研究課題/領域番号 |
21K01012
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分03070:博物館学関連
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研究機関 | 神奈川県立生命の星・地球博物館 |
研究代表者 |
大西 亘 神奈川県立生命の星・地球博物館, 企画情報部, 主任学芸員 (00588270)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2023年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2021年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
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キーワード | 学術データ流通 / 標本デジタル化 / オープンサイエンス / クロスリファレンス / FAIR原則 |
研究開始時の研究の概要 |
博物館標本は、科学研究の証拠として参照・調査され、論文等の学術成果に引用される重要な学術データであり、現代では標本の画像や付随する情報にインターネットを通じてアクセスできることが世界的な標準となりつつある。しかし、国内の博物館では、標本画像や情報がインターネットで発信されておらず、学術データとしての利用がされにくい状況も少なくない。本研究では植物標本の画像化について、従来の手法における技術的課題の解決を図ることによって、導入障壁が低く、汎用性のある手法を開発し、標本画像の学術データ流通を意図した、次世代型の標本画像デジタル化手法の実践的な構築を実施する。
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研究実績の概要 |
2022年度は、本研究で計画する次世代型の標本デジタル化システムを構築するため、引き続き既存手法に関する情報収集や課題の整理を実施するとともに、撮影システムの主要な部分を構築し、実際に標本デジタル化を実施して経験的な情報の蓄積と課題の整理を行った。 具体的な実施内容としては、研究計画時の予定に沿って、標本デジタル化手法の開発と標本デジタル化の実施を主として実施し、あわせて学術データ流通を考慮した標本画像データ発信手法の開発と整備にも取り組んだ。 標本デジタル化手法の開発については、撮影手法ごとに適切なシステムを構築する必要があるものの、予算と実施期間に限りがあるため、2022年度には、対象資料と撮影手法を限定して、撮影システムを構築した。標本デジタル化の実施については、構築した撮影システムによるデジタル化を試行的に実施し、作業者からのフィードバックにより適宜システムの修正を加えながら運用上の課題の洗い出しや作業工程の汎用手順書の作成など、標準化のための情報蓄積を実施した。 学術データ流通を考慮した標本画像データ発信手法の開発と整備については、国内の植物標本室関係者への聞き取りや情報収集を継続的に実施し、標本の収蔵状況や標本のデジタル化と学術データ流通の実施状況の把握に努めた。なお、本研究の申請時には海外植物標本室を直接訪問して、先進的な取り組み事例の調査を計画していたが、新型コロナウイルス感染症の感染拡大状況に加え、極端な円安の継続によって、渡航費用ならびに滞在費用の高騰によって当初計画した予算内での実施が難しい見通しであったため、直接の訪問は行わず、オンラインでのやり取りを通じた情報収集や、国内他資料分野の研究者との交流を通じた情報収集に努めた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2022年度の実施内容については、研究計画時の予定に沿って、標本デジタル化手法の開発と標本デジタル化の実施を主として実施し、いずれも概ね計画時の想定通りに進捗が見られた。 ただし、新型コロナウイルス感染症の拡大状況下にあって、前年度に引き続き、研究に関連する研究者や技術者と直接的な情報交換を想定して予定していた出張などの一部が実施できなかった。しかしながら、2022年度の主たる実施内容である標本デジタル化手法の開発と標本デジタル化の実施については、前年度までにシステムの構築とデジタル化の実施に最低限必要な情報の蓄積を完了していたため、それらの内容について研究の進捗に影響を及ぼすものではなかった。現時点ではこのことによる今後の研究遂行上の支障は想定していない。また、現時点ではこのことによって今後の研究遂行が困難となる状況ではないが、前年度に見られたのと同様、システム構築に必要な資機材の調達において、調達期間の長期化や、調達予定価格の大幅な値上がりが継続して発生しており、当初の研究計画申請時に想定していた必要な資機材の調達が当初計画通りに進まない恐れがある。
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今後の研究の推進方策 |
引き続き、当初計画通りの実施を目指す。ただし、物流の不安定化と製品価格の上昇、極端な円安情勢の継続によって、今後も当初の研究計画申請時に想定していた外部研究者の協力や標本へのアクセス、必要な資機材の調達などの点において、計画が当初の想定通りに進まない恐れがある。外部研究者の協力については、リモートでの打合せや共同作業の形態変更を実施することで、研究遂行上の支障とならぬような配慮が可能である。また、標本へのアクセスについては、今後も研究実施者の所属機関や近隣の博物館等のコレクションを主な実施対象とすることで研究遂行上の支障とならぬような配慮が可能である。しかしながら、現時点ではこのことによって今後の研究遂行が困難となる状況にはなっておらず、引き続き当初計画通りの実施を目指して研究を進める予定である。
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