研究課題/領域番号 |
21K01148
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分05020:公法学関連
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研究機関 | 琉球大学 |
研究代表者 |
西山 千絵 琉球大学, 法務研究科, 准教授 (20633506)
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研究分担者 |
武田 昌則 琉球大学, 法務研究科, 教授 (60404547)
長嶋 佐央里 聖学院大学, 政治経済学部, 准教授 (90733501)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2023年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2022年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2021年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
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キーワード | 婚姻 / 家族 / パートナーシップ / 嫡出推定 / 子どもにかかわる権利 / 憲法学 / 家族形成への権利 / 高齢化社会 / 婚姻外パートナーシップ / 個人と家族形成 |
研究開始時の研究の概要 |
同性婚の容認や、同性同士のカップルに対するパートナーシップ証明など、「婚姻」の多様化をめぐっては様々な議論がある。本研究は、「婚姻」の形式によるわけではないパートナーシップへの法的保護の可能性を取り上げ、憲法的意義における「家族」への自由という文脈に置いて、包括的な探究を試みる。 具体的には、「婚姻及び家族」に関する憲法24条において保護される結合を再検討し、より広い家族生活を営む権利の文脈に照らしながら、婚姻や養子縁組といった従来的な家族化と、それらとも異なる新たな家族化へのニーズと現実課題について、明確化を試みる。 本研究は、家族法・法律実務、財政学と分野を横断した総合的な観点から実施される。
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研究実績の概要 |
本研究は、高齢化社会における家族の多様化に対する法的支援の面に焦点を当てて、同性カップルへの婚姻保障、性別の組み合わせを問わないパートナーシップ制度をはじめとする論点につき、理論的・実務的・財政的側面から掘り下げることを目的としている。 2024年度は、婚姻および、カップル間に生まれた子どもの嫡出推定の現代的意義に関する研究、同性婚に関する研究、研究会での報告を実施しながら、現代の婚姻のあり方と方向性をあらためて多角的に検討・解明しようと試みたものである。 昨年度は、西山の業績として、「同性カップルの婚姻の憲法的基礎づけに向けて」(36-54頁)ジェンダー法政策研究所編『同性婚のこれから―「婚姻の自由・平等」のために法と政治ができること』(花伝社、2024年)所収、「ジェンダーに配慮した議会」と日本におけるその実現──IPUジェンダー自己評価『議会のジェンダー配慮への評価に関するアンケート調査』報告書を受けて(128-141頁)山本 龍彦=白井 誠=新井 誠=上田 健介『国会実務と憲法 日本政治の「岩盤」を診る』(日本評論社、2024年)所収、武田の業績として、「嫡出推定等に関する改正法の概要と今後の課題」月報司法書士 (616) 2-12頁(2023年)を公表している。 わが国における同性婚訴訟の展開は、憲法24条の条文構造、さらには家族の自由な形成とその保護に関連して普遍的な示唆を与えるものである。婚姻外のパートナーシップは、ケアにひらく婚姻とその制度的限界について検証する作業を経て、より深められるという理解に至った。この点、ハンセン病家族訴訟における家族形成の機会喪失も事例として参考にしている。以上の研究を進めるにあたっては、特に今年度は、実務家の分担者から一定の助言を得ることができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
研究2年目までは、コロナ禍により、研究グループでの意見交換の機会を得る以外では、県内外における調査等に支障が生じており、研究3年目においては、研究会報告、科研費の助成による成果として業績の公表を行うことができた。しかし、これまでの自治体調査等に基づく、財政面での十分な考察および分析作業までには至っていないことから、現在までの状況を踏まえて、上記の評価とした。
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今後の研究の推進方策 |
今後は研究の最終年度に向けて、これまでの研究結果を踏まえて、多様な家族化に対する適切な法的制度のあり方を検討していくために、研究代表者および分担者の間で定期的に意見交換、進捗状況の報告の場をもちながら、以下のように分担・遂行していく予定である。 西山は、引き続き代表者として研究全般について考察を行い、調査の調整および準備を進めていくとともに、海外の事例に向かう(カント的意味における)批判的視点をもって、比較研究を実施する。また、これまでの研究で浮き彫りになった同性婚の憲法24条のもつ規範構造の問題を踏まえて、どのような解釈論のあり方が望ましいかを、さらに訴訟の進展とあわせて、わが国の議論に還元していく。 武田は、これまで実務家として手がけてきた事案から得た知見や、親権も含めた家族のニーズの進展状況について、研究最終年度時点における現況をとりまとめるとともに、研究代表者である西山に対して、適宜、総合的な観点から助言を行う。 長嶋は、必要に応じて追加調査を計画し、財政面でのパートナーシップ制度の裏付けを比較検討するとともに、家族に対する支援に効果的に取り組む地域の事例等も調査していく。
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