研究課題/領域番号 |
21K01021
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分04010:地理学関連
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研究機関 | 法政大学 |
研究代表者 |
五島 洋行 法政大学, 理工学部, 教授 (00398950)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2024年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2023年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2022年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2021年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | Digital Terrain Model / 等値線 / 特異点 / 見通し限界 / GIS / Bicubic spline surface / Tolerance / Curvature / Contour-Based Network / 数値地形モデル / 地形解析 / 高階微分 / 精度保証 |
研究開始時の研究の概要 |
入力データとして数値地形モデル(DTM)データを用い,非線形の地表面モデルを用いて高階連続な標高関数を設定し,入力データの解像度に縛られない任意の精度で解析可能な方法を構築する.標高やその勾配の高階微分を組み合わせ,曲線や曲面の丸みに着目し,制御点数の削減や目標誤差内に収める計算精度の保証などを行う.特に日射量解析と水文解析分野への応用を念頭におき,前者は地表面上の幾何的構造の解析のほか,見通し領域の作成など,空間的な位置関係の解析の枠組みを検討・整備する.後者は集水域抽出のための,流域の抽出と流量積算のしくみの非線形モデル版を構築する.
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研究実績の概要 |
数値標高モデル(Digital Terrain Model; DTM)データを用いた新たな地形解析手法の検討と試験的実装を行った。DTMモデルに双3次スプライン曲面を用いたときの,等値線 f(x, y)=0を求める課題を主に検討し,(1) 平坦な地形や特異点がある場合など,完全な軌道の検出が困難な場合への対応と,(2) 見通し領域の検出など,f(x, y)の勾配と(x, y)の一次式との積が双3次スプラインの形式で書ける場合への応用を検討した。 (1)に関しては,例えば8の字型の等値線の交点は特異点であるが,数学分野でよく知られた特異点の解消方法での仮定や枠組みと異なり,特異点の真の位置が不明,方向付き等値線の検出の際に方向ベクトルが特異点上で不連続かつ急激に変化する,という本質的な違いがある。このため特異点の推定位置は誤差を含む前提で特異点の近傍領域を定め,その領域への出入りという観点で軌道検出を行う方法を考案した。 (2)に関しては,固定された観測点から見通せる限界線の集合,たとえば尾根の検出に用いることができる。見通し限界点を X=(x, y)とし,固定観測点の座標を P=(p, q)とすれば,z=f(x, y)が双3次スプライン曲面の場合,f(x, y)の勾配ベクトル∇fとX-Pとが直交する条件は,再び双3次スプライン曲面と同一形式で記述できる。 前年度までの検討結果により,等値線 f(x, y)=0の検出はいくつかの特殊ケースを除き,許容誤差(tolerance)以上のものについてはすべて検出できるようになったため,この研究成果を適用することで新たな種類の特徴線の検出が行えるようになった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
年度当初に想定していた二つの大テーマ (1) 特異点を含む場合の軌道検出,(2) 見通し限界線の検出,について,(2)は順調に検討が進んだ。(1)については実在のDEMデータを用いた数値実験では,多くのケースの計算実験で良好な結果が得られているが,都市部の河川流域・ゼロメートル地帯など極めて平坦な地形や,人工的に与えた特殊な代数曲線では軌道検出がうまく行えない場合があり,一部未解決の技術的課題を残している。
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今後の研究の推進方策 |
開発・解決済のテーマについては論文執筆など対外発表のフェーズに移行する。 人工的に与えた特殊な曲線や,平坦な地形における等値線の検出など,完全には解決できていない課題については検討を継続するが,実用上問題ないレベルで良好な結果が得られれば,適用限界などを明らかにした上でとりまとめに移行する。
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