研究課題/領域番号 |
21K01165
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分05030:国際法学関連
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研究機関 | 法政大学 |
研究代表者 |
岡松 暁子 法政大学, 人間環境学部, 教授 (40391081)
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研究分担者 |
森田 章夫 法政大学, 法学部, 教授 (30239652)
道垣内 正人 早稲田大学, 法学学術院(法務研究科・法務教育研究センター), 教授 (70114577)
青木 節子 慶應義塾大学, 法務研究科(三田), 教授 (90317339)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2023年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2021年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
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キーワード | 原子力の平和利用 / ALPS処理水 / 国家管轄権 / 制裁 / カナダ / 原子力請求審判所 / 核軍備管理 / 輸出管理レジーム / NSG / MTCR / nationality / 原子力損害賠償 / 核抑止 / Planetary Defense / NEO / 英国 / 核不拡 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、原子力の平和利用(特に原子力発電)の継続・中止それぞれの場合における国際公法・国際私法上の法的問題を分析し、適切な政策判断がなされるための法的基盤を提供することを目的とする。すなわち、原子力発電自体の是非ではなく、平和利用の歴史的展開を基盤とした既存の法的枠組を法律学の見地から正確に分析・評価し、原子力平和利用の継続・中止それぞれの選択について、浮上する法的問題及び必要となる措置を提示することを目指す。
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研究実績の概要 |
2023年度は、岡松は引き続き、海洋環境保護の観点から、2023年8月に海洋放水が開始された福島第一原発からのALPS処理水に関する法的な見解について研究をすすめた。特に、ロンドン海洋投棄条約・同議定書の締約国会議で論点となった点についての法的見解の他、国連海洋法条約上の国家の義務という観点からも研究を開始した。 道垣内は、2011年の福島第一原子力発電所事故を踏まえ、1970年法の改正として2017年に施行された2015年法を研究した。同法は、原子力損害の補完的な補償に関する条約(CSC)との整合性を図るものでもある。有限責任限度額の7,500万ドルから10億ドルに引き上げ、原子力請求審判所を設ける等の特徴がある。 青木は、ロシアのウクライナ侵略以後の核軍備管理維持の方途を現存の輸出管理レジームの活用の観点から考察した。また、宇宙の核管理を露ウ戦争における武力紛争法上のルールの宇宙システムへの適用および宇宙の責任ある行動の一環としての宇宙システム破壊実験禁止の観点から検討した。 森田は、立法管轄権のいわゆる「域外適用」問題につき、従来、大きな混乱と対立が存在しており、引き続き、分析を進めた。 一方で、普遍的管轄権のように、特定国とのclose connectionが存在しない立法管轄権が国際社会に受け入れられる条件を検討した。次に、立法管轄権のいわゆる「域外適用」の「紛争」要因を、管轄権の根拠・原則、国内法の相違、具体的適用のそれぞれに着目して、検討を進めた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
岡松は、オンラインによる学会・研究会がいくつか続いているため、出張のための経費を多少繰越すこととなったが、次年度に出版が予定されている論文も含め、研究については、順調にすすんでいる。 道垣内は、福島第一原子力発電所事故が各国の原子力損害賠償法に与えた影響について、着実に研究を進めている。 青木は、原子力電源の宇宙利用についての規範性検討について、次年度に成果をだせる予定である。 森田は、関連の論文が出版され、さらに今年度中に、依頼を受けた執筆論文が和文と英文で公表予定であり、おおむね順調に進行していると考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
2024年度は、最終年度とするべく、岡松は、ALPS処理水の放出問題の国連海洋法条約上の国家の海洋環境保護義務との関連について、現在進めている論文を完成させる。また年度末には、学会報告も予定している。 道垣内は、原子力損害の補完的な補償に関する条約(CSC)の国内実施について、いくつかの国の状況を研究し、日本でのあり方について考察する。 青木は、月面活動等に用いる原子力電源の安全管理についての拘束力のある規則がない中で、IAEAと国連宇宙空間平和利用委員会(COPUOS)が共同で作成した安全枠組の規範性をどう捉え得るかについて、月面活動規を制する法形成全般の成熟度やCOPUOSの現行の作業過程から検討する。 森田は、既に脱稿した論文につき、査読後の加筆と校正を中心に、出版まで完成度を高める予定である。
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