研究課題/領域番号 |
21K01009
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分03070:博物館学関連
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研究機関 | 独立行政法人国立科学博物館 |
研究代表者 |
篠原 現人 独立行政法人国立科学博物館, 動物研究部, 研究主幹 (10280520)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2023年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2022年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
2021年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | 関節 / 固定装置 / 棘条 / 担鰭骨 / 硬骨魚類 / 博物館標本 |
研究開始時の研究の概要 |
硬骨魚類の棘条を固定する仕組みを解明するために、系統的に多岐にわたる分類群に見られる相似形質の探索・収集を行い、そのメカニズムを明らかにする。その成果をバイオミメティクス等に応用できるように発信する。本研究は博物館に所蔵される魚類液浸標本を調査することで、魚類の内部形態の観察が有用な機器・部品開発につながる「発見」をもたらし、博物館の標本資料が工学的に役立つという新たな見方を提示するものである。少ない部品の組み合わせ(硬骨魚類では1つの棘を支える骨は2~3個しかない)で強固な固定能力を有する関節をつくることができれば、資源の浪費を抑え、産業と技術革新の基盤を提供することができる。
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研究実績の概要 |
硬骨魚類の一部でしかその存在が知られていなかった棘条の固定装置の多様性や固定と解除のメカニズムの調査を、各地の博物館や大学に保管される標本の観察と新鮮な標本の入手によって行った。旅行制限のために前年度まで訪問できなかった研究機関を含む5ケ所(高知大学、神奈川県立生命の星・地球博物館、西海区水産研究所、鹿児島大学総合研究博物館および京都大学舞鶴水産実験所)で標本調査を実施し、ハマギギ科、ベニマトウダイ科、フサカサゴ科などで固定装置を有する種を確認した。 20科をカバーする「固定装置を有する日本産魚種リスト」を作成し、棘条固定装置は淡水魚、浅海魚および深海魚に存在していることを明らかにした。一方で固定装置の存在を予測していた一部の魚類では、該当する装置は発見できず、棘条に付随する筋肉や周囲の腱の硬直による疑似的なものであると推定された。 「固定装置の多様化とメカニズムの解明」については、軟エックス線撮影やマイクロフォーカスエックス線CT撮影による観察に加え、解剖学的手法と電子顕微鏡を用いた骨格表面構造の観察によって進めた。過去に棘条固定装置の存在が示されていたもののその仕組みが十分に説明されていなかったマツカサウオ科について精査し、機能形態学からメカニズムの解釈を行なった。比較的研究されていたナマズ目に広くみられる棘条固定装置のメカニズムをより明確化した。さらにゴンズイ科のように有毒で固定装置によって起立状態になる危険な背鰭棘条を人為的に固定状態から解除する方法も発見した。 「固定メカニズムの類型化」では、担鰭骨の構造が特殊化するパターンと棘条の基部の構造が特殊化するパターンに大別されることを発見した。さらに一部の分類群に特有のメカニズムの存在も明らかになり、これらの成果を国内と海外の研究集会で発表した。
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