• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 前のページに戻る

フォト・エスノグラフィーのモデル化に関する基礎研究

研究課題

研究課題/領域番号 21K01070
研究種目

基盤研究(C)

配分区分基金
応募区分一般
審査区分 小区分04030:文化人類学および民俗学関連
研究機関姫路獨協大学

研究代表者

岩谷 洋史  姫路獨協大学, 人間社会学群, 講師 (00508872)

研究分担者 花村 俊吉  京都大学, アフリカ地域研究資料センター, 特任研究員 (30727178)
田原 範子  四天王寺大学, 人文社会学部, 教授 (70310711)
岡田 浩樹  神戸大学, 国際文化学研究科, 教授 (90299058)
研究期間 (年度) 2021-04-01 – 2025-03-31
研究課題ステータス 交付 (2023年度)
配分額 *注記
3,900千円 (直接経費: 3,000千円、間接経費: 900千円)
2024年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2023年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2022年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2021年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
キーワードフィールド体験 / エスノグラフィー / エスノグラフィック・フォトグラフィー / フォト・エスノグラフィー / フォールド経験 / フィールド経験
研究開始時の研究の概要

本研究は、デジタル化時代における文化人類学のフィールドワークの過程で収集される写真データを活用する一つの方法として、写真を主体にしたフォト・エスノグラフィーの実践を理論的に精緻にし、発展させることを目的とする。既存のエスノグラフィーにおける写真表現のなされ方や、エスノグラフィー全体のなかでの写真の位置付けを精査すると同時に、フィールドワークを行う調査者が、写真を主体にしたフォト・エスノグラフィーの実践を行う際に、いかにして自らのフィールド経験を再構成していのか、そのプロセスを検討する。このような研究活動を通じて、フォト・エスノグラフィーのモデル構築、およびその定式化を図ることを目指す。

研究実績の概要

①文献資料収集。エスノグラフィック・フォトグラフィー(民族誌学的写真術)の探究のための文献資料の収集を行った。②フォト・エスノグラフィーの実践。岩谷は主に商品の価値付けを探究する観点から清酒製造現場や商品が流通する国内外の場において、花村は人間とニホンザルとの相互関係を理解する観点から瀬戸内海島嶼部のフィールドで、田原は人びとの生活世界を描写することを目指し、ガーナやウガンダでのフィールドにおいて、フォト・エスノグラフィーの実践を行い、成果物を作成した。③学部・大学院生向け調査実習の運営。岡田はフォト・エスノグラフィーの手法を採用した調査実習等を運営しているが、自身が所属する大学以外の集中講義(調査実習)でも、この手法を採用し、作成された実習成果物を査定することで課題を整理した。④他分野の研究者との連携と研究会の開催。文化人類学分野以外の他分野の研究者とも連携し、研究体制の基盤の強化を図りつつ、研究会(オンライン形式)を3回開催した。第1回目(2023年06月07日)では、田原と花村が各自のフィールドでのフォト・エスノグラフィーの実践を具体的に紹介した。第2回目(2023年12月28日)は、岡田が担当する集中講義での発表会に他研究メンバーも参加して、受講生らの成果物を検討していく機会とした。第3回目(2024年01月08日)では、岩谷、田原、花村によるフォト・エスノグラフィーの実践による成果物を検討し、課題を整理した。一方、本研究活動を基盤に、国立民族学博物館での共同研究(研究課題名:フォト・エスノグラフィーの実践に関する方法論の検討、代表者:岩谷洋史、期間:2023年10月から2026年3月まで)を開始し、相互に連動する形で研究活動を推進させた。⑤研究成果の公開。生態人類学会第29回研究大会で岩谷のフォト・エスノグラフィーの実践の具体例に関する研究成果報告等を行った。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

2023年度は、新型コロナウイルス感染症の蔓延による行動制限はほぼ解除される形となり、研究代表者(岩谷)、及び研究分担者(田原、花村)が各自のフィールド(国内外)でフォト・エスノグラフィーの実践を行うことができるようになった。各自のフィールドにて、資料として活用する写真を取得することができ、前年度までに構築した基本的な枠組みに沿う形で、各々がその実践の成果物を作成した。フォト・エスノグラフィーの実践の具体的なプロセスを事例としつつ、基本的な枠組みに関する学術論文として提示することが今後の課題であるが、論文執筆の進捗状況は遅れぎみと言える。その大きな理由として、2023年度は、研究協力者を含む、研究活動に参画するメンバー間で、研究会(オンライン形式)を通じてフォト・エスノグラフィーに関する議論を重ねたものの、新たな課題も見出され、いまだ、基本的なモデル構築に不可欠となる概念定義については、メンバー間で合意に至っているとは言えないことが挙げられる。調査者のフィールド経験を再構成する方法やプロセスに焦点を当てた考察は研究活動を開始してから行ってきたものの、エスノグラフィック・フォトグラフィー(民族誌学的な写真術)を含めた、写真撮影、及び、取得される写真それ自体の特性(特に画像と言語の関係)についての考察が十分にできていないところが大きいと言える。引き続き、先行研究に関する文献資料の収集、および、その資料のメンバー間での読解と理解を通じて、と同時に、研究協力者として参画してもらう国内の関連研究分野の研究者との連携を軸にした専門知識の提供や議論を通じて、研究課題を達成する方向へと目指したい。

