研究課題/領域番号 |
21K00996
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分03060:文化財科学関連
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研究機関 | 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構 |
研究代表者 |
熊谷 真彦 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 高度分析研究センター, 主任研究員 (80738716)
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研究分担者 |
植田 信太郎 東京大学, 大学院理学系研究科(理学部), 名誉教授 (20143357)
水野 文月 東邦大学, 医学部, 講師 (50735496)
石谷 孔司 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 生命工学領域, 研究員 (40826062)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2022年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
2021年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | DNAバーコーディング / 歯石 / 古代DNA / AmpliconSeq / イネ / 雑穀 / 古代ゲノム / 栽培史 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では歯石ゲノムを対象とした新規の古ゲノム分析手法を開発し日本列島人の穀物利用の歴史、その遺伝的背景の変遷を詳細に明らかにする。縄文から江戸時代にかけての歯石のDNA分析により、主要な穀物と考えられているイネ、アワ、キビ、ヒエの利用の有無およびその遺伝的多様性を調べ、各時代における日本列島人の穀物利用を考察する。利用されていた品種群や食味、色、収量や植物の背丈、出穂期、耐病性等の栽培において重要な形質について、現代のゲノム多様性情報および農業形質関連遺伝子の情報に立脚した古ゲノム解析を行うことにより詳細に解明し、古代の人々が利用した穀物の種類、特性、その変遷や農耕生活の理解を目指す。
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研究実績の概要 |
【研究目的】本研究では、特定の種群に特化した専用マーカーによる高精度な分類法と核遺伝子・ゲノムの新規分析法の開発とにより、古代に利用されていた植物種や品種の特徴を詳細に理解することを目指す。具体的には、古代の歯石試料のDNAからイネ、アワ、キビ、ヒエに着目し、これらの確実な分類、詳細な品種群の同定、および特定種の核遺伝子解析による形質情報の取得手法の開発を目指している。これにより、古代のヒトの穀物利用の歴史の一端を解明することを目指す。 【研究実施状況】 本年度は古代人骨試料からの歯石のサンプリングを実施することができ、国内の多数の研究者の協力により、大幅に試料の充実化ができた。近世を中心に、古墳~弥生~縄文以前も並行して進め、累計200以上を収集し、日本列島の広範な地域、年代についてカバーするコレクションが集積できた。得られた歯石試料について、江戸時代の試料を中心に古代DNA実験専用の施設、設備でのDNA抽出実験を進め、新規に設計したマーカーおよび先行研究でも用いられてきた、より汎用的なマーカーについてPCR法による増幅および次世代シーケンサーによる解読を進め順調にデータを得ることができた。同時代の炭化米などの炭化試料をもちいた研究と比して、非常に高効率でデータを得られる結果となっている。独自に開発した種系統を分類・同定する情報解析パイプラインを用いて、次世代シーケンサーで解読された配列データから種系統の分類もうまく行き、穀物の多様性に関しての知見が得られた。また、予想以上に配列の多様性が高い可能性がある結果も得られており、非常に興味深い。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
サンプリングを実施することができ、試料が大幅に拡充した。また、DNA抽出実験、PCR増幅およびデータ解析についても、葉緑体に設計したマーカーについて順調に進んだ。
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今後の研究の推進方策 |
葉緑体マーカーについて、近世の試料を中心に実験・解析ともに非常に順調に進展している。今後は、計画通りにより古い時代の試料についても実験・解析を進めていく。核DNAのデータをいかに取ることができるかが、分野として大きな研究課題であるが、現在のところ成功に至っていない。歯石DNAであっても、テンプレートDNAが微量であることが主因と考えられる。今後はこれを解決するための核DNAを濃縮する手法の適用が可能かを検討し、最適化を図りたい。
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