研究課題/領域番号 |
21K01051
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分04020:人文地理学関連
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研究機関 | 大阪公立大学 (2022-2023) 大阪府立大学 (2021) |
研究代表者 |
水野 真彦 大阪公立大学, 大学院現代システム科学研究科, 教授 (80305664)
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研究分担者 |
長尾 謙吉 専修大学, 経済学部, 教授 (50301429)
立見 淳哉 大阪公立大学, 大学院経営学研究科, 教授 (50422762)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
3,380千円 (直接経費: 2,600千円、間接経費: 780千円)
2023年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2022年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2021年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | 経済地理学 / 地理的環境 / 産業転換 / 産業高度化 / 市場創造 |
研究開始時の研究の概要 |
変化の激しい現代経済において,先進国の都市・地域では,産業を自ら変化させ,その市場を維持ないし拡大させることが求められている。本研究は,産業の転換・高度化,市場創造と地理的環境について経済地理学的視点より考察する。考察すべき第一の点は,産業の転換・高度化,市場の創造が起きるような環境的条件はいかなるものかという点の解明である。ここで,環境条件とは,集積の規模・構成や建造環境,関係性や諸制度,グローバルなネットワークにおける位置づけを指す。ただし,実際には環境的条件だけでなく,変化を起こすアクターもまた重要であり,それらのアクターが主体的に果たす役割についての解明が第二の考察すべき点となる。
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研究実績の概要 |
変化の激しい現代経済において,先進国の都市・地域では,産業を自ら変化させ,その市場を維持ないし拡大させることが求められている。本研究は,産業の転換・高度化,市場創造と地理的環境について経済地理学的視点より考察するものである。本年度の主な成果は以下の三点である。 本年度の成果は第一に,市場と社会のバランスという観点から,これまでの経済地理学及び隣接分野の地域経済発展の理論と政策について考察した。空間・都市経済学,制度派経済地理学,進化経済地理学,グローバル価値連鎖論,グローバル生産ネットワーク論,内発的発展論,アルタナティブな開発論などの議論が,どのように市場というものを評価し,どの程度社会的要素を考慮に入れているかという点から検討し,それによって導き出される政策はどのように異なるものになるかを整理した。その成果は「人文地理」75巻4号に展望として掲載された。この研究は,産業の転換や高度化が市場と社会のバランスのなかでいかに生じるかについての知見に貢献するものであると考える。 第二の成果は,研究分担者の立見と長尾によるもので,地域発展についてのコンヴァンシオン経済学からの検討である。Storper and Salaisによる「生産の世界」論は,製品の性質決定を軸に調整形態の多様性を描きだしたが,その議論は今日の価値づけの議論に結びついており,さらに市場を与件とするのではなく,市場自体の構築・創造を議論するうえでのコンヴァンシオン経済学は経済地理学に重要な理論的ツールを提供していることを論じた。この成果は2023年7月にフランスの政治経済学会で発表し,今後英語で発信する予定である。 第三の成果は,研究分担者の長尾によるもので,東大阪の中小製造業と住工混在問題について,ミクロレベルの考察を政策と関連づけながら論じ,英語で国際的に発信するものである。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
研究レビューおよび研究枠組の構築,理論的議論の成果については順調に進んでいる。しかし,これまでの新型コロナ感染拡大の影響でフィールド調査がしにくかったことなどもあり,実証的な調査については遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
調査は,産業の転換・高度化に関するものと市場創造・価値づけに関するものに分けられる。これまで蓄積してきた近接性や価値づけの議論や,ローカルな需要の深耕の意義などの論点を盛り込みながら,独自性のある研究を目指す。
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