研究課題/領域番号 |
21K01117
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分05010:基礎法学関連
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研究機関 | 神奈川大学 |
研究代表者 |
岩田 太 神奈川大学, 法学部, 教授 (60327864)
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研究分担者 |
秋元 奈穂子 立教大学, 法学部, 准教授 (40517877)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2023年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2021年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
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キーワード | パブリック・ヘルス・ロー / 日米台比較 / 感染症対策 / 法の役割 / 緊急時と平時 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は,新型感染症・発症予防対策などの公衆衛生分野における法の役割に関する日本・台湾・合衆国の比較研究である. そのため,文献研究と実地調査を交えて,今般のコロナ蔓延時などの緊急事態下のみならず,人々の健康全般および発症予防を重視する平時の「パブリック・ヘルス・ロー」の視覚とその具体的な法制についても包括的に検討する.従来十分注目されることのなかった,パブリック・ヘルス・ロー(「公衆衛生と法」)を包括的に検討し,未知の部分も多い新型感染症など緊急事態下の対応と,発症予防を中心とした新生児スクリーニングや予防接種などにおける平時のパブリック・ヘルス・ローの機能について,共通性と差異を検討する.
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研究実績の概要 |
本研究の目的は,新型感染症・発症予防対策などの公衆衛生分野における法の役割に関する日本・台湾・合衆国の比較研究である.そのため,文献研究と実地調査を交えて,今般のコロナ蔓延時などの緊急事態下のみならず,人々の健康全般および発症予防を重視する平時の「パブリック・ヘルス・ロー」の視覚とその具体的な法制についても包括的に検討することである.従来十分注目されることのなかった,パブリック・ヘルス・ロー(公衆衛生と法)を包括的に検討し,未知の部分も多い新型感染症など緊急事態下の対応と,発症予防を中心とした新生児スクリーニングや予防接種などにおける平時のパブリック・ヘルス・ローの機能について,共通性と差異を検討する. コロナ禍によって合衆国および台湾などでの十分な実地調査は行えていないが,当初の目的である関連分野についての包括的な文献研究を中心に行ってきた.特に,今般のコロナ蔓延時などの緊急事態下のみならず,人々の健康全般および発症予防を重視する平時の「パブリック・ヘルス・ロー」の視覚とその具体的な法制についても包括的に検討してきた.またその際,従来十分注目されることのなかった,パブリック・ヘルス・ロー(Public Health Law,公衆衛生と法)を包括的に検討し,未知の部分も多い新型感染症など緊急事態下の対応と、発症予防を中心とした新生児スクリーニングや予防接種などにおける平時のパブリック・ヘルス・ローの機能について,共通性と差異について検討を始めた.第2,3年度においては,引き続き文献研究を継続するが,2023年度に代表者が長期訪台予定であり,可能な限り最大限実地調査を含め検討したい.そして「パブリック・ヘルス・ロー」の視覚を,日台米の3国比較により総合的に検討を行い,広く人々の健康をめぐる法機能を探る予定である.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
初年度は,以下(a-c)の3点について検討を始めた.(a)この分野の第一人者であるGeorgetownのGostinの一連の分析など多くの文献があるので,それらを網羅的に検討し,現段階での理論的な到達点及び課題と限界を検討してきた.(b)2001年の同時多発テロや炭疽菌テロを契機に,合衆国では従来の「PH」関連法の抜本的な見直しが始まったが,一つの到達点であるモデル法(Model State Emergency Health Powers Act)の内容的特徴とその後の展開の検討を行ってきた.これは,バイオ・テロ・新型感染症などの脅威に対する現行法の対応能力の向上と,現代の憲法体制に基づく人権保護,適正手続とのバランスを探る試みである.(c)緊急事態下を含めた感染症対策の法的整備に対する支援を行うCDCや,研究者・実務家で構成されたThe Network for Public Health Lawには,COVID- 19への緊急事態対応を含め,「PH」活動で問題となる法的論点や裁判例が集積されている.それらを活用し現場においてどのような法的論点が実際に問題とされているかを分析してきた.例えば合衆国では,生活必須サービス以外の業種への休業命令,外出制限,集会禁止,さらに重症リスクの高い囚人の一時的釈放などめぐる多様かつ相当数の判決があり,それらの網羅的な検討を行ってきた. その成果の一部として,代表者および分担者,台湾国立陽明交通大学のカンファレンスにおいて,コロナ禍の法制の課題などについて,日米の情況英語で報告した.Futoshi IWATA, "Coercion or voluntary Cooperation:Examining the COVID-19 Pandemic Regulations in Japan, Naoko AKIMOTO "Use of medical products in the public health emergency - comparison of US and Japanese systems" " 2021/12/2, The 25th Narional Technology Law onference , [School of Law , Natioal Yang Ming Chiao Tung University, Taiwan].
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今後の研究の推進方策 |
第3(2023)年度においては、第1-2年度の包括的な文献調査に基づき、平時における「PHL」に関する議論がどのような論点について行われているかを日台米との対比から分析する.先行研究の蓄積がある予防接種の問題などについても網羅的に検討する.加えて日本については,過去の感染症対策の問題点,特にハンセン病者への苛烈な対応,集団接種での注射針使い回しによるB型肝炎被害など負の歴史について,「PHL」の視覚からどのような問題と課題が見出せるのかを検討する. 最終年度は,所属研究会・学会において,早期に口頭報告を行い,専門家からフィードバックを受けた上で,論文執筆を行う.さらに海外においても発表の機会を探る.具体的には,2023年6月18日開催の日米法学会総会シンポジウム(成蹊大学において)『COVID-19パンデミックと医療と法:パブリック・ヘルス・ロー(Public Health Law)の役割などに焦点をあてて』において,研究代表者が企画責任者として,また研究分担者も報告者などとして中心的に参画し,その成果の一部を報告し,その成果も学会誌である『雑誌アメリカ法』に掲載する予定となっている.シンポジウム当日においては国内の専門家も参加することから研究に対するフィードバックも得て,さらに研究を充実させる予定である.
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