研究課題/領域番号 |
21K01063
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分04030:文化人類学および民俗学関連
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研究機関 | 開智国際大学 |
研究代表者 |
古賀 万由里 開智国際大学, 国際教養学部, 教授 (20782345)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
2023年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2022年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2021年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
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キーワード | マレーシア / シンガポール / ヒンドゥー教 / 華人宗教 / シンクレティズム / ディアスポラ |
研究開始時の研究の概要 |
静態的で歴史的に論じられていた「シンクレティズム」の動態的な面に着目し、政治や身体性から複数の宗教が融合する過程を分析する。具体的には、多民族国家マレーシアにおいて、マイノリティのインド系移民が実践しているヒンドゥー教と、中国系移民が実践している中国宗教が、儀礼や祭礼の中で混合している状況に注目し、信仰の対象や儀礼形態の類似性が生み出されるメカニズムを、当事者たちの語りや実践を観察することから明らかにする。また、インドで同様の儀礼や祭礼を調査し比較することによって、多文化社会における宗教文化と本土における宗教文化との相違点や類似点を見出し、シンクレティズム現象が生じる要因を検討する。
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研究成果の概要 |
多民族国家マレーシアにおいて、ヒンドゥー教と華人宗教がいかに混合し、新たな形と価値観を生み出しているか、またシンクレティズムの文化的・社会的・歴史的要因について明らかにした。文化的要因としては、図像的類似性、教義的類似性(多神教、化身、輪廻転生)、儀礼的類似性(憑依、自傷行為、火渡り)による模倣、神格の資質の変容により、神格の同一視と流入が生じていることが挙げられた。社会的要因としては、開発、土地問題、民族政策により両宗教が合祀または合体するようになったことが指摘された。歴史的要因としては、英領期およびその後の開発による、両民族の近接性や、結婚や養子縁組による文化の浸透性が挙げられた。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
多民族国家では、宗教間の対立や紛争が絶えない。マレーシアにおいては、1969年以来、大きな宗教対立が生じていない。その背景としては、民族対立を回避する政策があるが、一方でマレー人優遇政策を続け、ムスリムと非ムスリムの心理的溝は開いている。移民宗教であるヒンドゥー教と華人宗教が、互いの価値観を認め、共同で寺院運営を行い、合祀または合体している現象は、多宗教の融和の可能性を示すものである。融和の要因として、文化や社会、歴史的要因を解明できたことは、他の地域での宗教対立を解決する一助となるであろう。
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