研究課題/領域番号 |
21K01049
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分04020:人文地理学関連
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研究機関 | 大分大学 |
研究代表者 |
大呂 興平 大分大学, 経済学部, 教授 (50370622)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2023年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2022年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2021年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
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キーワード | 牛肉 / 貿易 / フードシステム / 食料貿易 |
研究開始時の研究の概要 |
近年の世界的な経済成長は,牛肉の生産・貿易をめぐる世界地図を急速に塗り替えている.1990年代以降の四半世紀に牛肉の貿易量は3 倍以上に増加するとともに,輸出国も輸入国も多様化している.本研究は,こうした牛肉の生産・貿易における複雑な変動がいかなるメカニズムによりもたらされているのかを,1)生産性をめぐる生産現場の競争,2)ローカルな食文化に適応しそれを利用するフードシステムにおける競争,3)牛肉貿易のルールや制度をめぐる国際政治における競争という多元的な競争に注目し,これらを精緻かつ体系的に説明したい.
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研究実績の概要 |
令和4年度は研究期間の2年目にあたる.今年度は昨年度に引き続き,世界の牛肉生産・貿易の変動を,1)生産現場における生産性をめぐる競争,2)牛肉をめぐるフードシステムレベルでの競争,3)牛肉貿易のルールや制度をめぐる国際政治レベルでの競争という,主体の異なる多元的な競争に注目して把握することを試みた.当初は米国やブラジルでの現地調査を計画していたが,新型コロナウイルスの拡大による制限も残っていたことから,今年度は,2010年代以降における日本の肉牛部門の生産・輸出の変化について,既存の行政資料や文献を通じて,その動態を上記の枠組みのもとに解釈することを試みた.結果の概要は下記のように整理できる. 1)日本の牛肉生産は世界的にみて土地装備率がきわめて低いが,土地利用の粗放化が進んだ2010年代以降もそうした傾向に大きな変化がない.これは,集約的な条件下で個体管理を徹底することで,和牛肉の高い品質を通じた差別化を図ろうとする生産者の努力を反映している.2)ただし,現在の日本の牛肉のフードシステムは,産地の商品を国内で大量かつ効率的に流通するという目的のもとに生成したものであり,個々の生産者の品質をめぐる具体的対応を商品の付加価値に結びつけることが難しい.この点で,日本の牛肉のフードシステムは高級品としての牛肉輸出には適しておらず,他の輸出国との競争にも不利な状況にある. 3)牛肉貿易のルールや制度をめぐる国際政治という意味では,日本はそれまでの保護主義的な主張とは反対に相手国の市場開放や関税削減を求める必要に迫られており,成果をあげるのが困難な構造的課題に直面している.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本年度は,主要国であるアメリカ,ブラジルなどで現地調査を実施したいと考えていたが,新型コロナウイルスの影響で,調査が困難であった.現地調査を通じた多元的な分析・比較が,来年度以降の課題として残されている.
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今後の研究の推進方策 |
できる限り海外での現地調査を行い,主要国であるアメリカ,ブラジルを念頭において,牛肉の生産・貿易をめぐる複雑な変動を多元的に把握する.ただし,現地調査が困難な場合は,海外の状況について文献や統計等で正確に跡づけるよう試みる.
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