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アメリカ政治の分極化が司法審査の運用および理論に与える影響に関する研究

研究課題

研究課題/領域番号 21K01127
研究種目

基盤研究(C)

配分区分基金
応募区分一般
審査区分 小区分05020:公法学関連
研究機関島根大学

研究代表者

黒澤 修一郎  島根大学, 学術研究院人文社会科学系, 准教授 (30615290)

研究期間 (年度) 2021-04-01 – 2025-03-31
研究課題ステータス 交付 (2023年度)
配分額 *注記
3,640千円 (直接経費: 2,800千円、間接経費: 840千円)
2023年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2021年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
キーワード憲法 / 違憲審査制 / 司法審査 / 政党 / アメリカ / 司法
研究開始時の研究の概要

本研究は、現代アメリカにおける政治のイデオロギー的分極化(ideological polarization)が、司法審査の運用および理論に与える影響について研究するものである。本研究は、アメリカ連邦最高裁判所(The Supreme Court of the United States)が、1980年代以降に下した憲法分野の判例の動向を、政治の分極化の進展と連関づけながら分析する。その上で、政治的分極化の前提下における司法審査の規範理論のあり方について考察する。さらに、上記のアメリカを対象とした研究によって得られた知見が、日本の司法審査研究にとってもたらす示唆について考察する。

研究実績の概要

2023年度は、前年度までと同様、アメリカを対象とした研究を主として進めた。黒澤修一郎「アメリカ中絶判例の政治的文脈」島大法学67巻1・2号59-115頁(2024年)では、人工妊娠中絶分野の判例を素材にして、イデオロギー的分極化による政治過程の変動が判例の展開に与えた影響について、司法政治学における政治レジーム理論や、「社会運動と法」の理論の方法を用いて考察を行った。1960年代後半以降に政治的分極化が進行していくなかで、中絶問題は、共和党にとって、保守派勢力を結集するための「旗印」になったと同時に、広範な支持基盤に亀裂を生みかねない「くさび」にもなりかねないという両義性を有していた。こうした中絶の争点特性は、共和党の政治リーダーの行動を強硬にした場合もあれば穏健にした場合もあり、そのなかで保守派の最高裁裁判官は行動戦略の選択をニュアンスに富んだ形で行ってきたと論じた。なお、2022年のDobbs判決により判例が変更され、中絶の権利の憲法上の保障に終止符が打たれた。Dobbs判決は1980年代以降の保守派法律家運動の発展を背景にして、保守派裁判官が原意主義的行動戦略を選択したことにより生み出されたものと言える。しかし他方で、上記のような中絶問題の共和党にとっての両義性それ自体には変化がなく、むしろDobbs判決後は「くさび」としての側面が強くなっていると考えられると論じた。当該論文は、本研究プロジェクトの成果報告のひとつとして位置づけられる。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

2023年度は、当初の予定では研究の最終年度であったが、アメリカを対象とした研究は進めることができたものの、そうして得られた知見をいかにして日本を対象とした研究に応用するかについては十分に考察を進めることができなかった。

今後の研究の推進方策

本研究は2024年度までの延長が認められた。当該年度にあっては、まず、アメリカを対象とした研究をさらに進展させたい。とりわけ、分極化が司法審査に対してもたらす弊害をいかにして制御するかという観点から、司法審査理論に関する研究を深めたい。また、アメリカと日本との比較を進め、政党のありようが司法審査制の運用にもたらす影響などに関する研究を進展させたい。

報告書

(3件)
  • 2023 実施状況報告書
  • 2022 実施状況報告書
  • 2021 実施状況報告書
  • 研究成果

    (13件)

すべて 2024 2023 2022 2021

すべて 雑誌論文 (6件) (うちオープンアクセス 2件) 学会発表 (4件) (うち招待講演 2件) 図書 (3件)

