研究課題/領域番号 |
21K00995
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分03060:文化財科学関連
|
研究機関 | 国立研究開発法人森林研究・整備機構 |
研究代表者 |
高野 麻理子 国立研究開発法人森林研究・整備機構, 森林総合研究所, 主任研究員 等 (10353749)
|
研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
|
配分額 *注記 |
2,470千円 (直接経費: 1,900千円、間接経費: 570千円)
2023年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2022年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2021年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
|
キーワード | ラッカーゼ / ウルシ |
研究開始時の研究の概要 |
漆は、ウルシ樹木の樹液であり、重要文化財や伝統工芸品等に使用されてきた日本最古の塗料である。漆の主成分であるウルシオールはウルシラッカーゼにより酸化重合し、硬化乾燥して塗膜を生成する。ウルシラッカーゼは、漆樹液の青色成分に含まれる青色の酸化酵素として分析されてきた。一方、漆樹液中の非青色成分は、青色ラッカーゼの精製過程で除去されるため分析されていなかった。本課題では非青色成分中に新たな漆塗膜生成因子として発見した黄色ラッカーゼを精製、分析し、その機能と構造を解明する。
|
研究実績の概要 |
本課題では漆樹液の非青色成分中に新たな漆塗膜生成因子として発見した黄色ラッカーゼを精製、分析し、その機能と構造を解明することを目的とする。R4年度は、黄色ラッカーゼ(Lac)の酵素機能の分析を行った。 黄色Lacのラッカーゼ活性の特徴を青色Lacと比較するため、各基質のラッカーゼ活性をpH2.5-8.0の範囲で測定した。基質に3-メチルカテコールを用いた場合、黄色Lac活性はpH6.5で、青色LacはpH8.0で、最大値を示した。pH6.0以下では黄色Lacが青色Lacより高い活性を示し、pH7.5-8.0では青色Lacが黄色Lacより高い活性を示した。シリングアルダジンの場合は、黄色LacはpH7.5、青色LacはpH8.0で最大値を示した。pH5.0-7.5の領域で、黄色Lacは青色Lacより高い活性を示した。2,6-ジメトキシフェノールの場合は、黄色LacはpH6.5-7.5、青色LacはpH8.0で最大値を示した。黄色Lacは青色LacよりpH3.0-8.0の領域で高い活性を示した。4-メチルカテコールの場合は黄色LacはpH6.0、青色LacはpH8.0で最大値を示した。黄色LacはpH5.5-7.0で青色Lacより高い活性を示し、青色LacはpH7.5-8.0で黄色Lacより高い活性を示した。ABTSの場合は黄色LacはpH3.5,青色LacはpH3.0で最大値を示した。pH2.5-3.0で青色Lacは黄色Lacより高い活性を示した。グアヤコールの場合は、黄色LacはpH7.0、青色LacはpH8.0で最大値を示した。pH5.0-8.0の領域で黄色Lacは青色Lacより高い活性を示した。以上の結果より、ウルシの黄色ラッカーゼの酵素機能は存在従来知られた青色ラッカーゼとは性質が異なることが明らかになった。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
計画通りに研究を進め、漆の新規黄色ラッカーゼの酵素機能が、従来知られた青色ラッカーゼとは異なることを明確に示したので、達成度を(2)とした。
|
今後の研究の推進方策 |
漆の新規黄色ラッカーゼの構造解析を行い、従来知られた青色ラッカーゼの構造と比較検討する。
|