研究課題/領域番号 |
21K01004
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分03070:博物館学関連
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研究機関 | 九州産業大学 |
研究代表者 |
緒方 泉 九州産業大学, 地域共創学部, 教授 (10572141)
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研究分担者 |
井上 幸一 福岡女子短期大学, その他部局等, 准教授 (30462097)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2022年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2021年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | 博物館浴 / 心理・生理測定 / リラックス効果 / 美術鑑賞 / 回想法 / 生理・心理測定 / 高齢社会 / 博物館学 / 音楽療法 / アミラーゼ |
研究開始時の研究の概要 |
超高齢社会へひた走る我が国の課題解決の一つに、「健康寿命の延伸」があります。 今回は、博物館と医療・福祉機関が連携した、高齢者に向けた「博物館健康ステーション」の方策研究を進めます。 具体的には、「この絵を見ると、気持ちいい」という主観的評価だけでなく、博物館の作品鑑賞前後に、生理測定(血圧、脈拍など)、心理測定(POMSなど)を行い、リラックス効果を実証し、「感覚から科学へ」研究を深めます。 こうした研究から、「森林浴」「温泉浴」などと同じように、高齢者の健康寿命延伸に役立つ「博物館浴(=博物館見学を通して,博物館の持つ癒し効果を人々の健康増進・疾病予防に活用する活動)」の広がりを目指します。
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研究実績の概要 |
これまで、博物館の高齢者プログラム研究は、回想法、音楽・美術鑑賞行動(以下、博物館行動)の有効性について、高齢者の心理的機能の緩和、認知的機能の改善、QOLの向上などが示唆されている。その評価については、感情変化や行動変化などの外的要因観察法=質的調査法が一般的であった。しかし、これらを博物館が福祉・医療機関と連携して導入するには、その効果に関する科学的な根拠が求められる。 本研究は、博物館行動によるリラックス効果=博物館浴効果を、心理測定(POMS、VAS法など)、生理測定(血圧、脈拍などの)やインタビュー調査などから検証することを目的とする。 そこで、研究初年度は、プログラム開発期と位置づけ、1.博物館行動に関する先行文献研究の国内外調査・分析(5 月~2 月) 2.高齢者の健康を考えたプログラムに関するWebアンケート作成・調査・分析(対象は、自治体の保健福祉部局、博物館など社会教育施設)(5 月~10 月) 、先進事例悉皆調査(12月 )3.博物館行動プログラムの開発実践、効果評価のデータ分析(9 月~1月) 4.「博物館健康ステーション」構想勉強会(心理・生理測定データの解析・プログラム検討: 学芸員、保健福祉担当者、医療従事者)(11 月~2 月、2 回程度)を計画した。 しかし、2021年4月以降、新型コロナウイルス感染拡大の第4波、第5波、第6波が続き、自治体の保健福祉部局、博物館など社会教育施設は新型コロナウイルス対策対応が著しかったため、先方での対応が困難なWEBアンケートや悉皆調査を断念せざるをえなかった。しかし、2022年度は、効果評価データ収集のための実証実験を本格化することができた、収集したデータを分析し、論文として発表することもできた。さらにオンラインによる米国、英国の研究者との研究交流ができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2021年4月以降、新型コロナウイルス感染拡大の第4波、第5波、第6波が続き、自治体の保健福祉部局、博物館など社会教育施設は新型コロナウイルス対策対応が著しかったため、「博物館浴」実証実験の実施は困難であった。しかし、2022年度に入り、実証実験を再開し、九州、沖縄地域の他、東海、近畿エリアでも実施することができた。 また、申請者らの博物館浴に関する論文作成や英訳をすることで、広く国内外の研究者に情報公開することができた。さらにオンラインによる英国の研究者との研究交流から、文化芸術を活用した「パーキンソン病」「脳卒中」「産後うつ」の人々に向けたプログラムを知る機会を得た。こうした研究活動の再開、継続、進展という面から、「おおむね順調に進展している」と言える。
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今後の研究の推進方策 |
2023年度は、2022年度に実施した、九州・沖縄、東海、近畿エリアの実証実験を拡大し、北海道などでも実施を行う計画である。 全国の博物館関係者の協力を得て、実証実験の数を増やし、「博物館浴」の研究成果を拡散していきたい。 合わせて、作成した研究論文の英訳により、オンラインによる米国、英国の研究者との研究交流を継続し、「博物館浴」研究の国際化を目指したい。
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