研究課題/領域番号 |
21K01002
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分03070:博物館学関連
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研究機関 | 國學院大學 |
研究代表者 |
内川 隆志 國學院大學, 文学部, 教授 (80176677)
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研究分担者 |
三浦 泰之 北海道博物館, 研究部, 学芸主幹 (50300843)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2022年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2021年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | フォトグラメトリ / アイヌ舞踊の図 / 榧園好古図譜 / 蒐古舎 / 三余堂 / 山本読書室 / 根岸友山 / 根岸武香 / 『榧園好古図譜』 / 集古舎 / 3D撮影 / 重圏文鏡 / 「アイヌ舞踊の図」 / 松浦武四郎 / 好古家 / 根岸有山 / 甲山 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究の核心をなす内容は、埼玉県熊谷の好古家、根岸有山(1810-1890)、根岸武香(1839-1902)父子に焦点を当て、今も根岸家に現存する古器物、記録類の実態と根岸父子と交流のあった知識人同士のネットワークを追求しその実態を顕かにするものである。冒頭に記した従来の日本博物館史研究で顧みられなかったこの視点は、近代博物館形成史、文化財行政史のみならず、揺籃期における人文科学そのものの成り立ちを考える。
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研究実績の概要 |
2022年度前半は主に根岸家に収蔵される埴輪類4点(いずれも人物埴輪)に関してフォトグラメトリによる3Dモデル化作業を実施した。これによってWEBサイト上でも当該資料の詳細な情報を公開できることとなる。 一昨年度の研究報告である『人文資料形成史における博物館学的研究ー根岸友山・武香旧蔵資料の研究と公開I』2022で五十嵐聡美氏が報告した「根岸武香旧蔵松浦武四郎画『アイヌ舞踊の図』について」の内容を新井端氏が補遺し、『熊谷市史研究』第15号 2023 に「『北海道土人図』についてー松浦武四郎から根岸家へ」を発表し、入手の経緯や図像の比較検討などが加えられ、より詳細な考証によってその資料的価値が再認されることとなった点は意義深い。また、昨年度の同研究報告IIには、内川隆志、樋口典昭氏によって「『榧園好古図譜』第一冊について」を発表し、同図譜に所載されている埴輪類を中心とした考古遺物の現所有者(機関)との対比を行い、検証可能な資料を集成した。新井端氏も『榧園好古図譜』第一冊に所載されている資料の考証として「船木遺跡出土『田村墨書須恵器』について」を発表している。加えて同研究報告Iに、新井端氏が報告した「根岸亭の古器物陳列場について」を補完する立場で、建築史学の専門家である金出ミチル氏と太田陽子氏を伴って蒐古舎の再度査を実施した結果、これまでにない視点での検証がなされ、構造的な問題や部材の用い方など、蒐古舎に関するさらなる詳細が明らかとなった。 三浦康之は、松浦武四郎と根岸武香との交流の歴史的な特質を理解する上での比較素材とするため、京都で本草学の学塾・山本読書室を主宰し、尊王攘夷思想を抱き、博物学や古物の方面にも関心を寄せていた山本家に関する資料群(京都府立京都学・歴彩館寄託・山本読書室資料)の中から、書簡や地図、蔵品目録など、武四郎との交流に関する資料を調査した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
概ね予定していたノルマはこなせたが、コロナ禍によって臨時雇員や現地調査の日程調整が合わず実施できない状況があった。
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今後の研究の推進方策 |
本年度が最終年度となるため引き続き資料調査を実施し、考古遺物のフォトグラメトリによる3D資料化などを加えて実施し、さらには資料化した遺物の報告書作成を行う。建築史学の専門家による現地調査によって得られた蒐古舎などの建造物調査を踏まえ、根岸邸内に友山が創設した私塾三余堂(小八林春日神社境内に移築され現存)の詳細調査を実施し最終報告に発表したする予定である。また、既に『人文資料形成史における博物館学的研究ー根岸友山・武香旧蔵資料の研究と公開I・II』でも紹介している『榧園好古図譜』全四冊に関して引き続き、各々の記載内容の紹介と考証を行ってゆく予定である。文献資料調査では三浦泰之氏による文献調査の推進を引き続き実施し、根岸友山・武香を取り巻く人的交流等に関してもさらに知見を深めたい。 昨年度実現できなかった弘前大学所蔵の埴輪を描いた軸装(蓑虫山人作)の調査を行う。この作品は蓑虫山人(土岐源吾)が当時目にすることができた唯一の埴輪群である根岸武香の蒐集資料をモデルとしたのではないかとの推定し、現物にあたってその内容を精査するものである。 研究成果のまとめは、既に2冊刊行している『人文資料形成史における博物館学的研究-根岸友山・武香旧蔵資料の研究と公開III』として刊行を予定している。本年度末には、國學院大學博物館において令和6年2月17日(土)~ 令和6年4月14日(日)の日程で、「好古家の実相-北武蔵冑山村の豪農 根岸家伝来の文化財-」を実施し図録も合わせて制作する予定である。
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