原地域の植物利用について考察をおこなった。本研究成果の一部は、「植物遺存存体からみた黄土高原と中原地域の植物利用」と題した論文にまとめて発表した。③に関しては、煮沸具の複数器種のサイズ分化についての分析を継続し、成果の一部を「龍山文化期から商文化期にかけての調理具のサイズバリエーションの地域差-中国北方地域の資料を中心としてー」と題した論文で発表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
世界的な新型コロナウイルスのパンデミックが収束を迎え、今年度はようやく中国への渡航を実現することができた。現地では博物館や工作站での土器の実見や最新の研究情報を収集し、当研究の進捗に資する調査ができたと考えている。さらに、今年度は植物遺存体のデータ収集をもとにして新石器時代から商代までの植物利用に関する傾向を概観した研究成果と、土器の用途に関連してサイズのバリエーションの時期差・地域差をまとめた研究成果を、論文化して発表した。
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今後の研究の推進方策 |
本研究課題の最終年度であるため、これまでのデータ収集を現時点で入手できる最新資料まで完了させる。データ収集にあたっては研究協力員に作業の補助を依頼し、年度末までに今後活用しやすいデータベースとしての内容の精査と整理をおこなう。また、研究対象のうちで動物遺存体に関する情報収集が比較的遅れているため、それらのデータ収集と分析を進める。さらに、これまでの研究で検討が不十分であった地域・時期の土器の型式学的検討を早急に進め、広域での分類編年の枠組みを再構築する。中国における資料調査としては、中原地域の中心地である河南省安陽市・鄭州市での土器の実見を計画している。このほかにも現地の状況を鑑みながら、まだ実見していない資料の現地調査を実施する。
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