研究課題/領域番号 |
21K01059
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分04030:文化人類学および民俗学関連
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研究機関 | 島根大学 |
研究代表者 |
福井 栄二郎 島根大学, 学術研究院人文社会科学系, 准教授 (10533284)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
2023年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2022年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2021年度: 260千円 (直接経費: 200千円、間接経費: 60千円)
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キーワード | 人格 / 死 / メラネシア / ヴァヌアツ / 歴史 / 社会変容 / オセアニア / 想起 / 文化人類学 / 墓 |
研究開始時の研究の概要 |
現在、科学技術が発展し、価値観が多様化するなか「人間」と「人間でないもの」の境界 が不明瞭になりつつある。胎児、ロボット、AI、動物(ペット)、脳死等、人間の要件を揺るがす事例も多くみられる。そうしたなか「人格論」「person論」は再び注目されるべき領域となっている。本研究は、ヴァヌアツ・アネイチュム島の事例を用いて、新たな人格論の構築を目指すものである。
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研究成果の概要 |
本研究は、伝統的な社会における社会変容を視野に入れた新たな人格論を構築することを 目的としていた。具体的にはヴァヌアツ共和国にて調査を行い、人々のキリスト教的な「死」をめぐる理念や実践を詳細に把握した。そこから、西洋的な歴史観、身体観に支えられた人格が新たに形成されたことを明らかにし、伝統的人格観と併存している様相を克明に描き出した。 成果として2023年度に『共在する人格:歴史と現在を生きるメラネシア社会』(春風社)を出版した。これにより「人格の併存」という観点から、メラネシア独自の近代化論を展開することができた。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本研究の独自性は、一つの社会のなかに複数の人格形成の規範があると捉える点である。本研究ではそれこそが近代化やグローバリゼーションに対する、メラネシア社会独自のリアクションと描き出すことができた。 また人格を論じる本研究は、今後、社会的要請の高い隣接分野との協働が可能である。具体的には、①ケアを扱う社会福祉学や医学・看護学の分野と、②生殖医療や脳死問題を扱う生命倫理学の分野との連携である。どちらの領域も、本研究のキーワードである「誰」という人称性の問題が問われている。本研究の成果はこうした現代社会の新たな問題とも接続し、展開することができる。
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