研究課題/領域番号 |
21K01121
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分05020:公法学関連
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
鈴木 敦 北海道大学, 大学院法学研究科, 教授 (50612397)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
3,900千円 (直接経費: 3,000千円、間接経費: 900千円)
2023年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2022年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2021年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
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キーワード | 憲法史 / 日本国憲法制定過程 / 日本占領 / GHQ / オーラル・ヒストリー / オーラルヒストリー / GHQ |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、第二次世界大戦後の日本占領関係者を対象とした聞き取り調査記録の分析・検証を通じて、日本国憲法の制定過程を再検討するものである。今日広く受け入れられている現行憲法制定史は、実証研究に裏打ちされた堅実な成果であるものの、調査研究が行われた当時の時代状況や史料的制約から、連合国側の具体的政策やGHQ内部における意思決定過程の実態を十分に踏まえたものとはなっていない点で課題を抱えている。そこで本研究では、アメリカ側で早い時期から進められていた占領関係者の聞き取り調査記録を用いることで連合国側の動きやGHQと日本側との交渉過程を検証し、より精確で包括的な憲法制定過程の把握を目指す。
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研究実績の概要 |
3年目に当たる2023年度は、5月に新型コロナウイルス感染症の位置づけが「5類感染症」に移行し法律に基づく外出自粛がなくなるなど国レベルでの明確な方針転換があったことを踏まえて、本研究課題の主たる目的であった国外での資料調査を実施するとともに、これによって収集した史資料の整理・分析を進めた。 具体的な成果としては、2023年9月にアメリカ合衆国ミズーリ州のハリー・S・トルーマン大統領図書館を訪問し、同館所蔵の「デイル・M・ヘレガース文書」の調査を行い、文書中に含まれている聴き取り調査関係資料(インタビュー筆記録、手紙類、その他関係文献等)全体の写真撮影を行うことができた。本資料は、主に1970年代に行われたアメリカ側日本占領関係者を対象とした聴き取り調査記録であるが、①比較的早い時機に行われている点、②周到な事前調査を踏まえている点、③広範かつ体系的な調査となっている点において重要な意義を持つものと言える。なお、撮影した写真は6000枚近くに及んだが、帰国後はデータ及び基本情報を整理し、資料の利用環境の整備に努めた。 他方、これら一連の調査活動と併行し、申請者のこれまでの制憲史研究の中にオーラル・ヒストリーから得られる知見をどのように位置づけるべきかという問題についても実践的な考察を進めてきた。本年度の実績としては、近時日本国内において再び注目を集める内閣憲法調査会資料の一つである所謂「平野文書」を取り上げて厳密な史料批判を加えるなど聴き取り記録として扱われてきた資料の信頼性を再検証する作業を行い、その成果を研究会において報告した。また、本研究を進めるにあたっては、国立国会図書館、国立公文書館、外務省外交史料館、岐阜県立図書館等において資料調査を行ったが、これにより多数の新資料を発見し、これらを収集することができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
2023年度は、前年度までの新型コロナウイルス感染症の蔓延に伴う資料調査の遅れに加えて、研究開始時には想定されていなかった新たな業務負担が生じた結果、当初の計画どおりに研究を遂行することができず、研究期間を1年延長することとなった。したがって、現在までの研究の進捗状況については「遅れている」と自己評価せざるをえない。 もっとも、「研究実績の概要」で述べたように、当初計画の2年目に予定していたアメリカでの資料調査は3年目に達成することができ、今後の作業は収集済みの史資料の分析・検討が中心となるため、1年の研究期間延長によって当初の研究計画は達成可能であると考えている。
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今後の研究の推進方策 |
2024年度前半は、新たにアメリカにおいて収集してきた関係資料の分析・検討を深めるとともに、研究の過程で生じた新たな検討課題に対処するため、必要に応じて追加的な資料調査を行うものとしたい。 また、2024年度後半には、本年度前半までの資料調査の成果をも十分に踏まえながら、これまでの研究結果を研究報告や論文等の形で公表するとともに、4年間の研究課題のまとめに取りかかることとしたい。
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