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EBPMに向けた地域格差問題と地方圏における人口移動に関する研究

研究課題

研究課題/領域番号 21K01047
研究種目

基盤研究(C)

配分区分基金
応募区分一般
審査区分 小区分04020:人文地理学関連
研究機関徳島大学

研究代表者

豊田 哲也  徳島大学, 大学院社会産業理工学研究部(社会総合科学域), 教授 (30260615)

研究分担者 奥嶋 政嗣  徳島大学, 大学院社会産業理工学研究部(理工学域), 教授 (20345797)
研究期間 (年度) 2021-04-01 – 2025-03-31
研究課題ステータス 交付 (2023年度)
配分額 *注記
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2022年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2021年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
キーワード人口移動 / 地方創生 / EBPM / 居住地選好 / Uターン / 地域格差 / COVID-19 / 就業構造
研究開始時の研究の概要

EBPM(エビデンスに基づく政策立案)では、政策目的の明確化とデータに基づく検証が求められる。地方創生政策の目標は、東京一極集中を是正し地方圏への人口の流れを促すことにある。本研究は、地理学の視点から客観的・構造的な地域格差と主観的・個人的な居住地選択を結びつけ、ライフコースに沿った人口移動の経済的要因と社会的要因を明らかにし、徳島県が推進するEBPMへの応用実践を目指すものである。

研究実績の概要

地方圏における人口減少を緩和するための政策として、域外への人口流出の抑制と人口回帰の促進を図ることが重要である。本研究では、2020年に「徳島県出身者のライフステージと居住地についてのアンケート調査」を実施した。初職時における県内残留行動と県外で就職した後のUターン行動について、賃金格差仮説、就業機会格差仮説、親の持家仮説を男女別に検証したところ、男女ともに親の持家仮説が支持された。実家居住によって得られる生活コストの軽減が、こうした行動の誘因になると考えられる。Uターンに関係する要因の分析結果からは、男性、1960年代生まれの世代、配偶者なしの属性で帰県率が高いこと、県外で最終卒業した県外就職者は帰県率が低いことが示された。また、出身地から初職地の地理的距離が大きいほど帰県率は低下すること、帰県者では初職地との給与格差に対応して出身市町村へのUターンの可能性が高くなることが示唆された。
こうした結果をふまえ、対象者を全国の地方圏に拡大し、2023年3月に2回目のアンケート調査を実施した。地方圏出身の回答者のうち、43%が進学や初職時に県外に転出し、その約半数がUターンしていることが推定される。現在の居住環境に関しUターン者の評価が高いのは、自然環境、人間関係、生活費用などであった。個人の主観的幸福感は、大都市圏および九州・沖縄地方でやや高く、東北と北陸地方で低い。幸福感との相関が最も高い要素は「人間関係の心地よさ」であり、社会関係資本の重要性が示されている。また、個人年収を比較すると、男で大卒の帰県者は非帰県者より低いが、一貫して出身県に住む定住者より有意に高い。さらに、階層帰属意識の分析から、帰県者は定住者より自己評価が高いことが指摘できる。これらの知見から、地方圏における人口減少緩和策のアピールポイントを、EBPMの観点から評価検討することができよう。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

本課題研究は、徳島県が総務省の支援を受けて取り組むEBPM推進事業と連携しておこなうものである。2023年度は全国学会における発表4件をおこない、投稿論文2件が公刊された。また、徳島県が設置するEBPM研究会において分析経過を討議し、ニュースレターの発行や職員研修の機会を通じ成果の還元につとめている。人口移動の経済的・社会的要因に関するいくつかの仮説を検証するため、2022年度と2023年度の予算を使って、全国の都道府県を対象とするインターネット・アンケート調査を企画実施した。その結果について分析をおこなっている。

今後の研究の推進方策

2023年に実施したアンケート調査の分析に継続して取り組み、学会発表や論文投稿をおこなう。これまで、地方圏出身者の居住地移動の要因は、就業機会や所得水準の地域格差から説明されることが多かったが、親の持ち家の有無、家族や地域の人間関係、ライフスタイルや価値観など社会的要因がUターン行動に大きな影響を及ぼすことがわかってきた。今後は、こうした説明を経済学、地理学、地域計画学、社会学、心理学などの理論に結びつけるとともに、データに基づく政策立案に向けた基礎資料を示したい。

報告書

(3件)
  • 2023 実施状況報告書
  • 2022 実施状況報告書
  • 2021 実施状況報告書
  • 研究成果

    (10件)

すべて 2023 2022 2021

すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 4件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (6件)

  • [雑誌論文] 徳島県の初職時県内残留行動の実証分析2023

    • 著者名/発表者名
      牧田 修治、豊田 哲也、奥嶋 政嗣、水ノ上 智邦
    • 雑誌名

      地域経済研究

      巻: 31 号: 31 ページ: 13-24

    • DOI

      10.15027/53855

    • URL

      https://hiroshima.repo.nii.ac.jp/records/2024541

    • 年月日
      2023-03-31
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • 査読あり
  • [雑誌論文] 徳島県の初職時県内残留率の実証分析2023

    • 著者名/発表者名
      牧田修治、豊田哲也、奥嶋政嗣、水ノ上智邦
    • 雑誌名

      地域経済研究

      巻: 31 ページ: 13-24

    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] 徳島県出身者の初職時Uターン行動の実証分析2022

    • 著者名/発表者名
      牧田 修治、豊田 哲也、奥嶋 政嗣、水ノ上 智邦
    • 雑誌名

      計画行政

      巻: 45 号: 4 ページ: 47-50

    • DOI

      10.14985/jappm.45.4_47

    • ISSN
      0387-2513, 2189-3667
    • 年月日
      2022-11-15
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • 査読あり
  • [雑誌論文] 地方圏における U ターン者と居住環境評価の特徴-徳島県出身者のアンケート分析から-2022

    • 著者名/発表者名
      豊田哲也、奥嶋政嗣、牧田修治
    • 雑誌名

      日本都市学会年報

      巻: 55 ページ: 179-188

    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
    • 査読あり
  • [学会発表] 地方圏出身者のUターン移動と相対所得仮説-個人の所得水準と階層帰属意識による分析-2023

    • 著者名/発表者名
      豊田 哲也、 奥嶋 政嗣
    • 学会等名
      人文地理学会大会
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [学会発表] 地域のウェルビーイングとUターン行動-EBPMアンケート調査の分析-2023

    • 著者名/発表者名
      豊田哲也、奥嶋政嗣、牧田修治
    • 学会等名
      日本都市学会大会
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [学会発表] 地方圏出身者はなぜUターンするのか-相対所得仮説の地理学的検討-2023

    • 著者名/発表者名
      豊田哲也
    • 学会等名
      応用地域学会大会
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [学会発表] 徳島県出身者を対象とした県外就職者のUターン行動に関する分析2023

    • 著者名/発表者名
      奥嶋政嗣、豊田哲也、牧田修治、森本寛太郎
    • 学会等名
      土木計画学研究発表会
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [学会発表] 地方圏におけるUターン行動と居住環境評価-徳島県出身者のアンケート分析から-2021

    • 著者名/発表者名
      豊田哲也、奥嶋政嗣
    • 学会等名
      日本都市学会大会
    • 関連する報告書
      2021 実施状況報告書
  • [学会発表] 学歴別に見たUターン移動と所得の地域格差2021

    • 著者名/発表者名
      豊田哲也
    • 学会等名
      人文地理学会大会
    • 関連する報告書
      2021 実施状況報告書

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公開日: 2021-04-28   更新日: 2024-12-25  

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