研究課題/領域番号 |
21K00990
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分03060:文化財科学関連
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研究機関 | 高知大学 |
研究代表者 |
徳山 英一 高知大学, その他部局等(名誉教授), 名誉教授 (10107451)
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研究分担者 |
望月 良親 高知大学, 教育研究部人文社会科学系教育学部門, 講師 (30814040)
谷川 亘 国立研究開発法人海洋研究開発機構, 超先鋭研究開発部門(高知コア研究所), 主任研究員 (70435840)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2023年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2022年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2021年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | 大名墓 / 青石 / 伊予青石 / 土佐藩 / 清澄庭園 / 帯磁率 / 測色計 / 土佐山内家 / 磁化率 / pXRF / 砂岩 / 花崗岩 / 産地同定 / 非破壊物性計測 / 色測定 / 石材産地同定 / 大名墓所 / 多変量解析 |
研究開始時の研究の概要 |
近世以前に建造された石垣、墓石、灯籠をはじめとした歴史文化的価値の高い大型石造物は、石材の供給地の情報から当時の産業文化を類推することができる。しかし、大型石造物の石材産地は文献に記録されていないものが多い。そこで、本研究では土佐藩主山内家墓所16代の大名墓標の岩石の種類と採石場を明らかにすることで、墓標の採石~施工~輸送までの一連のプロセスを明らかにする。また、大名墓標の石材産地が時代変遷してきた原因について政治・文化・産業的背景から明らかにする。さらに、大型石造物の石材産地を同定するための高度化した非破壊科学分析・多変量解析手法の確立を目指す。
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研究実績の概要 |
三波川変成帯の緑色片岩を起源とした青石は日本庭園を構成する重要な石材として古くから重宝されてきた。現在も記念碑やアートオブジェ等に使用されている。青石の石材産地は限定されていることから,青石の岩石物理的特徴の地域性を評価することにより,全国各地に分布する青石製の石造物の流通・制作過程、およびその歴史的背景を評価できる可能性がある。そこで本研究では,青石で制作された可能性が高い土佐藩第十五代藩主山内豊信の墓石を対象に石材産地の推定を行った。非破壊分析により磁化率,色(明度・彩度)を測定し,清澄庭園の庭石に用いられている青石,および愛媛県内の青石(伊予青石)と類似性を議論した。また,大名墓の表面に断面形状が直径5~25mmの円形の穴が複数あいていたため,穴の特徴についても分析を行った。その結果,大名墓は伊予青石の一部の記念碑の磁化率と色に類似性が認められた。また,墓石に開けられた穴は穿孔性二枚貝のカモメガイ, あるいは近似種の巣穴であることがわかった。同じ穴の特徴を持つ青石は西宇和郡伊方町内の石碑および海岸の転石でのみ確認できたことから,大名墓は佐田岬半島の海岸・海中で採石した伊予青石の可能性があることがわかった。また、伊予青石が明治初期に関東地方に流通した経緯として、帆船から蒸気船への代替に発した明治時代前後の国内の水路網の発達が考えられる。 本研究成果は石材の産地同定に石碑表面の幾何学的特徴(穴の形状や光沢度)を活用できることをうかがわせる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本研究は土佐藩山内家墓所の大名墓に使用されている石材の産地同定を目的とする。石材は花崗岩、青石、砂岩の3種類に区分できる。これまでに花崗岩製と青石製の大名墓について産地同定を行い、結論を導くことができた。その一方、砂岩製の大名墓についてはデータの取得は粛々と進めているが、結論を導くに至っていない。そのため研究計画を1年延長して4年目に砂岩製の大名墓の研究成果をまとめる計画に変更した。
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今後の研究の推進方策 |
石材産地同定のための研究手法はこれまで実施した方法を踏襲することから、新たな手法開発はない。また、砂岩の石材の産地の候補地区は文献からおおむね推定されている。これまでに2回採石候補地の現地調査を実施している。調査地点、取得すべきデータと資料についての情報はそろっていることから、論文投稿までの1年間の計画を立てて粛々と調査を実施していく。論文投稿は2025年2月を目標とする。
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