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渉外的な保全命令手続及び仲裁手続における外国法の調査・適用

研究課題

研究課題/領域番号 21K01162
研究種目

基盤研究(C)

配分区分基金
応募区分一般
審査区分 小区分05030:国際法学関連
研究機関神戸大学

研究代表者

中野 俊一郎  神戸大学, 法学研究科, 名誉教授 (30180326)

研究期間 (年度) 2021-04-01 – 2025-03-31
研究課題ステータス 交付 (2023年度)
配分額 *注記
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2022年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2021年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
キーワード国際仲裁 / 国際私法 / 準拠法 / 国際民事手続法 / 外国法 / 国際民事保全
研究開始時の研究の概要

国際私法上、準拠外国法は「法」として扱われ、裁判所はそれを職権で調査し、法規所属国裁判所で適用されるのと同様に適用しなければならない。同じ扱いは保全命令手続でも妥当するとされてきたが、強度の緊急性が求められる保全命令手続でそれがどこまで可能かは問題である。また、日本を仲裁地とする国際仲裁で、日本の国際私法が適用される場合でも、外国法の調査を当事者に委ねる扱いがとられるという。そこで本研究は、保全命令と国際仲裁という迅速性が求められる手続類型を取り上げ、そこでの外国法の調査・適用のあり方を比較法的・実証的見地から検討することを通して、従前の通説的見解の問題点や改善策を示そうとするものである。

研究実績の概要

本研究計画においては、初年度から3年目までの間に、国際仲裁における本案準拠法の決定、国際仲裁における絶対的強行法規の適用、仲裁廷における準拠法の調査・適用、準拠法の適用違背と仲裁判断の取消・執行といった問題について、一定の研究成果を示すことができた。そこで、これらの研究成果に加えて、従前の研究成果である仲裁合意の準拠法、仲裁合意の分離独立性、法の明らかな無視による仲裁判断取消し、仲裁判断を確認する外国判決の執行、国際仲裁と国家法秩序の関係、国際社会における法規範の多元性と国際私法といった論点に関する論稿に加筆・修正を加えたものをあわせて、これまでの研究のしめくくりとなる単行の研究書(中野俊一郎『国際仲裁と国際私法』(信山社、2023年9月))を公表することとした。幸い、昨年度の国際私法学会において「仲裁法の世界法化と国際私法」と題する研究報告を行う機会を得たため、そのために書き下ろした報告原稿に加筆したものを、同書のまとめとした。これにより、国際仲裁における準拠法の決定やその適用のあり方について、問題の全体像とあるべき方向性を示せたものと考えている(なお本書については、本年度仲裁ADR法学会奨励賞の受賞が内定した旨の連絡を頂いた)。
以上のほか、本研究計画の成果としては、本間靖規=中野俊一郎=酒井一(共著)『国際民事手続法』(有斐閣、第3版、2024年3月)、中野俊一郎(単著)「第118条」髙田裕成=三木浩一=山本克己=山本和彦・注釈民事訴訟法第2巻(有斐閣、2023年8月)726-749頁のほか、「国際商事仲裁ADR判例紹介(34)」JCAジャーナル70巻7号(2023年7月)48-49頁、「国際商事仲裁ADR判例紹介(38)」JCAジャーナル70巻12号(2023年12月)35-36頁がある。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

