研究課題/領域番号 |
21K01164
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分05030:国際法学関連
|
研究機関 | 北里大学 |
研究代表者 |
猪瀬 貴道 北里大学, 一般教育部, 教授 (70552545)
|
研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
|
配分額 *注記 |
1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2023年度: 260千円 (直接経費: 200千円、間接経費: 60千円)
2022年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2021年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
|
キーワード | 投資条約 / 投資仲裁 / 再生可能エネルギー固定価格買取制度(FIT制度) / エネルギー憲章条約(ECT) / ISDS / 再生可能エネルギー固定価格買取制度 / 国際投資法 / グローバル行政法 |
研究開始時の研究の概要 |
国家の政策は、政権交代や経済状況の変化などを要因として大きく変更されることがある。その際に、投資家との間に紛争が生じ、投資受入国の国内法(たとえば行政法)上の問題とともに、投資家国籍国と投資受入国との間に投資条約が締結されている場合、その違反が問われることがある。 本研究では、政策変更の国内法上の合法性と投資条約上の合法性の関係について検討する。また、投資受入国と投資家との間の紛争に関して、国内行政救済手続と投資条約仲裁との関係についても検討する。さらに、投資条約仲裁における仲裁判断の投資受入国の政策変更への効果・影響についても検討する。
|
研究実績の概要 |
本研究課題は、投資条約制度が、投資受入国の政策変更に対してどのような制約要因となっているかについて投資条約規定および投資条約仲裁事例の検討するものである。主に代表的な事例であるスペイン、イタリアにおける再生可能エネルギー固定価格買取(feed in tariff: FIT)制度の運用や改廃に関連して、それぞれの国で再生可能エネルギー関連の投資をしていた外国人投資家が仲裁に紛争を付託した具体的な事例について検討することから研究を進めている。 今年度は、引き続きインターネット上に公開されている仲裁判断、関連する投資条約、国内法等の一次資料の収集と整理を中心に研究を進めた。新たに公開された仲裁判断など新規資料についても収集した。これらの事例について、当事者(申立人である投資家、被申立国である投資受入国)、根拠となる投資条約規定、問題となった制度・政策の変更といった観点から分類をすることを試みている。それとともに、これらの事例の評釈や根拠となる投資条約として共通するエネルギー憲章条約(Energy Charter Treaty: ECT)に関連する先行研究にあたる文献などの二次資料の収集と整理を行っている。 なお、ここ1~2年のECTの動向については、現代化を進める議論と交渉が行われている一方で、EU諸国における脱退の動きが顕在化していることから、EUによる一次資料および関連研究者による二次資料(学術論文、学術Blog記事など)の収集を進めている。 また、本研究と関連する事例を含む2021年に判断がなされた(または公開された)投資仲裁事例全体の概要を紹介する総説記事を『日本国際経済法学会年報』誌に公開した。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
スペイン、イタリアにおける再生可能エネルギー固定価格買取(feed in tariff: FIT)制度の紛争事例に関連するものを中心に一次資料について整理を進めており、これらの事例については一定程度資料収集が完了している。しかし、この1年の間にも各国のFIT制度の変更やECTの現代化の動向、EU諸国によるECTからの脱退の動きなどが生じたため、新規に収集と整理が必要な資料が多くなり、当初の研究計画の修正が必要となった。したがって、進捗状況は、当初予定していたものよりもやや遅れている。
|
今後の研究の推進方策 |
先行研究の文献収集を進めて積極的に活用することによって、それらの先行研究によって明らかにされた論点整理をすることで、一次資料の整理・分析を工夫する。また、検討対象をある程度限定することによって集中的に調査・整理を実施する。それにより、研究期間内での一定の成果を確保する。 並行して可能な限り関連する資料については広く収集し、整理も進めていくことによってことで国家の政策変更と投資条約との関係についての一般的な動向についても検討する。
|