研究課題/領域番号 |
21K01026
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分04010:地理学関連
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研究機関 | 公益財団法人立山カルデラ砂防博物館 |
研究代表者 |
福井 幸太郎 公益財団法人立山カルデラ砂防博物館, 学芸課, 学芸課長補佐 (10450165)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2023年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2022年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2021年度: 2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
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キーワード | 氷河 / 立山 / 剱岳 / UAV / SfM / GIS / Lidar / GPS / 質量収支 / 飛騨山脈 / 気候変動 |
研究開始時の研究の概要 |
応募者らの研究で日本でも飛騨山脈に氷河が7つ現存していることが分かった。近年の温暖化に応答して、現在、世界の多くの山岳地で氷河が縮小消滅している。しかし、氷河は世界で一様に縮小傾向にあるわけではなく、スカンジナビアやカラコルム、西コンロンでは氷河が拡大傾向にあるなど地域差がみられる。本研究では、航空写真の解析や氷河体積の現地測量データ解析から日本の氷河が過去60年間で縮小傾向にあるのか否か明らかにする。また、氷河周辺の気象観測データと氷河変動を対比し、氷河変動を引き起こしている要因について検討すること目的とする。
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研究実績の概要 |
2023年度は6月1日と9月30日に干渉測位GPSを用いてはまぐり雪および内蔵助氷河の面積と縦断面を現地で測量し、UAVを用いた空撮とLidar観測も実施した。3Dモデル再構築ソフトとArcGIS proを用いて空撮画像データから10cmDEMとオルソ画像を作成した。作成された10cmDEMと干渉測位GPSデータから10cmDEMの誤差を求めた。空撮から作成したDEMの水平誤差および鉛直誤差はおおむね1m以下、Lidar観測から作成したDEMの水平および鉛直誤差は30cm以下であることを確認した。10月3日にヘリコプターをチャーターして三ノ窓・小窓・池ノ谷・内蔵助・御前沢・カクネ里氷河の空中写真撮影を行った。 2023年10月に地学雑誌に「剱岳三ノ窓氷河の内部構造」と題した三ノ窓氷河の20mボーリングの解析結果と氷河氷の形成プロセスに関する論文を投稿し、2024年4月に受理になった。 2024年3月19日、2021~2023年度の現地観測のデータをもとに日本地理学会2024年春季学術大会にて「立山・内蔵助氷河でのUAVを用いた積雪観測」と題した発表を行った。この発表では、UAV空撮およびUAV搭載Lidarを用いた内蔵助氷河上の積雪深観測の観測精度について速報した。UAV空撮による誤差(水平・垂直方向とも50cm程度)はヒマラヤの氷河での同様の観測とほぼ同じ程度でリーズナブルな値であるとの意見を頂いた。また、強風時にUAV観測を行うと誤差が非常に大きくなる点についても紹介したところ、現地観測の際に非常に参考になるとの意見も頂いた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究実績の概要にも記載したが2023年10月に地学雑誌に「剱岳三ノ窓氷河の内部構造」と題した三ノ窓氷河の20mボーリングの解析結果と氷河氷の形成プロセスに関する論文を投稿し、2024年4月に受理になった。飛騨山脈の氷河は氷河上に積もった雪がわずか2年程度で急速に圧密され氷河氷が形成されることにより維持されていることを公表することができた。このため、本研究はおおむね順調に進展していると判断された。
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今後の研究の推進方策 |
2024年度も6月と10月に干渉測位GPSを用いてはまぐり雪および内蔵助雪渓(氷河)の面積と縦断面を現地で測量し、UAVとUAV_Lidarを用いた観測を実施する。 10月にヘリコプターをチャーターして三ノ窓・小窓・池ノ谷・内蔵助・御前沢・カクネ里氷河の空中写真撮影を行う。 立山と剱岳の近年の氷河変動に関する論文の執筆・投稿する。
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