上記のように、研究成果を研究書の形でとりまとめることができたのは、概ね当初計画の通りであって、満足のゆくものであったと考えている。

今後の研究の推進方策

上記の通り、これまでの研究は概ね当初計画の通りに実施できており、満足のゆく成果につながったと考えているが、コロナ禍の影響で海外での調査研究が十分にできなかったことや、加齢による体力の衰え、定年退職に伴う諸般の手続等により、ごく一部に積み残した課題があることも否定できない。具体的には、従来、国際仲裁は仲裁地国、仲裁判断の執行は執行地国の国内公序に従うことが認められる反面、国際的・普遍的な公序という考え方は、少なくとも日本では認められてこなかった。国際私法の平面でもそれは同様であり、外国法の適用を排除する公序とは法廷地国の国内公序をいい、国際的公序、普遍的公序という考え方は否定されなければならない、というのがわが国の通説であった。しかしながら、国際仲裁は、国際取引社会が国境を越えて独自に発展させてきたグローバルな紛争解決手段であるから、それが各国の国内公序によってしか制約されないという見方は、必ずしも十分な説得力を有しないように思われる。現実に、執行地国が自国法に従って仲裁判断の執行を拒絶したところ、当事者が欧州人権裁判所に異議を申し立て、その結果、欧州人権条約が定める財産権の保障に対する侵害が認められた事例も報告されている。このような視点からすると、国際仲裁は、単に仲裁地国や執行地国の国内公序によって制限されるにとどまるものではなく、より広く、国際取引社会全体に妥当する公序、いわば国際的公序、普遍的公序といったものによっても拘束を受けているのではないか、との仮説が成り立ちうる。これはかなり大きなテーマであって、軽々に全体像や方向性を示せるものではないが、幸い研究期間の1年延長が認められたため、これまで継続してきた各国仲裁判例の研究に加えて、残り期間をこの問題の解明にあててみたいと考えている。

報告書

(3件)
  • 2023 実施状況報告書
  • 2022 実施状況報告書
  • 2021 実施状況報告書
  • 研究成果

    (22件)

すべて 2023 2022 2021

すべて 雑誌論文 (16件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (1件) 図書 (5件)

  • [雑誌論文] 異国籍夫婦による特別養子縁組と隠れた反致(東京家審令和2年9月7日)2023

    • 著者名/発表者名
      中野俊一郎(単著)
    • 雑誌名

      戸籍時報

      巻: 840 ページ: 26-32

    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [雑誌論文] 国際商事仲裁ADR判例紹介(34)2023

    • 著者名/発表者名
      中野俊一郎(単著)
    • 雑誌名

      JCAジャーナル

      巻: 70-7 ページ: 48-49

    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [雑誌論文] 国際商事仲裁ADR判例紹介(38)2023

    • 著者名/発表者名
      中野俊一郎(単著)
    • 雑誌名

      JCAジャーナル

      巻: 70-12 ページ: 35-36

    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [雑誌論文] 国際商事仲裁ADR判例紹介(30)2023

    • 著者名/発表者名
      中野俊一郎
    • 雑誌名

      JCAジャーナル

      巻: 70-2 ページ: 57-58

    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
  • [雑誌論文] 国際仲裁における強行法規の適用と仲裁判断取消し-東京高裁平成28年8月19日決定をめぐって-2022

    • 著者名/発表者名
      中野俊一郎
    • 雑誌名

      仲裁とADR

      巻: 17号 ページ: 36-42

    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
  • [雑誌論文] 国際仲裁における第三国強行法規の扱い2022

    • 著者名/発表者名
      中野俊一郎
    • 雑誌名

      国際商取引学会年報

      巻: 24号 ページ: 28-38

    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
    • 査読あり
  • [雑誌論文] 国際民事手続法分野における最近の日本判例の展開-外国判決の承認・執行を中心として-2022

    • 著者名/発表者名
      中野俊一郎
    • 雑誌名

      靜宜法學(台湾)

      巻: 11号 ページ: 1-62

    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
  • [雑誌論文] 外国執行行為の承認-最高裁令和3年5月25日判決を契機として-2022

    • 著者名/発表者名
      中野俊一郎
    • 雑誌名

      JCAジャーナル

      巻: 70-1 ページ: 37-43

    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
  • [雑誌論文] 民訴法118条3号の要件を具備しない懲罰的損害賠償としての金員の支払を命じた部分が含まれる外国裁判所の判決に係る債権について弁済がされた場合に、その弁済が上記部分に係る債権に充当されたものとして上記判決についての執行判決をすることの可否(令和3年5月25日最高裁第3小法廷判決)2022

