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コミュニティガーデンの包摂システムによる大都市域の「農」空間の保全と適正利用

研究課題

研究課題/領域番号 21K01031
研究種目

基盤研究(C)

配分区分基金
応募区分一般
審査区分 小区分04020:人文地理学関連
研究機関東京都立大学

研究代表者

菊地 俊夫  東京都立大学, 都市環境科学研究科, 客員教授 (50169827)

研究期間 (年度) 2021-04-01 – 2025-03-31
研究課題ステータス 交付 (2023年度)
配分額 *注記
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2023年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2022年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2021年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
キーワードコミュニティガーデン / 近郊内帯 / 近郊外帯 / 地域コミュニティ / 余暇空間 / 包摂構造 / 「農」空間 / 社会性 / 都市近郊内帯 / 都市近郊外帯 / 食育 / 大都市域 / 大都市近郊内帯 / 大都市近郊外帯 / 包摂システム / 結節点 / 農」資源活用ポテンシャル / 余暇活動 / 都市空間 / 共生関係
研究開始時の研究の概要

農村の自然基盤と社会基盤、および経済基盤(農業などの経済活動)の有機的な結びつきにより「農」空間がつくられている。このような「農」空間は都市の近郊や遠郊にかぎらず、都市化や混住化、あるいは農家減少や高齢化などの影響により、農村の景観や土地利用やコミュニティが脆弱化し、とりわけ「農」空間の衰退が大都市域で顕在化している。このような「農」空間を都市空間との共生により保全し、適正利用する仕組みを明らかにすることが本研究の主目的である。最終的には、この目的を達成するため、コミュニティガーデンを「農」空間と都市空間の繋ぎ手(ノード)として機能させる包摂システムの有用性と実装性を明らかにする。

研究実績の概要

今年度の研究ではコミュニティガーデンが近郊内帯から近郊外帯に立地移動する傾向にあることと、近郊内帯のコミュニティガーデンが社会的な意味(社会性)をもつことで存在意義を高めていることを明らかにした。具体的には、近郊の内帯と外帯におけるコミュニティガーデンの地域的な性格の違いを国内外の事例研究から明らかにした。近郊内帯のコミュニティガーデンは、ニュージーランドのネルソン都市圏の調査からも明らかなように、地域コミュニティの維持と地域住民の食育という社会的な意味(社会性)をもって存在していた。実際、ネルソン都市圏の近郊内帯では都市化の影響で地域コミュニティの結びつきが希薄になり、地区の美化活動やボランティア事業などの社会活動に支障をきたしていた。そのような課題を解決する事業の1つとしてコミュニティガーデンが導入され、作物の栽培や収穫を通じた作業は新住民と旧住民を結びつけるようになった。また、有機農業で栽培する作物は安全安心であり、環境負荷を与えないものとして地域住民の子どもの食育や環境学習にもつながった。それに対して、近郊外帯のコミュニティガーデンは、オランダとベルギーや日本における事例地域の調査で明らかにされたように、地域住民の余暇空間としての性格を強くしていた。そのため、近郊外帯のコミュニティガーデンの参加者は特定の地域コミュニティに集約されることはなく、さまざまな地域コミュニティに分散して属していた。つまり、近郊内帯のコミュニティガーデンは地縁的組織の性格をもつのに対して、近郊外帯のコミュニティガーデンは機能的組織として性格づけできる。これら2つのタイプのコミュニティガーデンはそれぞれ独立した存在形態で、外帯の形態から内帯の形態に進化するものなのか、それともそれぞれが役割分担して、関連しながら包摂構造を形成して都市圏の「農」空間を保全しているのかは最終年度の課題となる。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

コロナの影響もほとんどなり、国内外の調査が概ね順調に行われるようになった。そのため、研究は順調に進展しているといえる。

今後の研究の推進方策

コミュニティガーデンをノード(結節点)として都市と農村が共生する包摂構造の仮説モデルを実証研究に基づいて検証することが最終的な研究目標である。そのためには、国内外の多くの事例地域でフィールドワークを行い、都市と農村の共生が判別できる質的データと量的データを収集することが第一の研究の方向性となる。第二の方向性は、コミュニティガーデンの包摂構造に関する実証研究をまとめて、都市-農村の共生関係に関する包摂構造の一般化を試みることである。そして、第三の方向性は、コミュニティガーデンの包摂構造に関する都市農村の共生に関する研究を国内外の会議で成果として報告し、国内外の研究者との議論を行うことでさらに精緻化することである。

報告書

(3件)
  • 2023 実施状況報告書
  • 2022 実施状況報告書
  • 2021 実施状況報告書
  • 研究成果

    (18件)

すべて 2024 2023 2022 2021

すべて 雑誌論文 (7件) (うち国際共著 1件、 査読あり 3件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (10件) (うち国際学会 6件、 招待講演 2件) 図書 (1件)

  • [雑誌論文] コアラの人為的影響とその地域パターン: オーストラリア・クインズランド南東部を事例として2024

    • 著者名/発表者名
      ラナウィーラゲ エランガ*・矢ケ﨑太洋・菊地 俊夫
    • 雑誌名

      国際学報

      巻: 国際学報 ページ: 1-16

    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • 査読あり / 国際共著
  • [雑誌論文] 「地」の「理」を「学」ぶための5つの技能2023

