研究課題/領域番号 |
21K01032
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分04020:人文地理学関連
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研究機関 | 大阪公立大学 (2022-2023) 大阪市立大学 (2021) |
研究代表者 |
藤塚 吉浩 大阪公立大学, 大学院経営学研究科, 教授 (70274347)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
2,600千円 (直接経費: 2,000千円、間接経費: 600千円)
2024年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2023年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2022年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2021年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
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キーワード | ジェントリフィケーション / 高層共同住宅 / 専門職就業者 / アフォーダブル住宅 / 家賃 / コマーシャルジェントリフィケーション / ツーリズムジェントリフィケーション / インナーシティ問題 / 都市景観 / 歴史的町並み / 建築紛争 / 家賃の上昇 / 空き家 / 世界都市 / 居住地移動 / パンデミック |
研究開始時の研究の概要 |
パンデミックを経験した世界都市においては、拡大する感染状況から逃れるために、人口密度の高い市街地から、低密度の周辺市街地、郊外、地方へと、フットルースな専門技術職就業者を中心に居住地移動が起こりつつある。大都市を拠点とする企業のなかには地方にサテライトオフィスを開設する動きもあり、その動向に応じて新たな住宅地開発の可能性がある。本研究では、パンデミックを経験した世界都市の都市再生動向に関して、GISを活用した計量的手法と現地調査を併用し、施策提言を目途に入れた都市地理学研究を行う。
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研究実績の概要 |
2023年度は、ロンドンとニューヨークについて現地調査を行うとともに、ジェントリフィケーションの研究動向に関して展望論文をまとめた。 ロンドンについては、National Statisticsにより、2011年から2021年までの職業別就業者数の変化を指標として検討したところ、タワーハムレッツの東部・南部とニューアムの西部において、専門職就業者の顕著な増加が見られた。これに関して、タワーハムレッツの東部・南部とニューアムの西部において現地調査を行い、主に次の三点の研究成果を得た。第一に、専門職就業者の増加したところについて詳しく分析すると、リー川沿いおよびライムハウスカットなどの水路に面していることがわかった。第二に、水路沿いにある工場跡地の多くに、高層共同住宅が建設されたことを明らかにした。第三に、リー川下流のボウクリーク沿いのところは、地下鉄・ドックランズライトレイル駅からの架橋により公共交通機関利用の利便性が高くなり、そこに建設された高層共同住宅の住戸は、高価格で販売されていることがわかった。 ニューヨークについては、2008-2012年から2017-2021年までの総家賃中央値の変化をみると、マンハッタン南部のソーホー、ブルックリンのブルックリンハイツと、ウィリアムズバーグおよびグリーンポイントでは、700ドル以上上昇した。そこで、ブルックリン北部のウィリアムズバーグおよびグリーンポイントにおいて現地調査を行った。グリーンポイント北部のイースト川沿いの地域では、多くの高層共同住宅が建設されたことがわかった。アフォーダブル住宅を供給する共同住宅建設には、許容容積率が付加される。これにより供給される住宅の多くは低所得世帯向きではなく、中所得以上の世帯向きの家賃である。イースト川沿いのウィリアムズバーグでは、公園の整備とともに、ホテルが建設されたことがわかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ロンドン東部における現地調査を行った研究成果については、日本地理学会秋季学術大会にて報告するとともに、大阪公立大学商学部公共経営学科編『公共経営序論』に「大都市衰退地区の再生-ロンドン東部を事例として-」としてまとめた。また、ニューヨーク市ブルックリン北部における研究に関しては、日本地理学会春季学術大会にて報告した内容をもとに、研究論文としてまとめる計画である。ジェントリフィケーションの研究動向に関しては、『都市問題』114巻に「日本のジェントリフィケーション研究の展開」の論文としてまとめた。
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今後の研究の推進方策 |
2024年度は、2020年の国勢調査の結果を利用して、東京都心周辺部において、都市再生の現地調査を行う。ニューヨーク市における現地調査の結果について、研究論文として取りまとめを行う。調査研究の成果については、人文地理学会大会において報告する計画である。
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