    • 著者名/発表者名
      中野俊一郎
    • 雑誌名

      民商法雑誌

      巻: 158-2 ページ: 361-373

    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
  • [雑誌論文] 外国裁判所の専属的国際裁判管轄を定めた合意の有効性(東京高判令和2年7月22日)2022

    • 著者名/発表者名
      中野俊一郎
    • 雑誌名

      私法判例リマークス

      巻: 65号 ページ: 137-140

    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
  • [雑誌論文] 国際商事仲裁ADR判例紹介(22)2022

    • 著者名/発表者名
      中野俊一郎
    • 雑誌名

      JCAジャーナル

      巻: 69-4 ページ: 36-37

    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
  • [雑誌論文] 国際商事仲裁ADR判例紹介(26)2022

    • 著者名/発表者名
      中野俊一郎
    • 雑誌名

      JCAジャーナル

      巻: 69-9 ページ: 24-25

    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
  • [雑誌論文] 仲裁廷による暫定保全命令の執行(BayObLG,Besch.v.18.8.2020, SchiedsVZ 2020,315)2021

    • 著者名/発表者名
      中野俊一郎
    • 雑誌名

      JCAジャーナル

      巻: 68巻4号 ページ: 6-10

    • 関連する報告書
      2021 実施状況報告書
  • [雑誌論文] 『特別の事情』の考慮(1)-預託金の返還(最三小判平成9・11・11)2021

    • 著者名/発表者名
      中野俊一郎
    • 雑誌名

      別冊ジュリスト 国際私法判例百選(第3版)

      巻: 256号 ページ: 168-169

    • 関連する報告書
      2021 実施状況報告書
  • [雑誌論文] 国際商事仲裁ADR判例紹介(14)2021

    • 著者名/発表者名
      中野俊一郎
    • 雑誌名

      JCAジャーナル

      巻: 68巻6号 ページ: 41-42

    • 関連する報告書
      2021 実施状況報告書
  • [雑誌論文] 国際商事仲裁ADR判例紹介(18)2021

    • 著者名/発表者名
      中野俊一郎
    • 雑誌名

      JCAジャーナル

      巻: 68巻11号 ページ: 50-51

    • 関連する報告書
      2021 実施状況報告書
  • [学会発表] 国際仲裁における第三国強行法規の扱い2021

    • 著者名/発表者名
      中野俊一郎
    • 学会等名
      国際商取引学会
    • 関連する報告書
      2021 実施状況報告書
  • [図書] 髙田裕成=三木浩一=山本克己=山本和彦編・注釈民事訴訟法第2巻2023

    • 著者名/発表者名
      中野俊一郎(単著)
    • 総ページ数
      956
    • 出版者
      有斐閣
    • ISBN
      9784641017924
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [図書] 国際仲裁と国際私法2023

    • 著者名/発表者名
      中野俊一郎(単著)
    • 総ページ数
      213
    • 出版者
      信山社
    • ISBN
      9784641017924
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [図書] 国際民事手続法(第3版)2023

    • 著者名/発表者名
      本間靖規=中野俊一郎=酒井一(共著)
    • 総ページ数
      286
    • 出版者
      有斐閣
    • ISBN
      9784641222168
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [図書] 本間靖規先生古稀祝賀 手続保障論と現代民事手続法2022

    • 著者名/発表者名
      中野俊一郎ほか(分担執筆)
    • 総ページ数
      1066
    • 出版者
      信山社
    • ISBN
      9784797260960
    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
  • [図書] 国際ビジネス用語事典2021

    • 著者名/発表者名
      国際商取引学会
    • 総ページ数
      270
    • 出版者
      中央経済社
    • ISBN
      9784502366512
    • 関連する報告書
      2021 実施状況報告書

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公開日: 2021-04-28   更新日: 2024-12-25  

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