研究課題/領域番号 |
21K01132
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分05020:公法学関連
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研究機関 | 白鴎大学 |
研究代表者 |
清水 潤 白鴎大学, 法学部, 准教授 (40611455)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2023年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2022年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2021年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
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キーワード | コモン・ロー / アメリカ合衆国憲法 / 憲法史 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究の目的は、アメリカ憲法の歴史と理論において、憲法とコモン・ローがどのように関係してきたのかを明らかにすることにある。従来的なアメリカ憲法史理解においては、アメリカ合衆国憲法の権利章典が保障する諸権利は、各人が自然状態で保持している自然権の体現として理解されてきた。また、今日のアメリカ憲法理論においては、表現の自由やデュー・プロセス条項の解釈に、最高裁判事や個々の学者の政治的立場が大きな影響を与えていることが知られている。しかし、本研究では、アメリカ法において、合衆国憲法の権利章典が保障する諸権利は、コモン・ローに由来すると考えられてきた面が大きいことを検討する。
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研究実績の概要 |
2022年度は、本研究課題の進展を踏まえ、単著書である『アメリカ憲法のコモン・ロー的基層』を出版した。同書では、19世紀アメリカにおいて、憲法とコモン・ローは密接に関係し、憲法上の権利とコモン・ロー上の権利の内実が同一視されていたのに対し、20世紀以降には憲法とコモン・ローがその内実において分離し、憲法上の権利がコモン・ロー上の権利から独立したものとなっていった歴史的経緯を論じている。憲法上の権利とコモン・ロー上の権利の内実が同一視されていた19世紀においては、憲法の権利章典はコモン・ロー上の権利保障の水準を立法的縮減から免除するためのものと理解されていた。例えば、コモン・ローの契約法によって保護された契約を行う自由が議会制定法によって縮減されることを憲法は禁止していると考えられたのである。19世紀アメリカにおいて、コモン・ロー上の権利と憲法上の権利は同一視されていた。 本書は、アメリカ憲法史の実証的な研究であるが、その基底には法学的な関心が存在する。それは、憲法上の権利とは何であるのかという問題である。従来、憲法上の権利とは、全国家的な自然権であり、対国家的な防御権であると考えられることが多かった。しかし、19世紀アメリカにおいては、このような発想は採られていない。むしろ、憲法上の権利とは法=コモン・ローによって保護された自由であり、法制度と政治社会の中で初めて観念できるものである。また、法=コモン・ローによって保護された自由は、対国家と対私人のいずれの関係においても保障されなければならない。このような権利観は、今日の我々が自明視する憲法理論に反省を迫るものであり、具体的には、基本権内容形成論、私人間効力論、憲法民法関係論などの論点に見直しを迫るものとなる。 2022年度の最も重要な成果は上記著書の刊行であるが、それ以外にも数本の論文を出版した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
著書及び論文が概ね順調に出版されている。
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今後の研究の推進方策 |
今後もこれまでと同様に、アメリカ憲法のテキストの分析を継続して行い、研究成果の公表に努める予定である。
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