研究課題/領域番号 |
21K01146
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分05020:公法学関連
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研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
福重 さと子 岡山大学, 社会文化科学学域, 准教授 (20551485)
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研究分担者 |
高田 実宗 駒澤大学, 法学部, 准教授 (50805794)
重本 達哉 大阪公立大学, 大学院法学研究科, 准教授 (60584042)
近藤 卓也 北九州市立大学, 法学部, 准教授 (70756410)
嘉村 雄司 島根大学, 学術研究院人文社会科学系, 准教授 (90581059)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
3,380千円 (直接経費: 2,600千円、間接経費: 780千円)
2023年度: 130千円 (直接経費: 100千円、間接経費: 30千円)
2022年度: 2,210千円 (直接経費: 1,700千円、間接経費: 510千円)
2021年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
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キーワード | 水害 / 河川管理 / 行政責任 / 水害保険 / 災害応急対応 / 法制度 / 法学 / 洪水からの防御 / 土地利用規制 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、水害の多発化・激甚化という状況のなかで、住民の身体・財産を守るためにはどのような法制度を構築することが望ましいかという問題意識の下に、河川管理者がどのような権限をもつべきであるのか、あるいは、より一般的に、行政は、水害対策にいかなる法的責務を負うべきであるのかということを、明らかにしようとするものである。研究の方法として、複数の国・地域について外国法の議論状況を検討することで比較法的考察を行い、また、水工学との連携による学際的考察を行うことを特色としている。
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研究実績の概要 |
本年度は、昨年度に引き続き、研究分担者と協力して、アメリカ・ドイツ・フランスの法状況や日本法の検討を行っている。 まず、8月31日に釼持麻衣氏(関東学院大学)を招いて、オンラインで勉強会を行った。釼持氏は、「アメリカの気候変動訴訟」というタイトルで報告をした。アメリカでは、気候変動により、自然災害をはじめとする様々な影響が生じているが、そのような影響の緩和を目的とする政策と、影響への適応を目的とする政策(自然災害の危険にさらされる土地の利用を規制するなど)が行われている。アメリカでは、適応政策をとる広範な権限が各州政府に与えられている。その権限の行使に関する裁判所の審査は、裁判所の敬譲により現在までのところ限定されている。 これまでの研究成果を共有するための研究会を12月22日にオンラインで開催した。研究分担者である嘉村雄司氏が「アメリカ洪水保険制度と収用法理(taking doctrine)との関係」というテーマで、重本達哉氏が、「気象業務法について」というテーマで報告をした。嘉村氏の研究は、日本における水害保険の本格的確立のために参考にされているアメリカの洪水保険制度(NFIP)を検討した。NFIPを利用するには、自治体が土地利用規制を行っているなどの条件があるところ、土地利用規制が「収用」にあたるときには損失補償を義務付ける収用法理の存在が、土地利用規制を抑制しているという議論があることが紹介された。重本氏の研究では、日本において、気象の予報・警報の発出は、長い間国の独占であったところ、近年規制緩和により、気象予報をできる主体が増えているが、他方、気象予報の精度を維持し高めるために、許可基準を厳格にしていることが紹介された。 研究代表者である福重は、フランスにおける水法の重要な法律の調査を継続した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
研究代表者は、現在まで、フランスの水法に関する重要な事象である2014年1月27日法律(MAPTAM法)の内容を検討している。この法律は、水・水環境の管理と水害の防止に関する権限を自治体に委ねるものであり、2024年になって、その再検討に向けての動きが政府内にある。この法律がどのような背景で制定されたのか、また、この法律の法的、社会的なインパクトがどのようなものかを明らかにし、日本の水法の課題を明らかにしようとすることを目的としている。令和5年度は、この法律の解説を行っている水法、地方自治法、環境法の概説書を収集し、また、フランスの法律雑誌の記事を収集した。しかし、収集した文献を読み進めることができなかった。 研究分担者は、それぞれ文献を集めて調査を進めており、重本氏と嘉村氏は研究の成果を報告することができた。また、嘉村氏は成果を論文として公表することができた。
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今後の研究の推進方策 |
令和6年度は、令和5年度に収集した文献を読み進めたい。同時に、日本法の状況を調査して比較したいと考えている。調査の結果を何らかのかたちで成果としてまとめたい。 研究分担者は、それぞれが担当する国の水害法制について研究を進めており、それぞれの研究から、日本法に対する示唆を引き出せるようになっている。今年度は、その結果を何らかのかたちで成果としてまとめたい。
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