研究課題/領域番号 |
21K01103
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分05010:基礎法学関連
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研究機関 | 白鴎大学 |
研究代表者 |
平山 真理 白鴎大学, 法学部, 教授 (20406234)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
2023年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2022年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2021年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
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キーワード | 裁判員制度 / 被告人 / 被害者 / 市民参加 / 法教育 / 裁判員 / 刑事裁判 / 被告人の権利 / 犯罪被害者 / 陪審制度 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、被告人の観点から裁判員裁判がどのように評価できるのかに焦点を当て、裁判員裁判において被告人の立場を経験した者(以下、被告人経験者と言う)や弁護人だった者(以下、受任弁護士という)等に対する聴き取り調査を行う方法を中心にして、そこから明らかにする。 また、市民の視点の入った判決が被告人の更生意欲に何らかの肯定的影響を及ぼすのか、それを被害者はどのように評価するのかについても、犯罪被害者団体や更生保護関係者に対する聴き取り調査等から明らかにする。
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研究実績の概要 |
2022年度は、被告人の権利の観点から裁判員制度をどう評価できるかについて、被告人の更生保護に携わる人々(保護観察官や更生保護施設の職員等)や、被害者参加弁護士として豊富な経験を有する弁護士に対し聴き取り調査を行った。 また、2022年度は研究成果の社会還元にも力を入れた。日本学術会議・法学委員会・「市民性」涵養のための法学教育システム構築分科会主催の公開シンポジウム「18歳と司法への市民参加」を企画し、本課題研究が共催というかたちで参加した。このシンポジウムでは、高校3年生の若者や高校教員をパネリストとして加え、18歳の若者が司法に参加するうえで持つ疑問や要望、また高校における法教育のあり方について議論を行い、裁判員制度の課題をひろく議論できたことには大きな意義があったと言える。 また、研究代表者が編者としても携わった『民主的司法の展望:四宮啓先生古稀記念論文集---統治主体としての国民への期待』(日本評論社 2022)の執筆者のうち、海外の研究者を中心としたパネリストによるセッション「Democracy in Justice, Respect for Individuals and Popular Sovereignty- Honoring Professor Satoru SHINOMIYA」(Global Meeting on Law and Society, 7月にリスボンで開催)を企画し、チェアを務めた。そこでは、日本、アメリカ、アルゼンチンにおける市民参加型刑事裁判について比較し、議論を行った。 本研究のこれまでの成果を「かくして裁判員制度は始まったーしかし、欠けていたのは何か?被告人の視点、被害者の視点、そしてジ ェンダーの視点」としてまとめ、須網隆夫編『平成司法改革の研究: 理論なき改革はいかに挫折したのか』(岩波書店 2022)の中の一章として刊行した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2022年度は、被告人の権利の観点から裁判員制度をどう評価できるかについて、裁判員裁判を担当した弁護人や、被告人の更生保護に携わる人々、さらには被害者参加弁護士として豊富な経験を有する弁護士に対し聴き取り調査を行った。今後もより多くの聴き取り調査を行う予定である。 本研究のこれまでの研究成果を論文「かくして裁判員制度は始まった―しかし、欠けていたのは何か?被告人の視点、被害者の視点、そしてジ ェンダーの視点」としてまとめることができ、その論文が掲載された本が全国紙の書評に取り上げられ、また研究代表者の執筆章についても言及があった。そのため、被告人の選択制の是非を中心とする、被告人の権利の観点から裁判員制度を再検証するこの研究についても社会的関心が高まることを期待している。 2022年度は、研究成果の社会還元として、学術会議公開シンポジウム「18歳と司法への市民参加」に本研究課題が共催というかたちで参加し、日ごろ意見を交わす機会の少ない高校生や高校教員と法学者が広く意見を交換する場を持つことができた。裁判員制度の今後の展開において若い世代や広く社会一般に向けた法教育、法学教育のあり方はどうあるべきかという新しい視点を学ぶことができたので、今後の本課題研究の発展に活かしたいと考える。 一方、国外調査に関しては、諸事情から2022年度も行うことができなかった。陪審制度等、市民が刑事裁判に参加する制度との比較研究は本研究においても重要な位置を占める。従って、2023年度は諸外国との比較法研究に力を入れて本研究課題を推進したい。
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今後の研究の推進方策 |
本研究課題では、被告人の権利の観点から裁判員制度をどのように評価できるかについて、裁判員制度に様々な立場で関わる人々、具体的には被告人の弁護人や被害者支援に携わる弁護士、また更生保護従事者にインタヴューを行うことを内容としており、今後もその聴き取り調査を継続する。 また、2023年度は陪審制度をはじめとした刑事裁判における市民参加制度を有する諸外国においては、被告人の観点をどのように位置付けているかについて、比較法的研究を行うことを積極的に行う予定である。そこにおいては、海外調査だけでなく、諸外国において、市民参加型刑事裁判の研究やそれに関わる実務家等を招いたシンポジウムや研究会(対面、オンラインの両方を検討する)を開催することを研究手法として活用したいと考える。 また、2023年度も国内外の学会報告の機会を活用し、学会機関紙等に積極的に論文を投稿したいと考える。 さらに、2023年度は一般公開のシンポジウムや研究会を複数回行い、裁判員制度について、専門家以外の市民からも広く意見やコメントを得られるような試みを行い、研究成果の社会還元を積極的に行いたい。
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