  • [雑誌論文] アメリカ中絶判例の政治的文脈2024

    • 著者名/発表者名
      黒澤修一郎
    • 雑誌名

      島大法学

      巻: 67巻1・2号 ページ: 59-115

    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • オープンアクセス
  • [雑誌論文] 判例回顧と展望2022 憲法2023

    • 著者名/発表者名
      金澤誠=黒澤修一郎=山﨑皓介=横堀あき=内藤陽=齊藤正彰
    • 雑誌名

      法律時報臨時増刊『判例回顧と展望』

      巻: 2022 ページ: 3-24

    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [雑誌論文] 〈邦語文献紹介〉小竹聡『アメリカ合衆国における妊娠中絶の法と政治』2023

    • 著者名/発表者名
      黒澤修一郎
    • 雑誌名

      アメリカ法

      巻: 2022-2号 ページ: 354-355

    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [雑誌論文] 〈著書紹介〉合衆国裁判所はアメリカ政治のアジェンダ設定者になりうるか?2022

    • 著者名/発表者名
      黒澤修一郎
    • 雑誌名

      アメリカ法

      巻: 2021-2 ページ: 275-279

    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
  • [雑誌論文] 米国ルイジアナ州で医師が中絶を行う要件として近隣病院の患者受入れ特権の取得を求めていた規制が違憲とされた事例―June Medical Services L.L.C. v. Russo, 140 S.Ct. 2103 (2020)―2022

    • 著者名/発表者名
      黒澤修一郎
    • 雑誌名

      島大法学

      巻: 65巻1・2号 ページ: 27-53

    • 関連する報告書
      2021 実施状況報告書
    • オープンアクセス
  • [雑誌論文] シルケナートほか編(岡田・紙野・高橋編訳)『法の支配と法治主義』(2020年)2021

    • 著者名/発表者名
      岡田正則・高田敏・「法の支配と法治主義」研究会
    • 雑誌名

      比較法学

      巻: 55巻2号 ページ: 159-186

    • 関連する報告書
      2021 実施状況報告書
  • [学会発表] 分極化するアメリカと司法審査理論の動向2024

    • 著者名/発表者名
      黒澤修一郎
    • 学会等名
      北陸公法判例研究会
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • 招待講演
  • [学会発表] アラバマ州における選挙区割りが人種的ゲリマンダリングに当たらないかが争われた事例―Allen v. Milligan, 143 S.Ct. 1487 (2023)―2023

    • 著者名/発表者名
      黒澤修一郎
    • 学会等名
      アメリカ憲法判例研究会
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [学会発表] 中絶2023

    • 著者名/発表者名
      黒澤修一郎
    • 学会等名
      「ロバーツコートの立憲主義2」研究会
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [学会発表] アメリカ政治の分極化が連邦最高裁判所に与える影響と司法審査理論の動向に関する序論的考察2023

    • 著者名/発表者名
      黒澤修一郎
    • 学会等名
      「統治機構と対抗権力」研究会
    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
    • 招待講演
  • [図書] 統治機構と対抗権力―代表・統制と憲法秩序をめぐる比較憲法的考察2023

    • 著者名/発表者名
      只野 雅人、佐々木 雅寿、木下 和朗
    • 総ページ数
      400
    • 出版者
      日本評論社
    • ISBN
      9784535526174
    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
  • [図書] ルース・ベイダー・ギンズバーグ アメリカを変えた女性2021

    • 著者名/発表者名
      ルース・ベイダー・ギンズバーグ、アマンダ・L・タイラー(大林啓吾ほか訳)
    • 総ページ数
      425
    • 出版者
      晶文社
    • 関連する報告書
      2021 実施状況報告書
  • [図書] アメリカ憲法と民主政2021

    • 著者名/発表者名
      大沢秀介・大林啓吾編著
    • 総ページ数
      615
    • 出版者
      成文堂
    • 関連する報告書
      2021 実施状況報告書

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公開日: 2021-04-28   更新日: 2024-12-25  

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