    • 著者名/発表者名
      菊地俊夫
    • 雑誌名

      地理月報

      巻: 570 ページ: 14-17

    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [雑誌論文] 「地」の「理」を「学」ぶための5つの技能2023

    • 著者名/発表者名
      菊地俊夫
    • 雑誌名

      地理月報

      巻: 570 ページ: 14-17

    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
  • [雑誌論文] 首都圏における「農」資源の観光活用ポテンシャルによる地域区分-存続・発展のもう一つの方向性からみた日本の農業地域区分の新たな試みとして-2022

    • 著者名/発表者名
      菊地俊夫・野田瑞樹
    • 雑誌名

      地理空間

      巻: 15 ページ: 227-247

    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] リゾートと海-海辺がリゾートになるまで-2022

    • 著者名/発表者名
      菊地俊夫
    • 雑誌名

      TRANSIT

      巻: 55 ページ: 164-165

    • 関連する報告書
      2021 実施状況報告書
  • [雑誌論文] 世界地誌学習の可能性としての東南アジア・オセアニア2021

    • 著者名/発表者名
      菊地俊夫
    • 雑誌名

      新地理

      巻: 69 ページ: 61-69

    • NAID

      130007949188

    • 関連する報告書
      2021 実施状況報告書
    • 査読あり
  • [雑誌論文] 環境保全と観光振興の両立-小笠原諸島の試みから学ぶこと-2021

    • 著者名/発表者名
      菊地俊夫
    • 雑誌名

      人と国土

      巻: 21 ページ: 40-41

    • 関連する報告書
      2021 実施状況報告書
  • [学会発表] Sustainable Development of Wildlife-based Tourism in Urban-Rural Fringes: A Case Study of Anthropogenic Pressures on Koalas in South-East Queensland, Australia2023

    • 著者名/発表者名
      Ranaweerage E., Yagasaki, T. & Kikuchi, T.
    • 学会等名
      RuralGeo2023-3rd European Rural Geographies Conference
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • 国際学会
  • [学会発表] Restructuring and expansion of rurality through the development of traditional beer culture in the Arrondissement of Dunkirk, France2023

    • 著者名/発表者名
      Iizuka, R., Yagasaki, T. & Kikuchi, T.
    • 学会等名
      RuralGeo2023-3rd European Rural Geographies Conference
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • 国際学会
  • [学会発表] 地理学者が考える次期改訂に向けた魅力的な地誌学習のアイディア2023

    • 著者名/発表者名
      菊地俊夫
    • 学会等名
      日本地理学会春季学術大会
    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
    • 招待講演
  • [学会発表] 首都圏における「農」資源の観光活用ポテンシャルによる地域区分-存続・発展戦略のもう1つの方向性からみた日本の農業地域区分のための新たな試みとして-2022

    • 著者名/発表者名
      菊地俊夫
    • 学会等名
      地理空間学会
    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
  • [学会発表] New rurality and sustainability of agriculture in Japanese urban fringes: A case study of Kodaira City, Tokyo Metropolis2022

    • 著者名/発表者名
      Iizuka, R., Kikuchi, T. and Ota, K.
    • 学会等名
      The RGS-IBG Annual International Conference
    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
    • 国際学会
  • [学会発表] 地域資源を活かしたツーリズムの過去、現在、未来2022

    • 著者名/発表者名
      菊地俊夫
    • 学会等名
      サイエンスカフェRRM
    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
    • 招待講演
  • [学会発表] Tokyo as a Tourism Metropolis2022

    • 著者名/発表者名
      Ranaweerage, E., Kikuchi, T. and Yagasaki, T.
    • 学会等名
      The Seminar for Tourism and/in the Metropolis
    • 関連する報告書
      2021 実施状況報告書
    • 国際学会
  • [学会発表] 西オーストラリア州パース都市圏における複合的ベバリッジ・ツーリズムの共生と発展2022

    • 著者名/発表者名
      飯塚 遼・矢ケ崎大洋・菊地俊夫
    • 学会等名
      日本地理学会春季学術大会
    • 関連する報告書
      2021 実施状況報告書
  • [学会発表] Commodification of Rural Spaces Owing to the Development of Organic Farming in the Kootenay Region, British Columbia, Canada2021

    • 著者名/発表者名
      Kikuchi, T., Tabayashi, A. and Waldichuk, T
    • 学会等名
      The 28th Colloquium of the Commission on the Sustainability of Rural Systems, International Geographical Union
    • 関連する報告書
      2021 実施状況報告書
    • 国際学会
  • [学会発表] Sustaining Strategies of Urban Agriculture Based on Interaction with Urban Residents in the Tokyo Metropolis2021

    • 著者名/発表者名
      Iizuka, R., Ota, K. and Kikuchi, T.
    • 学会等名
      The 28th Colloquium of the Commission on the Sustainability of Rural Systems, International Geographical Union
    • 関連する報告書
      2021 実施状況報告書
    • 国際学会
  • [図書] 文化地理学-環境・景観・アイデンティティ・不平等-2024

    • 著者名/発表者名
      山本正三・菅野峰明・田林明・菊地俊夫
    • 総ページ数
      547
    • 出版者
      二宮書店
    • ISBN
      9784817605252
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書

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公開日: 2021-04-28   更新日: 2024-12-25  

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