研究課題/領域番号 |
21K01134
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分05020:公法学関連
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研究機関 | 成城大学 |
研究代表者 |
奥村 公輔 成城大学, 法学部, 教授 (40551495)
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研究分担者 |
伊藤 洋一 東京大学, 大学院法学政治学研究科(法学部), 教授 (50201934)
東 史彦 上智大学, 法学部, 准教授 (90813759)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2023年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2022年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2021年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | 国内法秩序形成 / フランス法 / イタリア法 / EU法 / 欧州人権法 / ベルギー法 / ヨーロッパ法 / 国内諸機関と欧州諸機関との対話 / 裁判官対話 / 法制諮問機関 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、国内諸機関と欧州諸機関(EU諸機関及び欧州評議会諸機関)の相互作用による国内法秩序形成過程を分析する。欧州諸国の国内法秩序は、国内諸機関間の相互作用だけでなく、欧州諸機関との相互作用により形成されているが、それぞれの国内諸機関は異なる。本研究は、政府、議会、法制諮問機関たる国務院行政部、憲法裁判所たる憲法院、最高行政裁判所たる国務院訴訟部、最高司法裁判所たる破毀院を有するフランスに着目し、第一に、国内諸機関と欧州諸機関との相互作用によるフランス国内法秩序形成モデルを明らかにし、第二に、フランスと類似の国内諸機関を有するベルギー・イタリアの国内法秩序形成モデルを比較法的に検討する。
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研究実績の概要 |
2年目である令和4年度では、1年目である令和3年度に続き、本研究課題の比較検討対象国であるフランス、ベルギー及びイタリアのうち、従来学界において研究が手薄であるイタリア法を中心に代表者及び分担者で研究会及び検討会を頻繁に開催し、全体での知識共有を図ってきた。 令和4年度には計7回の研究会を行った。イタリア法に関する主要な研究報告として、第1回研究会(2022年5月21日)では分担者の伊藤が「ヨーロッパ人権条約第16議定書とイタリア」と題する研究報告を、第7回研究会(2023年3月4日)では分担者の東が「EU法とイタリア法の関係に関するイタリア憲法裁判所の近年のアプローチ」と題する研究報告を行い、代表者及び分担者間でイタリア法における近年の重要な諸論点について知識共有を行うことができた。また、第6回研究会(2023年1月24日)では、イタリア・フィレンツェ(Firenze)大学法学部において現在在外研究中の土井翼氏(一橋大学大学院法学研究科准教授)をオンラインによりゲストスピーカーとして招き、イタリア法に関する重要な諸論点につき知識提供をいただいた。このような研究会を通じて、今年度、代表者及び分担者は、イタリア法とヨーロッパ法との関係の分析をさらに深めることができた。 代表者及び分担者は、このような多くの研究会及び検討会を通じて、また、自身の研究を通じて、それぞれ研究成果を出すことができた(研究成果の欄を参照)。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究課題は、フランス、ベルギー及びイタリアの国内法秩序形成にヨーロッパ法がいかに影響を与えているかを実証的に検討するものである。令和4年度においては、まず、代表者の奥村はこれまでのフランス法研究を進め、治安緊急事態・衛生緊急事態に関する国内・国外諸機関間の相互作用についての検討を行った。次に、分担者の伊藤はこれまでのフランス法・イタリア法研究を進め、フランス・イタリアに関して、ヨーロッパ人権条約第16議定書により、ヨーロッパ人権条約においても「裁判官対話」の制度化が始まったことから、同議定書の発効(2018年)後の運用開始状況とその意義につき検討した。また、分担者の東はこれまでのイタリア法研究を進め、イタリア憲法裁判所が、2017年憲法裁判所269号判決によりEU法(EU基本権憲章)に由来する基本権にもとづく憲法審査の手続的・実体的な管轄を、自らに集権的に取り戻す目的で判示を行った((ri-)accentramento)が、それに至るまでのイタリア(憲法)裁判所による「違憲審査」の変遷について考察した。 以上の点から、フランス・イタリアの国内法秩序形成及びその国内法へのヨーロッパ法の影響に関する研究を進めることができており、本研究課題はおおむね順調に進んでいると言ってよい。
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今後の研究の推進方策 |
最終年度である令和5年度は、令和3年度及び令和4年度に行ってきた代表者及び分担者のフランス法及びイタリア法に関する研究をさらに深めていく予定である。 また、代表者及び分担者はベルギー法に関する研究を進めてはいるものの、令和3年度及び令和4年度の研究会においてはベルギー法を題材とする研究報告が行われなかったことから、令和5年度の研究会においてはベルギー法を扱った報告を積極的に実施し、ベルギー法及びベルギー国内法秩序形成におけるヨーロッパ法の影響に関する知識共有を代表者及び分担者の間で深めていくことを心掛ける。 さらに、令和3年度及び令和4年度においては、新型コロナウィルスの世界的蔓延によりフランス・ベルギー・イタリアの国内諸機関及びヨーロッパの諸機関(EU・欧州評議会の諸機関)へのインタビューを実施することができなかったが、令和5年度にはこれらの機関へのインタビューを実施する予定である。ただし、新型コロナウィルスの蔓延状況を踏まえ、現地には赴かず、Zoom等を利用した電子会議の形式により又は電子メールを用いた文書形式によりインタビューを実施する可能性もある。
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