研究課題/領域番号 |
21K01003
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分03070:博物館学関連
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研究機関 | 岡山理科大学 |
研究代表者 |
亀崎 直樹 岡山理科大学, 生物地球学部, 教授 (50422366)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2023年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2022年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2021年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | ウミガメ / タイマイ / アオウミガメ / 剥製 / 漁業 / シンガポール / スラウェシ島 / べっ甲 / 宮古島 / 沖縄島 / 流通 |
研究開始時の研究の概要 |
タイマイ、アオウミガメの剥製は日本全国に多く存在する。これらは装飾品としての価値しかないが、両種は絶滅危惧種であり、貴重な標本であるとも言える。これらの剥製は八重山諸島石垣島、宮古島、沖縄島、奄美大島、沖永良部島で作られており、時にはシンガポール、インドネシア、ベトナム、マレーシアなど外国産のものもある。本研究は両種の剥製の制作技術から作者や原産国を明らかにし、原産地や最終日のわからない剥製の標本に少なくとも原産地のみは加えることができるようにするものである。これによってこれらの剥製の価値が上がり、生物学的な解釈も可能になる。
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研究実績の概要 |
タイマイおよびアオウミガメの剥製の製作者や製作場所を判別する研究を始めて3年が経過した。その間に国内で製作された剥製の特徴を調査したところ、奄美大島産のものは前肢が前方に大きく曲がっていることや宮古島産のものには背甲と腹甲の間に何も入っていないことなどが明らかになった。一方で頭部が垂直に上方を向いているものが和歌山県立自然史博物館などに存在しており、それは外国産ではないかと推察された。かねてから海外での調査の予定を立てていたが、コロナの影響でそれを実現できなかった。そこで、23年度はかつては多くの剥製を扱ったと思われるスラウェシ島マッカサルとシンガポールで調査を行った。まず、両地の人ともウミガメを販売したり剥製を作ったりすると現地で罰せられることを恐れ、頑なに証言を断った。しかし、都市から離れた集落では、実際にタイマイの剥製やべっ甲細工に使うべっ甲を見ることができた。また、NGOが主導してウミガメの保護をしている場所も見ることもできた。また、シンガポールでは漁港にいき、ヒアリングを試みたが、ここも同様に頑なに剥製に関する証言を拒まれた。しかし、シンガポールの漁港は主にインドネシアのボルネオ、スマトラ、スラウェシの各島からの水産物を直接水揚げをしており、そのため漁港に入るにはパスポートが必要であった。ボルネオ、スマトラそしてスラウェシ島の海域にはサンゴ礁が発達し、そこにはタイマイやアオウミガメが多く生息している。現地人は様々な漁法で魚を採取しているが、特に海に潜って魚を突いている人は、ウミガメがいればそれを捕獲した。アオウミガメは食用に売れた。タイマイは大きなものはべっ甲材として鱗板を剥いで商人に渡し,小さい個体は剥製にした。これらの剥製をマッカサルやシンガポールではかつて盛んに売買されていたことは確かである。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
初年度、および二年目では海外調査を予定していたが、コロナでいくことができなかった。また、コロナが収まっても円高で海外の調査が思うようにできなかった。しかし、3年目でようやくスラウェシ島やシンガポールを調査することができた。その結果、この周辺では剥製を1950年頃多く製作しておりそれをシンガポールで販売していたことが明らかとなった。
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今後の研究の推進方策 |
残りの1年でベトナムのニャチャンに行き、剥製製作の様子や歴史を調査する予定である。その上でこれまで4年間の成果をまとめ、論文の執筆に入る予定である。また、これまでの成果として第21回生き物文化誌学会で口頭発表する予定である。
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