研究課題/領域番号 |
21K01010
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分03070:博物館学関連
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研究機関 | 横須賀市自然・人文博物館 |
研究代表者 |
柴田 健一郎 横須賀市自然・人文博物館, その他部局等, 学芸員 (20443327)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2024年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2023年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2022年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2021年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
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キーワード | 地層 / 博物館 / 展示 / フォトグラメトリー / 3-Dモデル |
研究開始時の研究の概要 |
フォトグラメトリーによって複数視点から撮影した写真から,地層の3-Dモデルを構築し,それを活用して博物館における地層の新しい展示法を開発する。地層からその成因を考えるためには,地層を立体的に把握することが重要である。これまで,地質学の展示は標本展示やパネル展示が主体であった。この研究では,端末操作で地層の3-Dモデルを多方向から立体的に観察でき,室内でも野外で地層を観察する時の状況に近づけさせ,動的,観覧者参加型の展示を開発する。多様な時代や環境,物理条件下で形成された地層から3-Dモデルを構築し,データベース化する。さらに展示会を開催し,観覧者の学習的な効果を評価する。
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研究実績の概要 |
神奈川県横須賀市,三浦市と岩手県宮古市,田野畑村で地質学的なフィールドワークを実施し,地層の特徴を記録するとともに,露頭写真を撮影した。また,横須賀市笠島,荒崎,三浦市浜諸磯ではドローンによって上空から地層を撮影した。複数視点から撮影された写真を基に撮影物の三次元的な形状を復元する手法,フォトグラメトリーによって,18点の地層・岩石の3Dモデルを構築した。構築した3Dモデルは以下のとおり。白亜系宮古層群田野畑層の津波堆積物 (岩手県田野畑村平井賀),古第三系の玄武岩 (三浦枕状溶岩,神奈川県横須賀市平作),中新統三浦層群三崎層の泥岩スコリア凝灰岩互層 (3点),スランプ構造,火炎状構造,コンボルート層理,タービダイト,アンティデューン,インジェクタイト (神奈川県横須賀市荒崎,笠島,三浦市城ヶ島,二町谷,大浦海岸,浜諸磯),中新統三浦層群逗子層の泥岩,カレントリップル (神奈川県横須賀市観音崎),鮮新統三浦層群初声層の斜交層理 (神奈川県三浦市油壺),鮮新統三浦層群池子層の凝灰岩凝灰質泥岩互層 (神奈川県横須賀市観音崎),更新統上総層群の斜交層理 (神奈川県横須賀市猿島),中新統三浦層群逗子層と更新統横須賀層の不整合 (神奈川県横須賀市馬堀町),更新統横須賀層の化石密集層 (神奈川県横須賀市馬堀町)。これにより,合計26点の地層・岩石の3Dモデルが蓄積された。さらに,3Dプリンターを用いて地層の3Dモデルから地層の模型2点を造形した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
計画していた米国西部でのフィールドワークが新型コロナウイルス感染症拡大の影響で令和4年度も実施できなかったため,「やや遅れている」と判断した。しかし,国内でのフィールドワークに力を入れることにより,合計26点の地層3Dモデルを構築できた。さらに,3Dプリンターを用いて地層の模型を造形できるようになり,展示物開発の基礎が整った。 地層の基礎調査に基づく研究成果として論文1件と書籍2件 (分担執筆),海外博物館の展示法について考察した論文1件が出版された。
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今後の研究の推進方策 |
令和5年度:地質学的なフィールドワークに基づく地層の3Dモデルの構築と,3Dプリンターによる模型の制作を継続する。それらに基づき,タブレット端末で3Dモデルをデジタル閲覧できる展示法や,地層の模型を効果的に使用した展示法について検討する。米国でのフィールドワークと,国際研究集会での発表を行う。 令和6年度:開発した展示物を基に展示会を開催し,アンケートやアイトラッキングによって見学者の閲覧行動を調査する。展示物の見学者に対する誘引度,魅了度,教育効果などについて評価する。所属する横須賀市自然・人文博物館の展示計画により,令和7年度の展示開催となった場合は,研究期間を1年延長する。
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