研究課題/領域番号 |
21K01073
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分04030:文化人類学および民俗学関連
|
研究機関 | 国立歴史民俗博物館 |
研究代表者 |
川邊 咲子 国立歴史民俗博物館, 大学共同利用機関等の部局等, 特任助教 (70867374)
|
研究分担者 |
川村 清志 国立歴史民俗博物館, 大学共同利用機関等の部局等, 准教授 (20405624)
堀井 美里 合同会社AMANE, 調査研究ユニット, 業務執行社員 (90578262)
|
研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2023年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2021年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
|
キーワード | 民具 / 緩やかな保存 / 地域資料の保存・活用・継承 / 地域民具資料 / 資料情報の記録・公開 / 資料情報の蓄積・発信 / 地域民具コレクション |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、民具資料を地域で活用・継承していくための資料整理・保存の方法の検討・実践を行い、今後の地域民具コレクションの整理・保存の実践モデルを提示することを目的とする。そのために、① 民具コレクションの整理手順のモデル化、② 「緩やかな保存」の事例検証、③ 記録・蓄積すべき資料情報の選定と公開の3つの研究課題を掲げ、石川県輪島市・珠洲市と岩手県奥州市などの事例を対象に実践的研究を行う。地域の様々なアクターを巻き込んだ民具の価値付けと新たな保存・活用方法の創出を目指し、資料情報や手続きに関する情報の記録・蓄積・発信についても検討・実践を行う。
|
研究実績の概要 |
珠洲市においては、大蔵ざらえプロジェクトで各家から収集した民具とその情報・データの整理に取り組み、民具の収蔵・展示施設としてスズ・シアター・ミュージアム分館「大蔵ざらえ収蔵庫」を開館させた。そこでは、民具を家ごとのまとまりで収蔵し、民具の寄贈者から聞き取った家のストーリーをパネルにまとめ展示した。また、ワークショップ等のイベントができる設備を整備し、市民とともに民具の研究や活用を考える実験的な場としての活動計画を関係者と協議した。令和6年能登半島地震により、スズ・シアター・ミュージアムと分館も民具資料の破損等の被害を受けたため、資料の整理・修復の対応や被害状況の記録などについての方法を共同研究員など市外の関係者とともに実践・検討を続けている。 奥州市においては、市内の地域において市民が中心となって管理・活用している民具資料群を現地視察し、地域民具資料の保存・記録・活用の実情について聞き取り調査を実施した。奥州市のこうした民具資料群は、現在まで比較的良好な状態で市民によって維持管理されていることが分かったが、資料情報の記録や公開については課題が大きい。そうした地域民具資料情報の共有や欠如情報の収集を支援するための市民参加型プラットフォーム(民具Web)の開発を学術資源リポジトリ協議会(Re*poN)と共同で進めている。 さらに本年度は長野県筑北村における民具の「緩やかな保存」の実践についての調査を実施し、岐阜県高山市においては市所蔵民具の調査と展示イベントを実施した。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
珠洲市や奥州市等のフィールドでの調査や、学会等での研究発表等、概ね順調に進めることができた。しかし、令和6年能登半島地震の発災により、1月以降に珠洲市で開催を計画していた民具の活用を考える市民ワークショップが実施不可能となり、次年度以降も開催の見通しが立っていない状況である。一方で、今回のような甚大な災害の被害を受けた地域にとって、民具やそれを扱う文化施設がどのような意味を持ちうるのかといった新たな課題に向き合うこととなった。こうした地域課題の中で民具の「緩やかな保存」を考えていく必要がある。
|
今後の研究の推進方策 |
次年度は、これまで実施してきた調査や展示などの研究活動の成果をまとめ、民具の「緩やかな保存」のモデル化等の分析を行う。特に珠洲市・輪島市においては、地域民具資料情報の公開と、被災資料の情報の記録・共有について検討する。また、それらの民具資料情報の蓄積と公開に向け、引き続きRe*poNと共同で民具Webの開発を続け、実際に民具資料情報を用いてイベントを開催するなど、実践的な検討を行う。そうした研究成果について、国内外での学会や学術雑誌等での発表を進めていく。また、そうした中で、震災からの復興など、地域が抱える喫緊の課題の解決に歴史文化資料がいかにアプローチできるのかといった課題に取り組んでいく。
|