今後の研究の推進方策

引き続き、関連する先行研究の把握のための文献資料の収集、構築した関連分野の国内外の研究者との連携を基盤にした、研究会の開催(オンライン形式を中心にして、年間3回開催を予定)、及び、電子メールなどを含むコミニケーションツールを介して、研究代表者・研究分担者・研究協力者間で議論を展開していく計画を策定している。なお、この計画は、2023年度から開始された国立民族学博物館との共同研究と連動させる形で、推進させていく。今後の研究で検討すべきことは、構築したフォト・エスノグラフィーの基本的な枠組みを念頭に置きつつ、①フォト・エスノグラフィーの実践によって作成される成果物を他者と共有できる形で提示する方法、②エスノグラフィック・フォトグラフィー(民族誌学的な写真術)を含めた写真撮影の方法、③生成される写真それ自体の特性(特に、画像と言語の関係)などに対して当てたい。そうした議論を踏まえた上で、フォト・エスノグラフィーのモデル化を精緻にし、理論的な深化を図っていく。一方で、研究成果の公開に関しては、これまでの研究活動で得られた新たな知見を整理した上で、学術論文執筆を射程に入れた上での本研究活動の研究成果を国内学会にて行っていく。今後、万が一、研究が計画通りに進まない時など研究代表者、研究分担者、 さらには研究協力者間で意見交換をしながら、計画の進行の調整、修正、及び、改善などを含め、常に柔軟な姿勢で対処していきたい。

報告書

(3件)
  • 2023 実施状況報告書
  • 2022 実施状況報告書
  • 2021 実施状況報告書
  • 研究成果

    (10件)

すべて 2023 2022 2021 その他

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (7件) 備考 (1件)

  • [雑誌論文] フォト・エスノグラフィーの基礎的モデルの検討:フィールドでの写真撮影の難しさについて2023

    • 著者名/発表者名
      岩谷洋史・田原範子・花村俊吉・岡田浩樹
    • 雑誌名

      生態人類学会 ニュースレター

      巻: 29 ページ: 44-49

    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [雑誌論文] 人類学教育におけるフォト・エスノグラフィーの実践:学部生の調査実習を事例にして2022

    • 著者名/発表者名
      澤野美智子・岩谷洋史
    • 雑誌名

      神戸文化人類学研究

      巻: 6

    • 関連する報告書
      2021 実施状況報告書
    • 査読あり
  • [学会発表] モノの多様な価値づけの生成について:播磨地域で製造される清酒を事例として2023

    • 著者名/発表者名
      岩谷洋史
    • 学会等名
      第29回生態人類学会研究大会
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [学会発表] 山口県周防大島町・大水無瀬島のニホンザル:近年の人との相互行為と自動撮影カメラを用いた社会構造の推定2023

    • 著者名/発表者名
      花村俊吉・原竜也・藤本正明
    • 学会等名
      第39回日本霊長類学会大会連合大会
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [学会発表] フォト・エスノグラフィーの実践における基礎的モデルの検討:フィールドでの写真撮影の難しさについて2023

    • 著者名/発表者名
      岩谷洋史・花村俊吉・田原範子・岡田浩樹
    • 学会等名
      生態人類学会第28回研究大会
    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
  • [学会発表] サルを観察する人、人を観察するサル:大水無瀬島と情島におけるサルと人の関係誌2023

    • 著者名/発表者名
      花村俊吉
    • 学会等名
      第28回生態人類学会研究大会
    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
  • [学会発表] 山口県周防大島町・大水無瀬島のニホンザル:人びとによる島の利用の歴史と新たな調査地としての可能性2022

    • 著者名/発表者名
      花村俊吉・林 泰彦・青山徳幸
    • 学会等名
      第76回日本人類学会大会・第38回日本霊長類学会大会連合大会
    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
  • [学会発表] 創出される地域の特産品としての清酒:兵庫県の播磨地域を事例として2022

    • 著者名/発表者名
      岩谷洋史
    • 学会等名
      日本文化人類学会第56回研究大会
    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
  • [学会発表] マハレの野生チンパンジーにおける呼吸器感染症の流行2021

    • 著者名/発表者名
      花村俊吉
    • 学会等名
      第37回日本霊長類学会公開市民講座
    • 関連する報告書
      2021 実施状況報告書
  • [備考] フォト・エスノグラフィー研究会

    • URL

      http://www.photoethnography.sakura.ne.jp/

    • 関連する報告書
      2021 実施状況報告書

URL: 

公開日: 2021-04-28   更新日: 2024-12-25  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi