研究課題/領域番号 |
21K01033
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分04020:人文地理学関連
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研究機関 | 兵庫県立大学 |
研究代表者 |
和田 真理子 兵庫県立大学, 国際商経学部, 准教授 (80275297)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
2023年度: 260千円 (直接経費: 200千円、間接経費: 60千円)
2022年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2021年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
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キーワード | ニュータウン / 社会包摂 / 地域の居場所 / NPO / 居場所 / オールドニュータウン / インナーシティ / ボランティア / コミュニティ・ビジネス / コミュニティ経済開発 / 地域中間労働市場 / 社会的排除 |
研究開始時の研究の概要 |
①大都市内部の社会的排除が集中する地区の分布と特徴を明らかにするため、経済的地位の低下と人口減少に悩む神戸都市圏を取り上げ、イギリスのmultiple deprivation indexなどを参考に、小地域での統計データを分析し、社会的排除が集中する地区を明らかにする。 ② 神戸都市圏では、多くの社会的企業・NPO・ボランティア団体が、地域の課題を解決しつつ、同時に「地域中間労働市場」の役割を果たしている。先駆的な活動を行う団体にインタビュー調査を行い、特性や、果たす役割、働く人の属性などによって類型化を行う。 ③成果をまとめ、「地域中間労働市場」の日本モデルを提示し、日本版コミュニティ経済開発政策に向けた政策提言を行う。
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研究実績の概要 |
本研究は大きく分けて、①神戸都市圏において社会的排除が集中している可能性が高い地区の解明、②経済的統合による社会的包摂において社会的企業・NPOが果たす役割と地区別の違いの解明、③日本版のコミュニティレベルの地域経済政策の提案、という3つの目的を持つ。2023年度には①と③を進めながら、主に中心となる②に取り組んだ。 ①については、小地域統計の分析を続けており、インナーシティと郊外という、異なる形で社会的排除が進む地区の特性を明らかにしようとしている。については国内外の先進的事例を収集しており、大都市における日本版地域経済政策のあり方を考察している。 ②の社会的企業・NPOが果たす役割については、2022年度に西神ニュータウンのコミュニティかりばと協働で行った住民アンケートをもとに、広く社会包摂をするための居場所づくりについて考察した。ニュータウンではあっさりした付き合いを求める人が多いと考えられ、住民同士のふれあいや交流を前面に出した居場所づくりでは、高齢男性や現役世代は参加しにくい。そこで、地域には「二層の居場所」があることが望ましいと考えた。「第一層の居場所」は多世代が幅広く参加しやすく、「第二層の居場所」は積極的な交流がある結束性の高いものである。孤立しがちな人を包摂するためには前者が重要であり、大きく分けて2つの要素が求められる。第一は、必然的に立ち寄りやすく利用しやすいという空間的な要素である。 第二は、フラット・柔軟・開放的な参加者の関係性の要素である。これは、参加者の関係性が主人と客というようなものではなくフラットであること、参加者同士の関係性が固定化されず、選択と離脱の可能性が担保された、柔軟で開放性があるというものである。これは社会的な関係だけでなく、建物のしつらえのような空間的なものも関わる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本研究の目的①神戸都市圏において社会的排除が集中している可能性が高い地区の解明、②経済的統合による社会的包摂において社会的企業・NPOが果たす役割と地区別の違いの解明、③日本版のコミュニティレベルの地域経済政策の提案、のうち、②は順調に進んでいる。一方、学内業務と家庭の事情で、大学の授業休業中に十分な時間が取れず、①はGIS分析、③は国内外の優良事例の調査がやや遅れている。 しかし、成果の一部を学会発表し、1本の査読論文にまとめた。
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今後の研究の推進方策 |
①、③については、夏まで引き続き情報の収集および分析を行い、その後はまとめていく。 ②については、適宜追加調査を行い、①の結果とともに考察し、まとめる。 大学の授業のない期間に計画的に分析や調査を進める。
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